『シャドバWB』「超進化」が拓く戦略の多様性：1億円WGPへ向けた激動のメタゲーム

激動のメタゲーム、年末へ加速する『シャドバ』の戦略進化

— 1億円WGPに向け、新システム「超進化」が拓く競技の深淵 —

【東京 2025年11月25日 共同通信】

デジタルカードゲーム『シャドウバース ワールズ ビヨンド』（シャドバWB）の競技シーンとゲーム環境が、2025年終盤に向けて急速な進化を遂げている。10月29日にリリースされた最新拡張パック「SKYBOUND DRAGONS 蒼空の六竜」の実装と、今夏導入された「超進化」「エクストラPP」といった新システムの定着により、プレイヤーの戦略はかつてない多様性を見せている。年末には優勝賞金1億円の国際大会「Shadowverse World Grand Prix 2025」（WGP 2025）を控え、国内外のプレイヤーたちは緻密なメタゲームの構築を急いでいる。

新システムが促す戦略の多様化

現在のシャドバWBの環境を根本から変えたのは、「超進化」システムだ。後攻6ターン目以降に利用可能となるこのシステムは、フォロワーのステータス強化に留まらず、盤面一掃やリーダー体力回復など、状況に応じた柔軟な対応を可能にし、終盤の逆転戦略を多様化させた。

現環境は「構築の幅が非常に広い」ことが特徴であり、特定のデッキが支配的になる「一強環境」ではない。メタゲームの中心には、守護フォロワーを超進化で強化し、盤面を制圧する「クレストビショップ」や、序盤から中盤にかけてのテンポを重視する「ミッドレンジロイヤル」が存在する。一方で、エズディアを活用し、一気に大ダメージを狙う「エズディアエルフ」のようなコンボデッキも健在だ。

開発側は、約2カ月ごとの大型アップデートを通じて、継続的なバランス調整を行う方針を示している。具体的には、11月27日には進化エルフの強化などを含むバランス調整が予定されており、WGP 2025に向けた環境の流動性はさらに高まると見られる。プレイヤーは、常に変化するメタに対応するため、デッキ構築の細部にまで戦略を練る必要に迫られている。

競技シーンの白熱：プロリーグとRAGEの動向

競技シーンでは、新タイトル移行後初の「RAGE Shadowverse Japan Championship 2025」が開催され、Junan選手が優勝を果たした。Junan選手は、守護を主体とした盤面制圧に注力する堅実な戦法でエルフの攻めを退け、王者の座とWGP 2025への参加権利を獲得した。この結果は、環境が進行する中でウィッチやエルフが増加傾向にある中、守備的な戦略が有効であることを証明した。

また、プロリーグ「RAGE Shadowverse Pro League 2025 Championship」は11月22日に開催され、横浜F・マリノスが総合優勝を飾った。プロの舞台では、2デッキBO1という大会形式を意識し、特定の不利マッチアップを極力減らす戦略的なデッキ選択が勝敗を分ける重要な要素となっている。プロ選手たちは、自身の得意とするデッキクラスを信じ、予選からプレーオフにかけて一貫して使用する傾向が強く、個々のプレイヤーによるメタゲームの読みが深く反映されている。

新規・復帰勢への追い風：低コスト参入の推奨

競技シーンの熱狂は、新規・復帰勢の参入を加速させている。シャドバ運営は、初心者でも容易に環境デッキを組めるよう、低コストでのデッキ構築を推奨している。

特に推奨されるのは、低コストカードを連打し早期決着を目指すアグロ系デッキだ。「アグロヴァンパイア」や「疾走ガルラビショップ」は、生成エーテルが5,000台と非常に安価でありながら、高ランク帯でも通用する実績を持つ。また、より安価な「コンボエルフ」（必要エーテル9,260）も、短時間でのプレイが可能であることから、初心者層に人気が高い。

新規プレイヤーは、まず「戦い方のテーマ」と「フィニッシャー」を明確にし、そのカードを軸にデッキを組み上げることが、効率的なエーテル資産管理の鍵となる。さらに、後攻6ターン目の「超進化」を強力に行えるフォロワーを必ず組み込むことが、勝利への重要なステップとされている。

年末の集大成：1億円WGPへの期待

シャドバの2025年の集大成は、12月下旬に集中する。12月17日に予定されている大型アップデート「スイートホーム」は、新たなゲーム体験を提供する見込みだ。

そして、12月27日、28日には、世界最高峰のプレイヤーたちが集結する「Shadowverse World Grand Prix 2025」が開催される。この大会は、優勝賞金1億円をかけ、シャドバWBの戦略の全てが披露される場となる。新システム「超進化」が導入された激動の環境下で、どのような革新的な戦略が世界を制するのか、国内外のファンは固唾を飲んで見守っている。シャドバは、競技性と参入しやすさを両立させながら、eスポーツとしての地位を確固たるものにしつつある。