レノファ山口、攻撃力不足で19位の現実：J2残留と大規模戦力刷新の行方

ニュース要約: J2レノファ山口は攻撃力不足（平均0.9得点）が響き、19位で辛くもJ2残留を果たした。クラブは決定力不足の構造的課題を克服するため、ベテランの退団と若手・即戦力FWの補強を含む大規模な戦力刷新を断行。来季に向け、若返りと攻撃的アイデンティティの再構築を目指す。

レノファ山口、J2残留へ正念場攻撃力低迷で19位、最終節に懸ける命運と大胆な戦力刷新

2025年11月29日（山口発）

2025年シーズンをJ2リーグで戦い抜いたレノファ山口FCは、最終順位19位という危機的な状況でシーズンを終えた。J2からJ3への降格は下位3クラブに適用されるため、クラブは終盤まで入れ替え戦回避に向けたギリギリの戦いを強いられた。低迷の最大の要因となった攻撃力不足の構造的な課題と、この危機を乗り越えるべく既に着手されている大規模な戦力刷新の動きを追う。

深刻な決定力不足が招いた19位の現実

レノファ山口の2025年シーズンは、データが示す通り、攻撃面での課題が深刻な影を落とした。シーズンを通じた平均ゴール数はわずか0.9点。これはリーグ18位という下位の成績であり、年間を通して得点力不足に苦しんだ実態が浮き彫りとなった。

特に注目すべきは、シュート数自体は平均（12.7本）であったにもかかわらず、枠内シュート数がリーグ15位の3.6本に留まった点だ。これにより、決定力の欠如が構造的な問題として顕在化した。

また、ボール保持率は48.3%でリーグ15位と、試合の主導権を握れないゲーム展開が目立った。ドリブル数はリーグ4位と高水準を維持していたが、この個人の突破力が組織的なゴールに結びつかず、効率の悪い攻撃が続いていた。エースである山本桜大選手がチーム最多の8得点をマークしたものの、全体の得点力不足を補うには至らず、レノファは残留をかけた最終節（大宮戦）まで重いプレッシャーの中で戦うこととなった。

J2残留をかけた最終節は、「勝てば確実、引き分けならほぼ確実、負ければ危険」という極めて切迫した状況であり、クラブはJ3降格という最悪のシナリオを回避するために、最後の最後まで力を振り絞る必要があった。この危機的な状況は、クラブの財政基盤や地域との関係にも影響を及ぼしかねず、レノファ山口にとって2025年シーズンは、クラブ経営の脆弱性を露呈する一年となったと言える。

ベテラン退団と若手補強：来季への大胆な「人斬り」

2025年シーズンの反省を踏まえ、レノファ山口FCは既に2026年シーズンに向けた大規模な戦力刷新を断行している。低迷したチーム体質の改善と、攻撃力を高めるための大胆な入れ替えが特徴だ。

契約満了による退団者には、田中稔也選手、佐藤謙介選手、ヘナン選手、シルビオ・ジュニオール選手といった複数の主力や外国籍選手が含まれる。さらに、長年にわたりJリーグで活躍し、チームを支えた山瀬功治選手が現役引退を表明。また、糸原紘史郎選手（湘南ベルマーレへ）、西堂久俊選手（FC東京へ）が期限付き移籍するなど、中盤を中心に大きな血の入れ替えが行われている。

一方で、クラブは未来への投資を加速させ、若手と即戦力の補強を同時進行で進めている。新加入選手として、履正社高校出身のMF木村有磨選手、日本体育大学のMF小澤亮太選手、福岡大学のDF磯谷駿選手といった将来性豊かな大卒・高卒選手を積極的に獲得した。

最大の課題であった得点力不足の解消に向けては、FWアレフ・フィルミーノ選手を海外から補強。また、ファジアーノ岡山から期限付き移籍で輪笠祐士選手を獲得するなど、J2での経験値を持つ即戦力の確保にも動いている。これらの動きから、レノファ山口が、単に残留を目指すだけでなく、チームの若返りと攻撃的なアイデンティティの再構築を目指していることが読み取れる。