エリザベス女王杯:レガレイラが背負う重圧 桜花賞馬復活か、大外刺客か
ニュース要約: 2025年エリザベス女王杯、有馬記念馬レガレイラが単勝2.2倍の圧倒的支持を集め、GⅠ3勝目という歴史的偉業に挑む。京都2200mは絶好の舞台だが、重圧と進路の詰まりが死角。復活を期す桜花賞馬ステレンボッシュ、大外一気のリンクスティップが女王の座を虎視眈々と狙う。牝馬の価値を高める一戦のドラマを展望する。
【エリザベス女王杯2025】レガレイラ、歴史的「怪物牝馬」が背負う重圧と勝算――復活期す桜花賞馬、大外からの逆転劇の可能性
2025年11月16日、秋の古都・京都競馬場に、牝馬の頂点を決める第50回エリザベス女王杯(GⅠ)のファンファーレが鳴り響く。英国女王の名を冠し、日本の牝馬競走の歴史を築き上げてきたこの伝統の一戦は、今年は一頭の「怪物牝馬」を中心とした強烈な物語を予感させている。
その名はレガレイラ。昨年の有馬記念(GⅠ)を制し、牝馬の枠を超えた実力を証明した彼女が、単勝2.2倍という圧倒的な支持を集め、歴史的な偉業達成に挑む。天候晴れ、芝良馬場という絶好のコンディションで開催される女王決定戦の行方を、日本人の視点から深く読み解く。
■ 怪物牝馬レガレイラ、GI3勝目への重圧
レガレイラの今年の充実ぶりは目覚ましい。前走のオールカマー(GⅡ)では牡馬相手に57kgの斤量を背負いながら快勝。この勢いを駆ってエリザベス女王杯に臨む。もしここで勝利すれば、GI3勝目という牝馬としては非常に稀有な快挙を達成する。
彼女の最大の武器は、京都外回り2200mという舞台設定にこそある。このコースは差し・追い込み脚質の破壊力が最大限に活きる舞台であり、プロの予想家も「ベストに近い」と太鼓判を押す。枠順も昨年有馬記念を制した時と同じ4枠7番を引き当て、陣営は再現への期待を膨らませる。
しかし、圧倒的本命馬には常に重圧が伴う。「死角」として指摘されるのは、レガレイラが昨年の同レースで1番人気を裏切り5着に敗れた過去、そして後方待機策ゆえに発生しがちな進路の詰まりのリスクだ。戸崎圭太騎手の手綱捌きと、瞬時の判断力が、歴史的偉業への鍵を握る。AI予想が「馬券内率87%」と評価する一方で、過去の教訓をどう活かすか、全ての注目が集まっている。
■ 復活を期す桜花賞馬と大外からの刺客
レガレイラに一矢報いるべく、強力なライバル勢も虎視眈々と女王の座を狙っている。
中でも、昨年の桜花賞馬ステレンボッシュ(単勝12.2倍)の復活劇への期待は大きい。4歳に入ってからスランプに陥っていたが、陣営は今回のレースに向けて入念な立て直しを図ってきた。名門・国枝栄調教師は2枠2番の好枠を「ラッキー2」と評価。鞍上のクリストフ・ルメール騎手も「ポテンシャルは分かっている。適切なポジション取りができれば、きっと結果を残してくれる」と、オークス以来のGⅠタイトル奪取に強い自信を覗かせる。名手の戦略的な騎乗が、復調気配のステレンボッシュをどこまで導けるか、目が離せない。
また、穴馬として専門家が最も注目するのがリンクスティップだ。前走の紫苑ステークスで敗れたのは力負けではなく展開のアヤと見られており、能力は折り紙付き。今回は大外16番枠からのスタートとなったが、これを逆手に取り、揉まれずにスムーズな競馬から一気の末脚で上位進出を狙う。先行馬が有利とされる展開の中で、リンクスティップの大外一気は波乱を呼ぶ可能性を秘めている。その他、エリカエクスプレス(単勝9.5倍)も人気上位の一角を占めている。
■ 牝馬の価値を高める「エリザベス女王杯」の重み
エリザベス女王杯は、単なる一レース以上の歴史的意義を持つ。このレースは牝馬の実力を同世代だけでなく、古馬も含めた真の競争で測る場を提供し、リスグラシューやラッキーライラックといった名牝を輩出することで、牝馬の価値と評価を飛躍的に高めてきた。
レガレイラがこの舞台で勝利を掴めば、それは「牝馬限定G1・牡馬混合G1・G2をすべて制覇」という、多様な舞台での強さを証明する歴史的な快挙となる。これは、今後の牝馬の育成や評価基準に大きな影響を与え、日本の競馬界における牝馬の地位をさらに押し上げる象徴的な出来事となるだろう。
良馬場で最高の舞台が整った京都。レガレイラが歴史に名を刻むのか、それともスランプを脱した桜花賞馬や、大外からの刺客が女王の座を虎視眈々と狙うのか。秋の古都で繰り広げられる、牝馬最高峰のドラマから一瞬たりとも目が離せない。(了)