暖冬で冬眠しないクマがスキー場を徘徊:全国で警戒レベル異例の高さ
ニュース要約: 2025年冬、暖冬と餌不足の影響で、冬眠しないクマ(ヒグマ、ツキノワグマ)が全国のスキー場周辺で相次いで目撃され、警戒レベルが異例の高さとなっている。雪上での遭遇リスクを受け、各スキー場は音響・巡回パトロールを強化。利用者はクマ鈴の携帯や、遭遇時の冷静な行動が不可欠とされている。
暖冬と餌不足が招く異例の事態:スキー場を脅かす「冬眠しないクマ」の脅威
2025年12月12日
2025年(令和7年)冬のスキーシーズンが本格化する中、全国のスキー場周辺でクマ(熊)の出没に関する警戒レベルが異例の高さとなっている。特に北海道のヒグマ、本州のツキノワグマともに、暖冬による冬眠の遅れと、主要な餌であるドングリなどの不作が重なり、本来雪の下で眠るはずの個体が、ゲレンデ周辺やその入口で目撃される事例が相次いでいる。関係各所は、スキーヤーやスノーボーダーに対し、雪上での遭遇リスクが高まっているとして、厳重な注意を呼びかけている。
北海道で続く冬場のヒグマ目撃
北海道では、例年11月頃には冬眠に入るヒグマの活動が、2025年に入っても確認され続けている。提供された情報によれば、千歳市民スキー場や札幌市のFu'sスノーエリア(フッズスノーエリア)、下川スキー場などで、5月から11月にかけて複数回の目撃情報が当局に寄せられている。特に11月15日には、下川スキー場付近のジャンプ台周辺でヒグマが移動する様子が確認されており、積雪期に入っても活動を続けている実態が浮き彫りとなった。
北海道特有の大型種であるヒグマは、雪上においても人間を遥かに上回る機動力を持ち、遭遇した場合の危険度は極めて高い。「スキー場 熊」の目撃情報が冬季にまで及ぶことは、従来の安全対策の枠を超えた警戒体制を必要としている。
暖冬と不作が生態系を狂わせる
この異例の事態の背景には、気候変動と餌資源の変動という二つの要因が深く関わっている。環境省や専門家の分析によると、2025年は秋季の気温が高く推移したため、クマが冬眠に入るタイミングを逸した個体が多い。さらに、山間部でドングリなどの木の実が不作だったため、十分な脂肪を蓄えられなかったくまが、栄養補給のために人里に近いスキー場周辺まで徘徊しているとみられる。
雪上でのクマの活動は、過去の事例からも確認されている。ロシアなど海外の例では、冬季でも高速で移動し、時には施設に侵入するケースも報告されている。雪が積もることで人間の行動は制限されるため、スキーヤーにとっては、遠方からのクマの接近に気づき、迅速に距離を取ることが極めて重要となる。
全国スキー場、異例の警戒強化へ
この脅威に対応するため、全国の主要なスキー場では、2025-2026年シーズンに向けて対策を大幅に強化している。
群馬県の鹿沢スノーエリアでは、過去にクマの目撃事例がなかったにもかかわらず、餌不足による冬眠不実施の懸念から、スピーカーによるサイレンの活用や、爆竹、クマ撃退スプレーの準備といった予防措置を講じている。また、長野県の白馬村や宮城県のスプリングバレー仙台泉スキー場でも、猟友会と連携したパトロールを強化し、ラジオ放送を流すなど、音による忌避対策を徹底している。
これらの対策は、スキー場利用者に「安心滑走環境」を提供するための努力の一環だが、根本的には自然界の変動に起因する問題であり、利用者自身の警戒意識が不可欠となる。
遭遇時の教訓と利用者への呼びかけ
クマによる人身被害は既に発生している。2025年4月には、群馬県片品村戸倉(尾瀬国立公園内)のスキーエリアで、男性スキーヤーがツキノワグマに襲われ負傷する事件が発生した。この事例は、雪上での活動中であっても、クマが活動期に入っていれば遭遇リスクがあることを示している。
スキー場運営側は、利用者に対し、クマ鈴やホイッスルなどの音が出るものを携帯し、人間の存在をアピールすることを推奨している。万が一、くまに遭遇した場合は、決して走らず、落ち着いて静かに後退することが鉄則だ。急な大声や動きはクマを刺激する。両腕を上げて自分を大きく見せつつ、目を離さずにゆっくりと距離を取り、近くの木や岩などの障害物を間に置くことが推奨される。
専門家は、暖冬傾向が続く限り、クマの冬眠パターンの変化は定着する可能性があり、冬季の警戒は今後数年にわたって継続する必要があると指摘する。スキー場を訪れる際は、最新の目撃情報を確認し、自然の中に入り込む者としての自覚と、厳重な警戒心を持って行動することが求められている。
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