JR四国、合理化と未来投資の狭間で挑む持続可能な「四国モデル」
ニュース要約: JR四国は5期連続黒字を達成する一方、特急廃止やワンマン化などの合理化を断行。しかし、新型ハイブリッド車両3600系を導入し、未来への投資も怠らない。地域社会との協調を深め、人口減少時代に耐えうる持続可能な「四国モデル」の構築を目指す。
JR四国、持続可能な「四国モデル」へ:経営改善と合理化の狭間で挑む未来投資
【高松本社発】 四国地方の公共交通を担うJR四国は、人口減少と少子高齢化という厳しい環境下で、収支構造の抜本的な改善と地域ネットワークの維持という二律背反の課題に直面している。直近の2025年度第2四半期決算では、運輸・非鉄道事業の伸長により営業収益278億円を達成し、前年比で増収、純利益も増益を達成するなど、経営改善の道筋を示している。一方で、2025年3月ダイヤ改正では特急の廃止・区間短縮を断行するなど、合理化の波は避けられていない。
年末年始の輸送計画発表や新型車両「3600系」の導入決定など、多角的な動きを見せるJR四国の現状と、持続可能な公共交通網構築に向けた挑戦を追う。
構造改革の成果と「合理化」の断行
JR四国が発表した2025年度第2四半期決算は、瀬戸内国際芸術祭や各種イベントによる旅行需要の回復、さらには国からの支援策が奏功し、経常利益51億円を計上、5期連続の黒字、3期連続の増益となった。中期経営計画2025の最終年度として、鉄道収益の拡大とコスト削減を両輪で推進している。
しかし、この収支改善は、ローカル線の維持が困難になる中で行われる「合理化」と表裏一体である。2025年3月15日のダイヤ改正では、牟岐線を走る特急「むろと」が廃止され、高徳線特急「うずしお」は岡山駅発着区間が高松駅発着に短縮されるなど、主要路線のサービス水準見直しが図られた。また、予讃線特急「宇和海」の一部区間ではワンマン化が進められる。
社長は、赤字ローカル線の存廃協議について「今はその時期ではない」と明言し、地域対話を重視する姿勢を見せているものの、2025年度までに国へ抜本的な経営改善策の報告が求められており、今後も厳しい判断が続くとみられる。JR四国は、人口減少下で公共交通ネットワークを維持する「四国モデル」の確立を目指し、効率化を加速させている。
未来への投資:新型車両「3600系」と駅舎リニューアル
一方で、JR四国は未来への投資を怠っていない。老朽化したローカル気動車を置き換える新型ハイブリッド式ローカル車両「3600系」の量産先行車が完成し、2026年1月から走行試験を開始、同年6月をめどに営業運転を開始する予定だ。
3600系はエンジン発電と蓄電池を組み合わせたハイブリッド方式を採用し、環境性能と効率性を大幅に向上させる。最終的に35編成(70両)を製作し、高徳線や徳島線など香川・徳島エリアに順次導入される計画だ。これは、厳しい経営状況にあっても、安全輸送とサービス品質の維持・向上を目指すJR四国の強い決意の表れと言える。
また、地域との連携を深めるため、駅舎の改築・リニューアルも進められている。予讃線高瀬駅(香川県三豊市)では自治体との協働により新駅舎の一部が12月15日から供用開始されるなど、バリアフリー化や地域交流拠点としての機能強化が図られている。
年末年始輸送計画と誘客戦略
間近に迫った年末年始の輸送計画も発表されている。年末年始期間(例:12月30日~1月3日)は、臨時列車を除き休日ダイヤでの運行となる。
特に初詣客を見込み、高松〜琴平間では深夜から早朝にかけて臨時普通列車が運転されるほか、予讃線の特急「しおかぜ」は年末年始の一部期間、全編成が岡山発着となる特別運行を実施する。また、寝台特急「サンライズ瀬戸」の延長運転や、観光列車の特別運転も予定されており、多客期に対応する。
さらに、誘客戦略として、スマートフォンアプリ限定販売の「若者限定四国フリーきっぷ」など、若年層や冬季旅行者をターゲットとした企画きっぷを発売。JR四国は、きっぷ販売と連動したキャンペーンを積極的に展開し、交流人口の拡大を図っている。
地域社会との協調による持続可能性の追求
JR四国は、四国4国立大学や自治体と連携し、地域振興を推進している。特に、学生が地域資源を活用した旅行プランを企画する「地域観光チャレンジ2025」は、優秀プランが旅行商品として市場展開される予定であり、若者の視点を取り入れた新たな誘客手法として注目されている。
新型車両の導入、徹底した合理化、そして地域連携による収益基盤の強化。これら多岐にわたる施策を通じて、JR四国は、厳しい環境下で持続可能な公共交通インフラを維持し、四国地域の活性化に貢献するという重責を担い続けている。今後のJR四国の動向は、地方鉄道の未来を占う上で、極めて重要であると言えよう。
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