MAMA 2025 香港開催:YG復権と採点基準変更がK-POP勢力図を変えるか
ニュース要約: アジア最大の音楽祭「MAMA 2025」が香港で開催。最新AR技術のメガステージと共に、K-POPの勢力図の変化が焦点だ。特に、YGエンタの劇的な復権と、審査員比率増加による採点基準変更がファンコミュニティで波紋を広げている。祭典は公正性とファン心理の狭間でK-POPの未来を占う試金石となる。
【深層分析】K-POPの祭典「MAMA 2025」、香港で迎える新時代:YG復権と公正性を巡る議論
2025年11月26日 日本経済新聞/文化・エンタメ面
アジア最大級の音楽授賞式「Mnet Asian Music Awards(MAMA 2025)」が、いよいよ今週末、11月28日と29日の両日にわたり、香港の啓徳(カイタック)スポーツパークで盛大に開催される。7年ぶりに香港へ回帰し、Mnet設立30周年という節目を迎える今年のMAMA 2025は、開催規模、技術革新、そしてK-POPの勢力図の変化という三つの側面で、例年にない注目を集めている。
特に、授賞式の公正性を巡る採点基準の大幅な変更や、一時は低迷が囁かれたYGエンターテインメント(YG)の劇的な復権が、業界内外で大きな議論を呼んでおり、今年の祭典は単なる祝賀イベントに留まらない、K-POPの未来を占う試金石となりそうだ。
巨大スタジアムが示すK-POPの「グローバル標準」
今年のMAMA 2025の最大の特徴は、新設された啓徳スポーツパークという巨大な会場を選んだ点にある。従来の会場を凌駕するスケールは、K-POPがアジアの枠を超え、世界的なエンターテインメント産業として確立した現状を象徴している。
制作陣は、この広大な空間を最大限に活用し、没入型AR(拡張現実)やホログラム技術を駆使した「メガステージ」を多数企画。特に、Stray Kidsが披露する初のメガステージや、Netflixとの異色のコラボレーション「Kpop Demon Hunters」特別パフォーマンスは、音楽と映像技術の融合を新たな次元に引き上げる試みとして期待が寄せられている。
また、今年のテーマである「HEUNG(興)」と「UH-HEUNG(虎嘯)」は、韓国文化の躍動感とグローバルな存在感を強調。国際的な映画スターであるミシェル・ヨー(楊紫瓊)を招待するなど、K-POPがハリウッドを含む世界のポップカルチャーと融合していく姿勢を鮮明に打ち出している。
勢力図の変化:YGの「虎の咆哮」と大賞の行方
今年のアーティスト・ラインナップの中で、最も劇的な変化を見せているのが、YGエンターテインメントの復調だ。創業者であるヤン・ヒョンソク氏が11年ぶりにMAMAの現場に姿を見せ、新生代アーティストを激励するという事実は、同社の戦略転換と市場回復の強さを物語る。
特にガールズグループのBABYMONSTERは、楽曲『SHEESH』の世界的な逆走現象とグローバルツアーの成功により、一躍、今年の最注目ルーキーとなった。彼らと、同じくYG所属のTREASUREの活躍は、長らくJYPやHYBE、SMにリードされていたK-POPの「ビッグ4」の勢力図に再び緊張感をもたらしている。
大賞(Daesang)の行方も激戦だ。年度楽曲賞をaespaが『Supernova』で獲得し、年度アルバム賞をSeventeenが手にした一方で、年度アーティスト賞を含む大賞の最終候補には、グローバルな影響力を持つStray Kidsや、新世代の代表格であるIVEが有力視されている。受賞結果は、2026年以降のK-POP市場のトレンドを決定づける重要な指標となるだろう。
ファン心理と公正性の狭間で:採点基準変更への波紋
華々しい舞台の裏側で、MAMA 2025は採点基準の大幅な変更により、ファンコミュニティからの強い反発に直面している。
今年、大賞を含む主要部門において、**審査員による評価の比重が従来の25%から40%へと大幅に引き上げられた。**その一方で、フィジカルアルバムの販売比重は40%から30%に減少。さらに、ファンによる「Fans’ Choice」の投票に関しても、アプリ投票の比重が高まり、国際的なSNS(Xなど)の影響力が制限された。
この変更に対し、ファンからは「長年の努力が軽視されている」「審査員比率の増加は、結果操作の余地を生む」といった批判が噴出。特に「Artist of the Year」などの大賞部門において、ファン投票が形骸化するのではないかという懸念が広がっている。
主催者側は、この変更が「多様な音楽性と芸術性を公正に評価するため」と説明しているが、K-POPを支える熱狂的なグローバルファン層の影響力を意図的に抑制しようとする動きは、今後の授賞式運営の透明性と信頼性に大きな影を落とす可能性がある。
MAMA 2025は、最新の技術と最高のパフォーマンスでK-POPの現在地を示す一方で、グローバルビジネスとしての成長と、その根幹を支えるファンとの関係性の再構築という、二律背反の課題を突きつけられている。香港の夜空の下で、K-POPの次なる章がどのように開かれるのか、世界中の視線が注がれている。
(了)