元メジャーリーガー・マック鈴木氏の現在。淡路島のジム経営と全国での野球普及活動に迫る
ニュース要約: 日本人初の「NPBを経由しないメジャーリーガー」として知られるマック鈴木氏。現在は兵庫県淡路島でのスポーツジム運営を軸に、全国各地での野球教室やメディア出演を通じて次世代の育成に尽力しています。自身の波乱万丈な経験を基に「失敗を恐れず世界へ挑戦する大切さ」を説き続ける、氏の地域に根ざした精力的な活動を追います。
元メジャーリーガー・マック鈴木氏、地域に根ざした野球普及活動を継続
淡路島のジム経営と全国各地での指導に奔走
【神戸】 16歳で単身渡米し、日本のプロ野球を経由せずにメジャーリーグでプレーした初の日本人選手として知られるマック鈴木氏(本名:鈴木誠、50)が、現役引退後も精力的に野球の普及活動を続けている。2025年12月現在、兵庫県を拠点にスポーツジム運営、テレビ解説、野球教室の講師など多岐にわたる活動を展開。若い世代に「世界に挑戦する勇気」を伝え続けている。
全国を飛び回る野球教室の講師
11月下旬、滋賀県で開催された「MLB CUP 2025 ファイナルラウンド」。この全国大会の野球教室で、マック鈴木氏は小学生選手たちを前に、自身の経験を織り交ぜながら熱心に指導した。
「自分の目で見て、肌で感じてほしい」。氏は子どもたちにメジャーリーグの魅力を語りかけた。野球における失敗からの挽回の重要性を強調し、「失敗を恐れず挑戦することの大切さ」を繰り返し伝えた。
マック鈴木氏の野球教室は、これが初めてではない。MLB JAPANが主催する「PLAY BALL」イベントの講師として、2025年だけで東京(1月)、秦野(5月)、福岡(6月)、佐賀(9月)、桐生(10月)、そして滋賀(11月)と、全国各地を回っている。元カンザスシティ・ロイヤルズの投手として培った経験を、次世代の育成に注いでいる。
地元・兵庫での講演活動
12月13日には、兵庫県多可町のベルディーホールで開催された多可高校創立50周年記念式典に登壇した。神戸市須磨区出身の氏は、米国での下積み時代を振り返りながら、高校生たちに熱いメッセージを送った。
「世界に飛び出して活躍し、地元に戻って発展に協力してほしい」
氏自身が17歳で兵庫県の滝川二高を中退し、エージェントの紹介で1Aサリナス・スパーズに球団職員兼練習生として参加した経緯は、今も語り草となっている。雑務をこなしながら生活を始め、1993年にマリナーズ傘下でチャンスを掴むまでの苦労は、並大抵のものではなかった。
「当時は『この日本人は投げるのか?』と疑問視されていた」と、氏は当時を振り返る。しかし、1996年7月7日、村上雅則氏、野茂英雄氏に次ぐ3人目の日本人メジャーリーガーとして正式デビュー。日本のプロ野球を経由しない初の日本人選手という金字塔を打ち立てた。
淡路島でトレーナーとして地域貢献
現役引退後、マック鈴木氏は淡路島に「サンライズマックジム」を開設。2011年の独立リーグ・神戸サンズでの選手兼任監督を最後に指導者からは離れたが、トレーナーとして2012年から地域のスポーツ振興に尽力している。
「夢を持つ大切さを伝えたい」。ジムでのトレーニング指導を通じて、氏は自身のメジャーリーガー経験を基に、若者たちに目標に向かって努力することの価値を説き続けている。
関西を中心とした活動は多岐にわたる。2013年からはJ SPORTS、2017年からは関西テレビのローカル中継で解説者として出演。2015年以降はミヤギテレビも担当し、テレビを通じた野球文化の普及にも貢献している。また、大阪府の履正社医療スポーツ専門学校では講師として後進の指導にも当たっている。
メジャーでの栄光と挫折
マック鈴木氏のキャリアは、まさに波乱万丈だった。2000年にはロイヤルズで先発投手として規定投球回に到達し、8勝1完封というキャリアハイの成績を残した。しかし、1999年には飲酒運転で逮捕されるなど、私生活での失敗も経験した。
2002年にメジャーリーグを解雇された後、日本球界への復帰を決意。ドラフト2位でオリックスに入団したが、一軍での活躍は限られた。2005年にオリックスを退団した後は、メキシカンリーグ、台湾(La Newベアーズ)、ベネズエラ、独立リーグと、野球を求めて世界を転々とした。
台湾では台湾シリーズMVPを獲得するなど、日米以外でもその実力を証明。「偶然の積み重ね」と謙遜する氏だが、その挑戦の軌跡は、多くの若者に勇気を与えている。
メディアでも注目される存在
11月には日本テレビの人気番組「しゃべくり007」に出演し、16歳で米国に挑戦した経緯を披露。12月18日にはフジテレビ「ぽかぽか」にも登場し、現役時代のエピソードを語った。テレビ番組での露出も多く、その経験談は視聴者から高い関心を集めている。
マック鈴木氏の妻で、お笑いコンビ「クワバタオハラ」の小原正子さんとともに、YouTubeやブログでも家族の日常を発信。子育ての様子や家族での旅行など、野球以外の一面も積極的に公開し、幅広いファン層を獲得している。
次世代への継承
「世界に飛び出して活躍し、地元に戻って発展に協力する」——マック鈴木氏が多可高校の生徒たちに語ったこの言葉は、氏自身の生き方そのものだ。
2018年には、元メジャーリーガーの藪恵壱氏とともに「AIGプレゼンツ MLB CUP 2018」関西連盟大会の閉会式でスキルチャレンジを開催。小中学生に直接技術を伝える機会を設けるなど、関西地域のスポーツ振興にも積極的に関わってきた。
メジャーリーグという夢の舞台で戦い、挫折も経験したマック鈴木氏。その経験は、現在も淡路島のジムで、全国各地の野球教室で、そしてテレビの画面を通じて、若い世代に受け継がれている。「失敗を恐れず、自分の目で世界を見てほしい」という氏のメッセージは、これからも多くの子どもたちの背中を押し続けるだろう。