2026年度から「環境性能割」が2年間停止へ!自動車購入の負担はどう変わる?
ニュース要約: 政府・与党は2026年度から2年間、自動車の環境性能割を停止する方針を固めました。新車購入時の負担が最大3%軽減され、内需喚起や自動車産業支援を狙います。一方で、地方自治体の約2000億円の減収補填や、ガソリン車の割安感によるEV普及への影響が今後の課題となります。2026年3月の駆け込み需要も予想されるため、購入時期の見極めが重要です。
環境性能割、2026年度から2年間停止へ 自動車購入の負担軽減図る
政府・与党は2026年度から2年間、環境性能割の課税を停止する方針を固めた。新車販売の活性化と自動車産業への支援を目的とした措置で、年末の税制改正大綱に盛り込まれる見通しだ。消費者の購入負担は軽減される一方、地方自治体の税収減への対応が課題となる。
停止の背景と狙い
環境性能割は2019年10月の消費税率引き上げに伴い、従来の自動車取得税に代わって導入された地方税だ。車両の燃費性能に応じて取得価額の0〜3%を課税する仕組みで、環境性能が高い車ほど税率が低くなる。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)は非課税だが、燃費基準を満たさないガソリン車には3%が課される。
今回の停止方針の背景には、複数の要因がある。第一に、米国の関税政策など外部環境の変化により、自動車産業に負荷がかかっていることだ。第二に、新車販売の活性化を通じて内需を喚起したいという政治的意向がある。高市早苗首相は2025年の自民党総裁選で2年間の凍結を公約に掲げており、これが政策決定を後押しした形だ。
第三に、自動車業界が長年求めてきた「購入時課税の軽減」がある。日本自動車工業会などの業界団体は、消費税と環境性能割の負担を二重課税とみなし、環境性能割の廃止を要望してきた経緯がある。
消費者への影響
停止が実施されれば、新車購入時の負担は確実に軽減される。例えば、車両本体価格300万円(税抜)の新車の場合、燃費基準を満たさない車種で約8万1000円の税負担がなくなる計算だ。これは車両取得価額270万円(本体価格×消費税後)の3%に相当する。
中古車市場でも影響が見込まれる。中古車の場合、残価率を考慮して課税されるため、3年経過した300万円の車両では約2万5000円程度の軽減となる。高年式の中古車ほど恩恵が大きくなる傾向にある。
ただし、現在すでに非課税扱いとなっているEVやFCV(燃料電池車)、PHEVについては、停止による直接的なメリットはほとんどない。むしろ、停止により従来は課税されていたガソリン車の相対価格が下がることで、短期的にはEVへの需要移転が鈍る可能性も指摘されている。
地方財政への影響と財源問題
環境性能割による税収は年間約2000億円規模とされ、すべて地方自治体の財源となっている。停止により地方自治体に大幅な減収が発生するため、政府は減収分を全額補填する方針を示している。
しかし、補填の具体的な財源や仕組みについては明確になっていない。国庫からの補助、他税への振替、地方交付金の調整など、さまざまな選択肢が考えられるが、いずれも財政全体のバランスに影響を与える。総務省は地方財政への影響を懸念しており、代替財源の確保が今後の重要な論点となる。
地方自治体側からは、自動車関連税収は道路整備などインフラ維持の重要な財源であり、恒久的な財源確保が必要だとの声が上がっている。東京、神奈川、愛知、大阪など大都市圏では税収減の影響が特に大きくなる見込みだ。
2026年3月末の駆け込み需要
停止措置は2026年4月1日からの適用が見込まれるため、直前の2026年3月末には駆け込み需要が発生する可能性が高い。特に、燃費基準を満たさないガソリン車や高年式の中古車について、税負担を回避しようとする購入が集中する恐れがある。
過去にも、自動車取得税が廃止された2019年9月末には同様の駆け込み需要が発生した。自動車販売店では在庫確保や納車体制の強化など、需要増への対応が求められることになりそうだ。
一方で、駆け込み需要により一時的に在庫が不足し、車両価格が高騰するリスクも指摘されている。消費者は購入時期の見極めが重要になる。
2年後の見直しと今後の課題
政府・与党は停止期間を2年間に限定し、2028年度以降の扱いについては今後2年間かけて検討する方針だ。恒久的な廃止、新たな環境課税の導入、保有課税の強化など、さまざまな選択肢が考えられる。
自動車税制全体の見直しも議論されている。ガソリン暫定税率の扱いや自動車重量税の一般財源化など、幅広い論点が含まれる。環境性能割の停止は、こうした包括的な税制改革の一環として位置づけられる可能性もある。
日本自動車工業会は、エコカー減税の延長と合わせて税制の簡素化を求めており、業界側の要望と地方財政の維持をどう両立させるかが焦点となる。
EV普及への影響は限定的
環境性能割の停止がEV普及に与える影響については、専門家の間で意見が分かれている。EVは現行制度ですでに非課税のため、停止による直接的な追加優遇はない。むしろ、ガソリン車の相対価格が下がることで、短期的にはEV選好が弱まる可能性も指摘される。
一方、バッテリー価格の低下や航続距離の向上、世界的なメーカーのEVシフトなど、技術革新と市場トレンドがEV普及を強力に後押ししている。環境性能割の停止だけで長期的な普及動向を大きく変えるほどの影響は限定的とみられる。
ただし、地方税収減により充電インフラ投資や購入補助金の財源が圧迫されれば、中長期的な普及を阻害する恐れもある。環境政策と税制改革のバランスをどう取るかが、今後の重要な課題となりそうだ。
【現行の適用期限】 環境性能割の現行軽減措置は2025年4月1日から2026年3月31日まで適用される。停止措置は2026年4月1日からの開始が見込まれており、最終的には税制改正大綱と関連法案の国会審議を経て確定する。
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