J3激震!首位・栃木シティの自動昇格を阻んだFC岐阜の「意地」
ニュース要約: J3リーグ第36節、首位を走る栃木シティFCは敵地でFC岐阜に0-2で敗れ、自動昇格決定を阻まれた。岐阜は川本梨誉の先制点とオウンゴールで勝利。この結果、栃木シティの昇格決定は残り2試合に持ち越され、J2昇格争いは最終盤で最高潮の緊張感に包まれている。
J3激震!首位・栃木シティの自動昇格を阻んだFC岐阜の「意地」
昇格決定は最終盤へ持ち越し、地方クラブの熱狂がJリーグを揺るがす
2025年11月15日、明治安田J3リーグは終盤の天王山となる第36節を迎え、岐阜メモリアルセンター長良川競技場では、ホームのFC岐阜が首位を走る栃木シティFCを2-0で下す波乱の結果となった。
この一戦は、勝ち点71でリーグ首位に立つ栃木シティにとって、勝利すればJ2自動昇格が確定するという、まさにクラブの歴史を左右する重要な機会であった。しかし、中位に甘んじる岐阜がホームで「意地」を見せ、昇格への祝杯を目前にした強豪の足踏みを誘った。5,828人の観衆が見守った熱戦の行方を追う。
決定打となった川本の一撃とオウンゴール
試合は昇格を懸ける栃木シティと、ホームで強豪を迎え撃つ岐阜の間で、序盤から激しい攻防が展開された。データ上も、前半51分時点でのポゼッション率は岐阜49%、栃木C51%と完全に拮抗しており、両チームの組織力がぶつかり合う様相を呈していた。
しかし、勝負を分けたのは、岐阜が持ち前の集中力と決定力を発揮した先制点だった。
前半23分、岐阜はアクシデントに見舞われる。キャプテン山田が負傷交代を余儀なくされるが、その直後、途中出場のFW川本梨誉が左からのクロスにワンタッチで合わせ、値千金の先制ゴールを叩き込んだ。このゴールは、チームにとって大きなモメンタムを生み出した。
失点後、栃木シティはピーターウタカや大嶌を中心とする強力な攻撃陣が猛攻を仕掛ける。特にウタカはペナルティエリア内から幾度となく枠内シュートを放ったが、FC岐阜の守護神、GK茂木弘人がことごとくセーブ。堅守が崩れることはなかった。
そして後半68分、岐阜はさらに突き放す。相手のクリアミスを誘う形でオウンゴールを奪い、リードを2-0に広げた。この2点目が、栃木シティの集中力を奪う致命傷となり、そのまま試合は終了。岐阜が2試合ぶりの白星を手にし、首位チームに土をつけた。
昇格を阻まれた首位、栃木シティの苦悩
栃木シティは今季、36試合で21勝を挙げ、61得点37失点という圧倒的な成績でJ3を牽引してきた。直近5試合も3勝2分けと絶好調を維持しており、この金星級の敗北は9試合ぶりの黒星となった。
ボール支配を重視し、組織的なビルドアップから多彩な攻撃を仕掛けるのが栃木シティの戦術的特徴だが、岐阜戦では相手のタフな守備とホームの熱狂的な雰囲気に飲まれ、持ち味を発揮しきれなかった。
この敗北により、栃木シティの勝ち点は71で足踏み。自動昇格の確定は16日以降の他会場の結果、あるいは残り2試合(長野戦、相模原戦)での勝利に持ち越された。最終盤に来て、リーグの緊張感は最高潮に達している。
地方クラブの意地が示すJ3の魅力
一方、勝利したFC岐阜は、直近の成績が2勝0分け3敗とやや苦戦していた中で、首位チームから勝ち点3を奪取したことは、来季に向けた大きな弾みとなる。この勝利で順位を中位圏で維持したが、戦術的な立て直しと選手起用の成果が如実に現れた形だ。
この結果が示すのは、J3リーグならではの「地方クラブの意地」である。地域に根ざしたクラブが、昇格という大目標に向けて全身全霊を懸けて戦う姿、そしてそれを支える5,000人を超えるサポーターの熱狂こそが、J3の真の魅力だと言えるだろう。
栃木シティの自動昇格は持ち越しとなり、残りの2試合はさらに緊迫した状況で迎えられることとなる。J2昇格を巡る最後の争いは、最終節まで目が離せない展開となりそうだ。