【独自分析】元藤浪トレード相手156キロ左腕ルーカスがNPBへ 争奪戦の行方

【独自分析】元藤浪トレード相手、左腕イーストン・ルーカスがNPBへ　最速156キロの剛速球は日本で通用するか

—ブルージェイズ自由契約、ローテ候補として複数球団が争奪戦か—

2025年11月27日

トロント・ブルージェイズに所属していた左腕投手、イーストン・ルーカス（Easton Lucas、29歳）が、日本時間11月26日にメジャー40人枠を外れ、自由契約の手続きが進められていることが明らかになった。複数の米メディアは、ルーカス投手がアジア圏、特に日本のプロ野球（NPB）球団との契約を目指していると報じており、来季のNPB助っ人補強の目玉として、水面下で争奪戦が展開されている模様だ。

藤浪投手との「縁」を持つ左腕

イーストン・ルーカス投手の経歴は、日本のプロ野球ファンにとっても無関係ではない。彼は2023年7月、当時ボルチモア・オリオールズに在籍していた際に、オークランド・アスレチックスへ移籍。この移籍は、奇しくもアスレチックスからDeNAベイスターズへトレード移籍した藤浪晋太郎投手（当時、アスレチックス所属）との交換トレードの一部として実現した経緯がある。

2019年にマーリンズからドラフト指名を受けたルーカス投手は、その後、複数の球団を渡り歩き、2023年9月にメジャーデビューを果たした。しかし、MLBでの定着には苦労し、通算成績は20試合（先発5）、4勝3敗、防御率8.02と課題を残している。

特に今季2025年はブルージェイズで6登板（先発5試合）に登板し、3勝3敗、防御率6.66という成績だった。ローテーションの谷間を埋める役割は果たしたものの、安定感に欠け、球団は来季の構想から外した形だ。

最速156キロの高速直球と多彩な変化球

メジャーでの実績は芳しくないイーストン・ルーカスだが、スカウト陣が注目するのはその潜在能力と投球スタイルである。

最大の武器は、左腕ながら最速156キロ、平均でも151キロを計測する高速直球（フォーシーム）だ。メジャーでは投球全体の約50％を占めるこのストレートに、チェンジアップ、スライダー、そして近年流行のスイーパー、カットボールを組み合わせた多彩な変化球を駆使する。左右打者への対応力も高く、特に右打者には威力のあるチェンジアップ、左打者にはスイーパーで打ち取るパターンを持っている。

マイナーリーグ（AAA）レベルでは安定した成績を残しており、今季は17登板で防御率3.78を記録。64 1/3イニングで68奪三振を奪う高い奪三振能力（K/9=8.44）は、NPBでも通用するポテンシャルを示している。

NPB成功への鍵は「制球力とクイック」

しかし、ルーカス投手がNPBで成功を収めるためには、克服すべき明確な課題が存在する。最大の弱点は制球力の不安定さだ。今季のマイナーリーグでも31四死球を記録しており、メジャーレベルでは特にストライクゾーンでの勝負が荒くなり、甘い球を痛打されるケースが目立った。

また、情報によれば、ランナーを背負った際のクイックモーションが不得手であり、得点圏での被打率が高い点も懸念材料として挙げられる。緻密な野球を展開するNPBにおいて、ランナーを出した後の対応力は先発投手として必須の要素となる。

あるNPB球団の関係者は、「彼のストレートの威力は魅力的であり、左のローテーション候補として期待できる。しかし、日本の打者は変化球の見極めが鋭く、制球難が解消されなければ、メジャー時代と同様に苦戦を強いられるだろう。環境を変えて投球術を磨き、制球力を高められるかが鍵となる」と指摘する。

イーストン・ルーカスは現在29歳と、助っ人としては脂の乗った年齢であり、NPB球団は彼を単なる谷間の投手ではなく、ローテーションの一角を担う先発左腕として獲得を検討していると見られる。藤浪投手とのトレードという日本のファンにとって馴染みのある背景を持つルーカス投手が、どの球団と契約し、来季日本のマウンドでその高速直球を披露するのか、今後の動向に注目が集まる。

（了）