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プリンスグループ
2025年11月27日

カンボジア巨大コングロマリット「プリンスグループ」:米英が犯罪組織指定、世界で資産凍結

ニュース要約: カンボジア最大のコングロマリット「プリンスグループ」が、米英当局によりオンライン詐欺や資金洗浄を行う「超国家的犯罪組織」に指定され、国際的な包囲網が敷かれている。創設者・陳志氏率いる同グループは、世界各地で1000億円超の資産を凍結され、傘下のプリンス銀行では取り付け騒動が発生。カンボジアの金融システムに深刻な動揺をもたらし、同国の信用リスクを高めている。

【独自】カンボジア巨大コングロマリット「プリンスグループ」に国際包囲網:米英が「犯罪組織」指定、金融システム揺らす二重の顔

1000億円超の資産凍結、プノンペン発の国際詐欺ネットワークの闇

(プノンペン、ロンドン、東京発 2025年11月27日付)

東南アジアの成長エンジンとして注目されてきたカンボジア経済において、一時は最大の開発主体として君臨した巨大コングロマリット、プリンスグループ(Prince Group)が、国際的な犯罪組織として認定され、その資産が世界各地で凍結される事態に発展している。創設者である中国福建省出身の陳志(チェン・ジー)氏が率いる同グループは、不動産、金融、航空など多角的に事業を展開し、カンボジアの急速な都市化を牽引してきた。しかし、2024年後半以降、米英当局による制裁指定を皮切りに、オンライン詐欺や資金洗浄に関わる「超国家的犯罪組織」としての実態が次々と露呈。このスキャンダルは、カンボジアの金融市場に深刻な動揺をもたらし、同国の信用リスクを急激に高めている。

第一章:中国マネーとカンボジアの勃興

プリンスグループの歴史は、中国が推進する「一帯一路」構想の波に乗り、東南アジアへ流入した巨額のマネーと密接に結びついている。2011年にプノンペンで事業を開始し、2015年に正式にグループを設立して以来、同社は瞬く間にカンボジア最大の複合企業へと成長した。プノンペンのランドマークである「プリンスプラザ」をはじめ、沿岸部のシハヌークビルにおけるリゾート開発など、総額20億ドル規模の不動産事業を牽引。金融部門ではプリンス銀行を傘下に収め、航空会社(カンボジア・エアウェイズ)も運営するなど、その経済的影響力は絶大であった。

陳氏の財力はカンボジア政界にも深く浸透し、一時は「経済の恩人」として厚遇されていた。政府当局も、同グループの事業展開が全ての法的要件を満たしていると強調し、その成長を後押ししてきた経緯がある。この強固な政治的ネットワークと、当時の急速な地価高騰を背景とした開発戦略が、同グループの成功要因であったとみられる。

第二章:国際制裁の波紋と「超国家的犯罪組織」指定

しかし、2024年10月、状況は一変する。米財務省と英国政府が、プリンスグループを「越境犯罪組織」として公式に指定し、関連資産の凍結に乗り出したのだ。制裁の根拠は、同グループが組織的なオンライン詐欺、強制労働、そして国際的な資金洗浄ネットワークの中核を担っていたという点にある。

制裁発動後、国際的な捜査機関が一斉に動き出した。2025年11月1日には、シンガポール警察が詐欺組織に関連する総額1億5,000万シンガポールドル(約165億円)相当の資産を押収したと報じられた。この押収には、不動産6件、銀行口座、現金などが含まれる。さらに、イギリス当局は1.33億ポンド(約250億円)を超える住宅やオフィスなどの資産を凍結。カンボジア国内に留まらず、韓国国内の銀行に預けられていたプリンスグループ関連資金約97億円も凍結されるなど、国際的な包囲網が急速に狭まっている。

第三章:カンボジア金融システムへの衝撃

プリンスグループの事業規模の大きさゆえに、国際制裁はカンボジア国内の金融システムに甚大な影響を及ぼした。制裁発動直後、傘下のプリンス銀行では大規模な取り付け騒動が発生し、複数の支店で流動性不足による取引停止を余儀なくされた。

事態を重く見たカンボジア中央銀行は、市場の信頼を回復させるため、プリンス銀行への支払保証を異例の措置として宣言した。これは、ASEAN+3諸国の中でも数少ない預金保険制度を持たないカンボジアにおいて、中央銀行が直接介入する唯一の手段であった。この対応は、同グループの破綻が国内金融システム全体を揺るがしかねないという、同国経済の脆弱性を浮き彫りにした形だ。

第四章:慈善活動の裏側と日系企業への警鐘

プリンスグループは、一方で「Prince Foundation」を通じた教育支援や医療貢献など、積極的なCSR活動を展開し、国際的なCSR賞を受賞するなど、表面上は慈善家としての顔を持っていた。しかし、国際的な摘発により、この慈善活動が違法な金融活動の隠蔽に利用されていた可能性が指摘されており、企業倫理における深刻な二重性が露呈している。

日本企業にとっても、この事態は対カンボジア投資におけるリスク再評価を迫るものだ。現時点で、プリンスグループと日系企業の具体的な提携事例は確認されていないが、同グループが持つ法的・倫理的リスクは非常に大きく、現地ネットワークや政治的支援のメリットを遥かに上回る。

さらに、創設者である陳氏は2024年、日本法人の所在地をプノンペンから東京都港区北青山に移転させている。これは、国際的な捜査から逃れるための「合法的滞在」の布石ではないかとの見方もあり、日本国内も無関係ではいられない状況だ。

プリンスグループの凋落は、中国マネーに依存し、急速な成長を遂げた新興国市場が抱える構造的なリスクを象徴している。今後、カンボジア政府が金融市場の安定化と国際的な信用回復にどう取り組むのか、そして日系企業が東南アジアへの投資戦略において、いかにして高まる信用リスクを回避していくのかが、喫緊の課題となっている。(了)

参考情報源

プリンスグループhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
国際犯罪組織プリンス・グループのチェン・ジーとは何者か ...https://coki.jp/article/column/63342/
カンボジア犯罪団地の背後に名指しされた「プリンスグループ」 ...https://www.mk.co.kr/jp/society/11449264
アメリカがカンボジアのプリンスグループに制裁 | 鈴木亨尚http://www.world-economic-review.jp/impact/article4073.html
シンガポールとマレーシア、カンボジアの国際詐欺組織「プリンス ...https://x-bomberth.com/20251101princegroup/
アメリカがカンボジアのプリンスグループに制裁 | 鈴木亨尚http://www.world-economic-review.jp/impact/article4073.html
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【“黒幕”は国家権力?】カンボジア特殊詐欺の現場を激撮 中国 ...https://www.youtube.com/watch?v=WRtqKYxyONg
カンボジアプリンスグループ会長のチョンズ(39)のビットコイン ...https://www.mk.co.kr/jp/world/11467213
プリンスグループhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97
アメリカがカンボジアのプリンスグループに制裁 | 鈴木亨尚http://www.world-economic-review.jp/impact/article4073.html
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