豚骨の「中毒性」が牽引:ラーメン山岡家、売上400億円台突破の成長戦略と24時間営業の強み
ニュース要約: 外食産業の難局下で「ラーメン山岡家」が驚異的な成長を遂げ、業績予想を大幅に上方修正。濃厚な豚骨スープの「中毒性」と24時間営業体制を武器に、売上高は427億円に達する見込み。価格改定を吸収しつつ、限定メニューやアパレルコラボで若年層を取り込み、全国300店舗体制を目指す独自の経営モデルを確立している。
豚骨の「中毒性」が牽引する成長戦略:「山岡家」が示す難局下の外食経営モデル
(2025年12月15日 日本経済新聞/共同通信 経済部)
(株)丸千代山岡家が展開する「ラーメン山岡家」が、外食産業全体が原材料高騰と人手不足に苦しむ中、驚異的な成長を続けている。同社は2026年1月期の業績予想を大幅に上方修正し、売上高は400億円台に到達する見込みだ。濃厚な豚骨スープという独自の個性を武器に、既存店売上高の持続的な増加と、ロードサイド店舗の強みである24時間営業体制を堅持する戦略が功を奏している。
既存店売上高が牽引、相次ぐ価格改定を吸収
丸千代山岡家が12月に発表した最新の業績見通しによれば、2026年1月期連結業績は売上高427億円(前期比23.5%増)、最終利益32.3億円(同14.0%増)と大幅な伸びを予測する。この好調の最大の要因は、既存店売上高の伸長にある。2025年1月期に前期比36.7%増を記録した客足は衰えず、2026年1月期も前年比109%の成長を見込む。
背景には、同社が2025年4月と10月に実施した複数回の価格改定が、来店客数の減少を招くことなく、収益の改善に直結した点がある。特に「特製味噌ラーメン」など一部メニューやトッピングで値上げが行われたものの、企業側は「品質維持のため」と説明。同時に、朝ラーメン購入者へのサービス券発行や、基幹メニューである「醤油ラーメン」の価格を据え置くなど、消費者負担への配慮も怠らない。このバランスの取れた価格戦略が、継続的なインフレ圧力下においても、客離れを防ぐ緩衝材として機能している。
冬の定番「プレミアム醤油とんこつ」と多角的な限定戦略
山岡家は、濃厚な豚骨スープという「中毒性」のある基盤の上に、季節ごとに戦略的な限定メニューを投入し、リピーターの来店サイクルを維持している。
現在、全国の「ラーメン山岡家」で展開されているのは、冬の定番として登場した「プレミアム醤油とんこつ」だ。2025年11月26日から販売が開始され、濃厚ながらも奥深い醤油の風味を加えたこの一杯は、寒くなる季節に合わせた需要を喚起している。
また、別業態の「煮干しラーメン山岡家」では、厳選した国産煮干しを大量に使用した「鬼煮干しラーメン」が一部地域で継続販売されており、豚骨と煮干しを掛け合わせた強烈な個性が、熱狂的なファンを惹きつけている。年間を通じて「特製味噌ラーメン」が人気ランキングの首位を争うなど、定番の強さと限定の妙が、顧客の多様なニーズに応えている。
地方と都市を結ぶ24時間営業と店舗拡大計画
山岡家が他のラーメンチェーンと一線を画す強みとして、原則年中無休・24時間営業体制の維持が挙げられる。深夜・早朝の需要を取り込むロードサイド型店舗の優位性は高く、2025年12月時点でも、新規オープンした栃木県の鶴田店や茨城県の阿見店など、多くの新店舗がこの営業体制を継承している。
店舗展開も積極的だ。2026年1月期には10店舗の新規出店を計画しており、特にドミナントエリアである北海道や関東圏の強化に加え、九州地方での物件調査を加速させている。同社は最終的に全国47都道府県制覇、300店舗体制を目指しており、地方の主要幹線道路沿いを中心に、着実に勢力圏を広げている。
若年層を意識したアパレルコラボ戦略
ラーメンの枠を超えたブランド戦略も注目に値する。山岡家は2025年12月、若者文化に強い影響力を持つストリートファッションブランド「KEBOZ(ケボズ)」との初のアパレルコラボレーションを発表した。
スウェットやキャップ、防油性トートバッグなど全7型のアイテムを展開し、山岡家のロゴやキャッチコピーを遊び心あるデザインで表現。公式オンラインストアやZOZOTOWNなどで受注販売を開始した。さらに、別ブランド「スティングレイ」とのTシャツ販売も行うなど、アパレル分野への進出は、従来のラーメンファンに加え、ファッション感度の高い若年層を取り込み、ブランドイメージを刷新する狙いがある。
データに基づいた堅実な経営戦略と、濃厚豚骨というブレない商品力、そして柔軟なブランド戦略が組み合わさることで、「ラーメン山岡家」は、厳しい外食市場において独自の成長軌道を確立しつつある。今後のさらなる店舗拡大と収益構造の変化が注目される。(了)
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