【WBC】チェコ野球が再び日本を魅了する――「消防士に電気技師」兼業軍団が挑む2026年大会の現在地
ニュース要約: 2026年WBCで再び注目を集めるチェコ代表。消防士や教師など「二足のわらじ」を履く選手たちが、純粋な野球愛を胸に侍ジャパンとの再戦に挑みます。2023年大会で日本中を感動させたスポーツマンシップはそのままに、欧州ランキング2位まで成長した彼らの実力と、3月10日の日本戦に向けた熱き物語を追います。
【WBC】チェコ野球が再び日本を魅了する――「消防士に電気技師」兼業軍団が挑む2026年大会の現在地
【東京=3月9日】2026年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドが、今年も東京ドームで熱狂の渦を巻き起こしている。3月5日に開幕したプールCにおいて、日本のファンが「侍ジャパン」と同じくらい熱い視線を送るチームがある。欧州の伏兵、チェコ代表だ。
3年前の2023年大会、巨人・坂本勇人から三振を奪い、大谷翔平をも驚かせたあの「情熱の野球」は、今大会でどのように進化したのか。3月10日に予定されている注目の「日本 チェコ WBC」戦を前に、彼らの現在地を追った。
■「二足のわらじ」が紡ぐアンダードッグの物語
チェコ代表を語る上で欠かせないキーワードは「兼業」だ。今大会のロースター28名を見渡しても、その顔ぶれは実に多彩である。
エース格のオンジェイ・サトリアは電気工事の管理業務を本業とし、ベテラン右腕のマルティン・シュナイダーは現役の消防士だ。内野手のヴォイテフ・メンシークはデータアナリスト、外野のライアン・ジョンソンは英語教師として教壇に立つ。かつて読売ジャイアンツの育成契約で日本でもプレーしたマレク・フルプのようにプロ経験を持つ選手は一握りで、大半が国内リーグ「エクストラリーガ」に所属するアマチュア、あるいはセミプロ選手である。
チェコ国内で野球は、サッカーやアイスホッケーに比べればマイナースポーツに過ぎない。リーグの給与だけで生活することは難しく、選手たちは日中、それぞれの職場で汗を流し、夜や週末に白球を追う。この「仕事と野球の両立」という直向きな姿が、「チェコ 野球」という言葉が持つ独特の温かみと、判官びいきのファンを惹きつける「アンダードッグ(弱者)」としての物語性を生んでいる。
■2023年の記憶と、着実な実力向上
過去の「WBC チェコ」代表の戦いぶりを振り返ると、日本との相性は数字以上のドラマに満ちている。2023年大会の「チェコ戦」では、日本が10-2で勝利したものの、序盤の粘り強い守備とスポーツマンシップ溢れるプレーは、日本のファンからスタンディングオベーションを送られるほどだった。
しかし、今のチェコは単なる「爽やかな敗者」ではない。WBSC世界ランキングでは欧州2位(14位)にまで登り詰め、イタリアを凌ぐ地位を確立した。国内王者のドラチ・ブルノを中心に若手育成が進み、ミハル・コバラのようなアメリカの大学リーグで経験を積む次世代の台頭も著しい。
2026年大会に向けて、彼らは2月から宮崎で事前合宿を行い、千葉ロッテマリーンズとの強化試合をこなすなど、周到な準備を進めてきた。3月6日のオーストラリア戦(1-5)、7日のチャイニーズ・タイペイ戦(0-14)と黒星が先行しているものの、中継ぎエースのサトリアや先発のパディシャークが見せる粘り強い投球は、強豪国にとっても軽視できない脅威となっている。
■3月10日、再び相まみえる「日本対チェコ」
いよいよ明日に迫った「日本 チェコ WBC」の再戦。日本代表・侍ジャパンにとっては準々決勝進出に向けた重要な一戦だが、チェコにとっても予選突破の望みを繋ぐ、意地のぶつかり合いとなる。
チェコのパベル・ハジム監督は、かつて日本との交流について「日本は野球の神様が宿る国。そこでプレーできることは誇りだ」と語った。3年前、デッドボールを当ててしまった佐々木朗希にお菓子を持って謝罪に訪れたチェコ代表の誠実さは、今も語り草となっている。
しかし、グラウンドに立てばリスペクトは真剣勝負へと姿を変える。消防士が、教師が、そして大学生が、世界最高のプロ集団に立ち向かう。東京ドームを埋め尽くすファンは、きっと知っている。そこにあるのは、効率や報酬を越えた「純粋な野球への愛」であることを。
2026年の「チェコ戦」もまた、日本の野球史に刻まれる特別な一夜になるに違いない。
(文・運動部記者)
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