英南部で髄膜炎の集団感染拡大、若者2名死亡—「数時間で重症化」当局が警戒呼びかけ
ニュース要約: 英ケント州カンタベリーを中心に、毒性の強い「髄膜炎B型」の集団感染が発生し、若者2名が死亡、15名以上の感染が確認されました。ナイトクラブが感染源とみられ、当局は2,000人以上の来場者に抗生物質の服用を勧告。発症から短時間で命に関わるため、首のこわばりや紫色の斑点などの初期症状に厳重な警戒が必要です。
【ロンドン=共同】英南部で髄膜炎の集団感染が拡大、若者2名が死亡 「数時間で重症化」当局が警戒呼びかけ
【ロンドン2026年3月20日】イギリス南東部のケント州カンタベリーを中心に、侵襲性髄膜炎菌感染症の集団感染が発生し、現地の学生や住民の間に動揺が広がっている。英健康安全保障庁(UKHSA)の最新発表によると、これまでに21歳の大学生と18歳の高校生の計2名が死亡し、少なくとも15件の感染例が報告された。患者のうち11人は重篤な状態で、人工昏睡措置を受けている者もいるという。
「爆発的流行」の兆し、ナイトクラブが感染源か
今回のイギリスでの髄膜炎流行は、3月上旬にカンタベリー市内のナイトクラブ「クラブケミストリー」を訪れた若者たちの間で急速に拡大したとみられている。当局は3月5日から7日にかけて同店を訪れた2,000人以上の来場者に対し、予防措置として直ちに抗生物質を服用するよう異例の呼びかけを行った。
髄膜炎菌は、健康な人口の約10%が鼻や喉に保有しているが、思春期から青年期にかけてはその保有率がさらに高まる。感染は激しい咳やくしゃみのほか、食器の共用やキスなどの密接な接触を通じて広がる。専門家は、大学の寮や学校といった密集環境が「爆発的な流行」を助長したと分析している。
髄膜炎B型の脅威と初期症状
今回の集団感染では、特に毒性が強く致死率が高い「髄膜炎B型(メニンゴコッカス血清型B)」が確認されている。髄膜炎はウイルス性と細菌性に大別されるが、細菌性(髄膜炎菌性)は進行が極めて早く、発症からわずか数時間で命に関わる敗血症や髄膜脳炎を併発するのが特徴だ。
UKHSAが提示する初期症状のチェックリストによれば、発症から12時間までは発熱や頭痛、嘔吐など風邪に似た症状が続く。しかし、13時間から20時間が経過すると、首のこわばり(項部硬直)、光を眩しく感じる光過敏症、意識障害、さらには肌に消えにくい紫色の斑点(皮下出血)が現れる。これらの症状が出た場合は一刻を争う事態であり、直ち、救急医療機関への連絡が必要となる。
背景にあるワクチンの課題
イギリスでは、髄膜炎対策として「MenACWY(A, C, W, Y群対応)」や「Bexsero(B群対応)」といったワクチンが導入されている。しかし、現在主流となっているB群ワクチン(Bexsero)の定期接種は2015年以降、乳児のみに限定されており、現在大学生となっている世代の多くが未接種である可能性が指摘されている。
ケント大学では全学生16,000人に対し注意喚起文書を送付し、キャンパス内に抗生物質クリニックを特設した。寮生活を送る学生を対象とした緊急の予防接種プログラムも開始されているが、春休みを控えたこの時期、帰省や旅行によるさらなる感染拡大が危惧されている。
在英邦人や留学生へのアドバイス
イギリスに滞在中の日本人留学生や渡航者は、自身のワクチン接種履歴を至急確認すべきだ。イギリスの医療システム(NHS)では、緊急時には「NHS 111」への電話相談、または救急車(999番)の利用が可能となっている。
イースト・アングリア大学のポール・ハンター教授は、「髄膜炎は早期発見・早期治療がすべて。少しでも疑わしい症状があれば、決して様子を見ずに医療機関を受診してほしい」と警鐘を鳴らしている。
イギリスでの髄膜炎の流行は、現在進行形で被害が拡大している。ケント州周辺に滞在する者は、現地の保健当局や日本大使館が発信する最新情報に十分注意し、手洗いや人混みでのマスク着用、密集回避などの予防策を徹底することが求められている。
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