【ミラノ2026】川除大輝、雪原の激闘。10kmクラシカル4位入賞で見せた王者の矜持と進化
ニュース要約: ミラノ・コルティナ2026パラリンピックに出場中の川除大輝選手は、クロスカントリースキー男子立位のスプリントと10kmクラシカルで共に4位入賞を果たしました。悪条件の雪質に苦しみながらも、北京大会金メダリストとしての実力を証明。レジェンド新田佳浩の魂を継承し、次なる高みを目指す若きエースの激闘と、競技を楽しむ姿勢に注目が集まっています。
【ミラノ発】王者の矜持、雪原に刻む――。ミラノ・コルティナ2026パラリンピックは大会終盤を迎え、クロスカントリースキー男子立位の絶対的エース、川除大輝(かわよけ・たいき/25=日立ソリューションズ)が、連日の激闘の中で自身の限界と向き合っている。
スプリントでの「誤算」と4位入賞の重み
大会7日目の3月11日、スプリント・クラシカルに出場した川除大輝は、予選を全体3位の好タイムで通過。金メダルへの期待が高まる中で迎えた準決勝だったが、勝負の行方は非情だった。終盤まで首位をキープしながらも、ゴール直前の混戦で後続に差され、3分7秒8の4位。惜しくも決勝進出を逃す結果となった。
レース後、川除は「自分の判断ミス」と冷静に敗因を分析しながらも、その表情には隠しきれない悔しさが滲んだ。しかし、最終順位は北京パラリンピックと同じ7位入賞。短距離種目における世界トップクラスの安定感は、25歳となった今も健在であることを証明した。
「雪との闘い」得意の10kmクラシカルで4位
翌12日、川除は切り替えて本命種目である10kmクラシカルに出場した。2022年北京大会の20kmで金メダルを獲得し、日本男子史上最年少の金メダリストとなった彼にとって、この種目は「連覇」を懸けた大一番。富山県出身の若きエースは、序盤から果敢に攻めの滑りを見せた。
結果は28分33秒で4位。惜しくも表彰台こそ逃したものの、入賞を果たした。レース後、川除は「体調は凄く良かった」と語る一方で、ミラノの不安定な気象条件がもたらした「悪すぎる雪」への対応に苦慮したことを明かした。水分を含んだ重い雪質は、小柄な体躯を活かした川除のピッチ走法に試練を与えたが、「もうちょっと上はいけたかな」という言葉には、次戦への確かな手応えが含まれていた。
富山の星から世界の「顔」へ
2001年、富山市に生まれた川除大輝は、先天性の両上肢機能障害(LW5/7)を持ちながら、6歳でスキーと出会った。地元の「猿倉ジュニアスポーツクラブ」で基礎を磨き、雄山高校時代には健常者のインターハイにも出場する「二刀流」として注目を集めた。
2022年の北京大会では日本選手団の旗手を務め、名実ともに日本のパラスポーツ界の顔となった。その後、日本大学を卒業し、現在は名門・日立ソリューションズ「チームAURORA」の一員として活動。北京での金メダル獲得後、富山県民栄誉賞を受賞した彼は、今や地元だけでなく、日本全国のパラスキーファンにとっての希望の光となっている。
継承される「レジェンド」の魂
川除が背中を追い続けてきたのは、パラリンピックで計5個の金メダルを獲得したレジェンド、新田佳浩だ。新田からバトンを受け継いだ若きエースは、「新田さんのような存在になりたい」と語りつつ、すでに独自のスタイルを確立しつつある。
今大会、メダルには一歩届かなかった。しかし、川除はインタビューで「パラリンピック自体を楽しむという、もう一つの目標は達成できた」と前を向く。単なる結果だけでなく、競技の醍醐味を観客に伝え、応援してくれる人々へ元気を届ける――。その姿勢こそが、彼を「王者の全力」と称えさせる所以だろう。
ミラノの風を受け、次なる高みへ
大会は3月16日まで続く。最新の速報(3月12日時点)では、10kmクラシカルを終えた川除の次なる挑戦に注目が集まっている。「今回の悔しさを晴らしたい」と語る彼の視線は、すでに4年後の舞台、あるいはその先のパラスケープを見据えているのかもしれない。
イタリアの雪原で、時に苦しみ、時に楽しみながら滑走する川除大輝。その一蹴り一蹴りが、日本のパラノルディックスキーの歴史を、今この瞬間も更新し続けている。
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