【歴史的快挙】鈴木芽吹、10000mで日本記録を大幅更新！27分05秒92で「26分台」射程圏内

ニュース要約: 2025年11月22日の八王子LDにて、男子10000mに出場した鈴木芽吹（トヨタ自動車）が27分05秒92をマークし、従来の日本記録（27分09秒80）を約4秒更新する偉業を達成した。この歴史的快走は、日本人が目標とする「26分台」に極めて近づくものであり、日本の長距離界の高速化を決定づけるものとなった。

【独自】長距離界に新時代到来：鈴木芽吹、歴史的快走で「27分05秒92」日本記録を大幅更新

八王子LD、長距離高速化の象徴に

2025年11月22日、日本の長距離界に新たな歴史が刻まれた。東京都八王子市の上柚木公園陸上競技場で開催された「八王子ロングディスタンス」（八王子LD）において、男子10000mの最終組に出場した鈴木芽吹（トヨタ自動車）が、驚異的なタイムとなる27分05秒92を叩き出し、塩尻和也（富士通）が2023年に樹立した従来の10000m 日本記録（27分09秒80）を約4秒も更新する偉業を達成した。

この記録は、日本人が長年目標としてきた「26分台」に極めて近づくものであり、日本の陸上競技界における長距離種目の高速化を決定づけるものとなった。

妥協なき準備がもたらした「聖地」での劇的瞬間

「最低でも日本記録を狙う」――そう強い決意で臨んだ鈴木芽吹選手は、長距離の「記録の聖地」として名高い八王子ロングディスタンスのトラックで、その言葉を有言実行した。

レースは、電子ペーサーが設定した日本記録更新ペースを上回るハイペースで進行。鈴木選手は集団の中で冷静に位置取りを続けたが、勝負どころの7000m付近で海外勢のペースが若干落ちる気配を見せると、迷わず自ら先頭に出て集団を牽引し始めた。

この積極的な姿勢こそ、鈴木選手がこの日のために積んできた「妥協なき準備」の賜物である。トヨタ自動車陸上部でトラック種目に特化した高速トレーニングを重ね、レース終盤のペースアップ能力を徹底的に磨いてきた成果が、この粘り強い走りに現れた。

従来の日本記録は、鈴木選手が1年前にこの八王子LDで惜しくも届かず、塩尻選手に先を越された因縁の記録だ。その雪辱を果たすべく、彼は科学的アプローチを取り入れつつ、心身ともに万全の態勢で臨んだ。結果的に、設定ペースを大きく上回るラストスパートを見せ、フィニッシュラインを駆け抜けた瞬間、場内は熱狂に包まれた。

鈴木選手はレース後、「準備してきたことを出し切れれば、いけると思っていた。まだまだ記録を伸ばしていく。日本人初の26分台も目の前に迫っている」と語り、さらなる高みへの意欲を示した。

八王子が牽引する日本長距離界の進化

今回の八王子ロングディスタンス結果が示したのは、単に一人の選手の成功ではない。この大会が日本の長距離界の進化を牽引し続けているという事実だ。11月下旬という気候条件が走りやすく、記録が出やすいこの八王子の地は、1998年の創設以来、多くのトップランナーが世界基準に挑む舞台となってきた。

特に今回の大会では、鈴木選手以外にも、吉居大和（トヨタ自動車）が27分21秒45（日本歴代6位）、田澤廉（トヨタ自動車）が27分31秒90をマークするなど、好記録が続出。また、学生勢からも國學院大の野中恒亨ら有力選手が快走を見せ、日本の長距離全体の底上げが鮮明になった。

かつては世界との差が歴然としていた10000mだが、近年、トラックに特化した専門的なトレーニングを積む選手が増え、意識的に高速レースに挑む環境が整ってきた。八王子LDは、海外招待選手を積極的に招き、ハイレベルな競争を生み出すことで、この高速化の流れを加速させている。