スペイン高速鉄道が追突事故 死者68人に 人為ミスか
ニュース要約: スペイン中部トレド県で28日朝、高速鉄道同士の追突事故が発生し、死者は少なくとも68人に上る。信号故障後の運行管理上の人為的ミスが指摘され、サンチェス首相が調査の徹底を約束した。
スペイン中部で28日朝、高速鉄道の列車同士が衝突する大規模な事故が発生した。日本経済新聞などが伝えたところによると、首都マドリードから南に約150キロ離れたカスティーリャ・ラ・マンチャ州トレド県ウルダ付近で、マドリード発セビリア行きの国営鉄道レンフェの高速列車が、駅の近くに停止していた民間高速鉄道イリョの列車に後方から追突した。複数の車両が脱線し、少なくとも2両が線路脇の斜面下に転落。両列車には計540人以上の乗客が乗っており、救急隊が救助活動を急いだ。
死者数は報道が進むにつれて増え続けている。最初の報道では少なくとも50人が死亡し、179人以上がけがをしたと伝えられたが、時事通信は同日夜の時点で少なくとも64人が死亡、80人が重軽傷を負ったと配信。さらに共同通信が29日未明に更新した報道では、地元の州首相によると少なくとも68人が死亡したとされる。救助活動は現場で続いており、死者はさらに増える可能性がある。
原因をめぐっては、政府関係者が人為的なミスの可能性を示している。スペイン紙パイスなどによると、事故の発生前に鉄道の信号システムに不具合が発生し、複数の列車が一時停止。運行が自動制御から手動に切り替わった後も停止していた列車がある中で、運行管理の担当者が後続の列車に誤って進行許可を出した可能性が指摘されている。一方で、事故調査委員会はレールの破断による脱線の可能性もあるとしており、原因の詳細な究明は今後の調査を待つ必要がある。
サンチェス首相はSNS上で「深刻な列車事故に衝撃を受けている」と投稿し、現場を訪れたうえで「調査を徹底し、過失があれば明らかにする」と原因究明を約束した。内務省は地元州政府の要請に応じ、緊急事態に対処する軍部隊の派遣を決めた。
現場の悲惨な状況は、生存者の証言からもうかがえる。国鉄側の乗客の一人は地元メディアに対し「激しい急ブレーキがかかり、車両の床に投げ出されて転がった」と説明。別の乗客は「車両の窓を割って脱出した。言葉で言い表せないほど悲惨だった」と振り返っている。
在スペイン日本大使館によると、これまでに日本人が事故に巻き込まれたとの情報は入っていないという。
スペインでは今年1月にも南部で高速列車同士の衝突事故があり、40人以上が死亡した。こうした事情から、同国では高速鉄道網の安全性をめぐる議論が再燃する可能性が高く、政府の事故調査の結果が国際的な注目を集めそうだ。運行再開のめどや路線への影響についても、今後の発表が待たれる。
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