【独自】SHISHAMO活動終了へ。16年の軌跡と宮崎朝子が鳴らし続けた「等身大」の正体、そして伝説のラストへ
ニュース要約: 2026年6月、川崎が生んだ3ピースバンドSHISHAMOが16年の活動に幕を閉じます。フロントマン宮崎朝子の体調不良によるツアー中断を乗り越え、地元・川崎でのラストステージに向けた彼女たちの軌跡を辿ります。「明日も」などの名曲を生み出し、日常に寄り添い続けた彼女たちが最後に見せる景色とは。
【独自】SHISHAMO、16年の軌跡に幕 宮崎朝子が鳴らし続けた「等身大」の正体と、最後に見せる景色の先
【川崎】2026年3月5日――。かつて。多摩川の風が吹く等々力陸上競技場(現・Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)のスタンドに響き渡ったあのファンファーレから数年。地元・川崎が生んだ3ピースロックバンド「SHISHAMO (ししゃも バンド)」が、ついにその長い旅路の終着点を迎えようとしている。
今年2月から始まったファイナルツアー2026『さよならボヤージュ!!!』は、フロントマンである宮崎朝子(Gt.Vo)の体調不良による一部公演中止という波乱を含みながらも、6月に地元・川崎で開催されるラストステージ「SHISHAMO THE FINAL!!! ~Thanks for everything~」に向けて、ファンの想いは最高潮に達している。
「漫画家志望」の少女が変えたガールズロックの定義
SHISHAMOの物語は、2010年、神奈川県立川崎総合科学高等学校のデザイン科軽音楽部で始まった。当初、宮崎朝子は音楽の道ではなく、漫画家を志していたという。そのクリエイティブな視点が、後のSHISHAMOの音楽性を決定づけたことは想像に難くない。
「漢字で書くとカッコいいのに、読むと可愛い」という宮崎の姉の命名による「柳葉魚(ししゃも)」は、瞬く間にインディーズシーンを席巻した。2012年、高校生ながら「TEENS ROCK IN HITACHINAKA」で優秀賞を受賞。当時の演奏曲「宿題が終わらない」に象徴される、瑞々しくも毒のあるリアルな歌詞世界は、既存のガールズバンドが描く「キラキラした青春」とは一線を画していた。
2013年のメジャーデビュー以降、ベースの松岡彩、ドラムの吉川美冴貴という現在の布陣となり、彼女たちは「3ピースで鳴らす音」にこだわり続けた。「不自由さの中で曲を作るのが面白い」と語る宮崎の職人気質な音楽への姿勢は、多くのフォロワーを生んだ。
「明日も」が映し出した、僕らの日常と宮崎朝子の視線
SHISHAMOを一躍国民的バンドへと押し上げたのは、2017年の「明日も」だろう。川崎フロンターレのサポーターがスタジアムで放つ熱気に触発されて生まれたこの曲は、単なる応援歌ではなかった。「痛いけど走った、苦しいけど走った」という歌詞は、夢を追う若者だけでなく、日々を生きるすべての「普通の人々」の背中を、そっと、しかし力強く押した。
宮崎朝子の描く恋愛観もまた、多くの若年層の共感を呼んだ。「君と夏フェス」「君とゲレンデ」といった季節感あふれる楽曲から、「さよならの季節」のような切ない別れまで、彼女の歌詞には常に「私」と「あなた」の距離感が正確に描写されている。SNSでトレンド入りした「君に聞きたいひとつのこと」に見られるような、一方通行で、しかし純度の高い感情の言語化こそが、彼女の真骨頂といえる。
突然の活動終了発表と、揺れるファイナルツアー
2025年、デビュー10周年を越え、円熟味を増していた矢先の活動終了発表は、音楽シーンに大きな衝撃を与えた。現在開催中のファイナルツアーは、17箇所18公演を予定していたが、宮崎の体調不良により、2月から3月にかけての複数の公演が中止や見合わせとなっている。
公式サイトによれば、現在は宮崎の快復を最優先としつつ、残る日程の調整が進められているという。ツアービジュアルは宮崎本人が描き下ろしたもので、ステージに並ぶ3人の姿が描かれている。それは、彼女たちが10代の頃から守り続けてきた「3人で音を鳴らす」というアイデンティティそのものだ。
6月、等々力で迎える「最高のフィナーレ」へ
SHISHAMOが掲げた「等身大」とは、自分たちを大きく見せない勇気だったのかもしれない。高校の部活動の延長線上にあるような親近感を持ち続けながら、その実、緻密に計算されたギターリフと、一切の妥協を許さないライブパフォーマンス。
2026年6月13日・14日。彼女たちの聖地・川崎の空の下、最後の音が鳴り止むとき、私たちは何を思うだろうか。それは一つの時代の終わりでありながら、宮崎朝子がこれまで紡いできた「日常の肯定」が、リスナー一人ひとりの心の中に完全に根付く瞬間でもあるはずだ。
体調が懸念される中ではあるが、最後まで「SHISHAMOらしく」駆け抜ける彼女たちの姿を、ファンは静かに、そして熱く見守っている。16年間、彼女たちが鳴らし続けた「ししゃも」の音は、さよならの先も、私たちの「明日も」を支え続けるに違いない。
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