【訃報】ロバート・デュバルさん死去 95歳『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』の名優
ニュース要約: 『ゴッドファーザー』のトム・ヘイゲン役や『地獄の黙示録』のキルゴア中佐役で知られる米映画界の至宝、ロバート・デュバルさんが95歳で逝去。半世紀以上にわたり「カメレオン俳優」として圧倒的な存在感を放ち、1983年には『テンダー・マーシー』でアカデミー主演男優賞を受賞。ハリウッド黄金期を支えた名優の訃報に、世界中から悼む声が寄せられています。
【訃報】米映画界の至宝、ロバート・デュバルさん死去 95歳 『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』で圧倒的存在感
【ニューヨーク=共同】米映画史にその名を刻む名優、ロバート・デュバル(Robert Duvall)さんが2月15日、バージニア州ミドルバーグの自宅で死去した。95歳だった。遺族がSNSなどで公表した。死因は明らかにされていないが、静かに息を引き取ったという。ハリウッド黄金期からニュー・ハリウッド、そして現代に至るまで、半世紀以上にわたり第一線で活躍し続けた「カメレオン俳優」の突然の訃報に、世界中の映画ファンや関係者から哀悼の意が寄せられている。
台詞なきデビューから伝説へ
1931年、カリフォルニア州サンディエゴに生まれたロバート・デュバルさんは、軍務を経て演劇の道へ進んだ。1962年、名作『アラバマ物語』のブー・ラドリー役で銀幕デビュー。台詞が一切ない役ながら、その不気味さと繊細さを併せ持った演技は、当時の批評家たちに鮮烈な印象を与えた。
彼のキャリアを決定づけたのは、フランシス・フォード・コッポラ監督との出会いだろう。1972年の映画『ゴッドファーザー』で、コルレオーネ・ファミリーの冷静沈着な顧問弁護士(コンシリエーリ)、トム・ヘイゲンを熱演。血のつながらない家族としての葛藤を抑制の効いた演技で表現し、自身初となるアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。続編の『ゴッドファーザー PART II』(1974年)でも同役を演じ、シリーズの重厚な世界観を支える不可欠な存在となった。
「ナパームの匂い」とアカデミー賞の栄冠
ロバート・デュバルさんの名を映画史に永遠に刻んだもう一つの役が、1979年の『地獄の黙示録』におけるキルゴア中佐だ。戦火の中でサーフィンを強行し、「朝のナパームの匂いは格別だ」と言い放つ狂気的な軍人を怪演。この演技でゴールデングローブ賞を受賞し、彼の「振り幅の広さ」を全米に知らしめた。
多くのノミネートを重ねる中、1983年の『テンダー・マーシー』でついにアカデミー主演男優賞を手にした。アルコール依存症に苦しむ落ちぶれたカントリー歌手という難役だったが、劇中での歌唱も自らこなし、飾らない人間の悲哀を見事に表現。それまでの「名脇役」というイメージを覆し、主役としても比類なき才能を持つことを証明した。
飽くなき探究心と後進への遺産
ロバート・デュバルさんの凄みは、80歳を過ぎてもなお衰えないその向上心にあった。2014年の『ジャッジ 裁かれる判事』では、息子役のロバート・ダウニー・Jr.と火花を散らす厳格な判事を演じ、84歳という史上最高齢(当時)でのアカデミー助演男優賞ノミネートを果たした。
彼は生涯で90本以上の作品に出演し、監督や脚本家としても活動した。ジョージ・ルーカスやロバート・アルトマンら巨匠たちから絶大な信頼を寄せられ、同時代のアクターズ・スタジオで学んだマーロン・ブランドを「生涯のヒーロー」と仰いだ。デュバルさんはかつて「マーロン・ブランドに影響を受けなかった俳優がいるなら、それは嘘つきだ」と語っていたが、今や彼自身が、後進の俳優たちにとっての「北極星」のような存在となっている。
幕を下ろした「静かなる巨人」
2018年の『ロスト・マネー 偽りの報酬』以降、出演作は途絶えていたが、2026年に入っても新作公開の噂が絶えないほど、その存在感は健在だった。しかし、バージニアの静かな自宅でその長い旅路は終わりを迎えた。
ハリウッドの虚飾を嫌い、馬を愛し、静かな生活を好んだロバート・デュバルさん。派手なパフォーマンスではなく、徹底した人間観察に基づいた「実在感」こそが彼の真骨頂だった。冷酷な弁護士、狂気の軍人、慈愛に満ちた父親――彼がスクリーンに刻んだ数々の人生は、映画という魔法が続く限り、これからも色褪せることはない。
米映画界は、その歴史の目撃者であり、体現者でもあった大きな星を失った。心より冥福を祈りたい。
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう