ピース結成25周年の現在地:又吉直樹と綾部祐二が辿り着いた「熟成」という新形態
ニュース要約: ピース結成25周年を迎え、渡米9年目の綾部祐二と作家として不動の地位を築いた又吉直樹の現在に迫る。LAと日本、約8,800キロの距離を超えて進化し続ける二人の関係性は、単なる「絆」を超えた実利的な信頼へと熟成。YouTubeや特番での共演を通じ、既成概念に捉われない新しいコンビの形を提示している。
【独占レポート】ピース結成25周年の現在地――又吉直樹と綾部祐二が到達した「熟成」という名の新形態
【東京・ロサンゼルス=2026年3月23日】
2026年、お笑いコンビ「ピース」は結成25周年という大きな節目を迎えた。2017年の綾部祐二による衝撃の渡米から約9年。かつて日本中に旋風を巻き起こした二人の活動形態は、今や「コンビ」という既成概念を大きく超えた次元へと進化している。
芥川賞作家として日本の文学界・芸能界に確固たる地位を築いた又吉直樹と、ロサンゼルス(LA)を拠点に独自のスタイルで「ハリウッドスター」の夢を追い続ける綾部。物理的な距離にして約8,800キロ。離れ離れとなって久しい二人の「現在」と、その絆の正体を探った。
■LAの空の下で「プリティ・ウーマン」を歌う綾部
2026年1月、LA。インスタグラムに投稿された動画の中で、48歳となった綾部祐二は、出川哲朗やロッチ・中岡創一といった日本の人気芸人たちに囲まれ、映画『プリティ・ウーマン』の主題歌を陽気に口ずさんでいた。
渡米直後の「沈黙の5年計画」を経て、現在の綾部は非常に軽やかだ。NFLスーパーボウルの現地取材や、自身のYouTubeチャンネル『YUJI AYABE from AMERICA』での発信、さらにはエッセイ集『HI, HOW ARE YOU?』の出版など、その活動は多岐にわたる。現地では老人ホームのボランティアやビラ配りも経験したという。
「英語ペラペラの披露」という当初の目標については、本人いわく「達成度0%」と自虐するが、その表情に悲壮感はない。むしろ、異文化に揉まれ、芸能界という枠組みから解き放たれたことで、綾部特有の「無根拠な自信」は、より純度の高い「ハリウッド・マインド」へと昇華されたようだ。
■言葉の深淵を掘り進める「作家・又吉」の進化
一方、日本国内で活動を続ける又吉は、知的進化の手を休めていない。今春には待望の新作『月と散文』の発売を控え、2026年1月に会見が行われた長編小説『生きとるわ』も大きな話題を呼んでいる。
特筆すべきは、又吉の創作活動の根底に、今なお「ピース」としてのアイデンティティが流れている点だ。会見で又吉は、若手時代に綾部が先輩から借りてきた本を自分に貸し出し、その内容を教え合っていた習慣を振り返り、「初めて二人でちゃんと合わさって作れた話」と語った。一人で机に向かいペンを走らせる孤独な作業の中にさえ、相方・綾部の影が色濃く投影されているのだ。
■「絆」ではない、「実利的な信頼」という名の境地
世間は往々にして、コンビの美談を「絆」や「愛」という言葉で括りたがる。しかし、ピースの二人が語る言葉は、もっとドライで、だからこそ強固だ。
「特にコイツと組みたいと思っていたわけではない」「選択肢がなかったから組んだ」。綾部はかつて、コンビ愛を明確に否定した。対する又吉も、破天荒な挑戦を続ける相方に対し「メンタルだけがハリウッドスター」と苦言を呈することを忘れない。
しかし、2026年3月1日に配信されたトークライブ『ルームメイト!綾子と又子の痛快トーク!』で見せた二人の掛け合いは、そんな否定論すらもエンターテインメントへと変えていた。YouTubeでの「ピースコラボ」動画シリーズ(vol.2)で見せる、原宿ロケでの丁々発止や、下ネタとアメリカンなノリが入り混じる混沌としたやり取り。それは、もはや「仲が良い・悪い」の次元を超えた、25年間の積み重ねが生んだ「熟成された信頼関係」そのものである。
■25周年の展望:デジタル空間で交差する二人
今後のピースは、どのような形を目指すのか。2026年現在、定期的なテレビ番組へのコンビ復帰の兆候は見られない。しかし、YouTubeを通じた非同期の交流や、綾部の帰国に合わせた濃密な単発イベント、そして著作を通じた間接的な刺激。これらこそが、今の彼らにとって最も心地よい「コンビの距離感」なのだろう。
綾部がLAで培った広大な人間味と、又吉が日本で深めた内省的なクリエイティビティ。この二つの異なるベクトルのエネルギーが、数年に一度「ピース」という名の交差点で激突する。
「綾部さんと近況を話せるのが楽しみ」と語る又吉と、「先生(又吉)とお喋りしまーす!」と屈託なく笑う綾部。結成25周年、四半世紀を共にした二人の物語は、今、最も予測不能で、かつてないほどに面白いフェーズに突入している。
(文・共同・朝日メディアネットワーク執筆班)
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう