大井川鐵道、2029年春の全線復旧へ!SL一時休止とEL急行・トーマス号の新たな挑戦
ニュース要約: 2022年の台風被害から再建を目指す大井川鐵道が、2029年春の全線復旧に向けたロードマップを発表。SLがメンテナンスで一時休止する中、EL急行や通年開催となる『きかんしゃトーマス号』の運行で観光需要を牽引します。自治体の支援を受け、復旧工事は2026年度から本格始動。桜のシーズンを迎え、家山駅周辺の絶景と共に地域活性化への新たな一歩を踏み出しています。
【リポート】大井川鐵道、再生への汽笛 SL一時休止と2029年全線復旧への軌跡
【静岡】 静岡県の中心部を流れる大井川沿いを走る「大井川鐵道」が、大きな転換点を迎えている。2022年の台風15号による甚大な被害から3年半。今なお一部区間の運休が続く中、同社は「2029年春の全線復旧」という確かな目標を掲げ、経営再建と地域活性化に向けた新たな一歩を踏み出した。
SL休止の裏側と「EL急行」の躍動
現在、大井川鐵道の代名詞とも言える「黒いSL(C10形8号機)」は、車両改造とメンテナンスのため1月中旬から運行を一時休止している。蒸気機関車の煙が消えた沿線に寂しさが広がるかと思われたが、同社はこれを逆手に取った戦略を打ち出した。
SLに代わって主役を張るのは、電気機関車が牽引する**EL急行「すまた号」「かわかぜ号」「奥大井号」**だ。かつての国鉄時代を彷彿とさせる12系客車や青い客車を連結した編成は、鉄道ファンの間で「ブルートレインのような旅情が味わえる」と高い評価を得ている。金谷―川根温泉笹間渡間を結ぶこれらの列車は、3月下旬の週末を中心に予約が埋まり始めており、SL不在の穴を埋める新たな観光資源として定着しつつある。
なお、ファン待望のSL運行は2026年4月6日からの再開が予定されている。
2029年春、全線復旧へのロードマップ
大井川鐵道にとって最大の課題は、依然として不通が続く川根温泉笹間渡―千頭間の復旧だ。2022年の台風被害は甚大で、最大4.5メートルに達する土砂堆積や急峻な斜面の崩落など、20カ所以上が被災した。
自力更生が困難な状況下、2025年3月に静岡県、島田市、川根本町が総額約21億円にのぼる補助・貸付で合意したことは、再建への決定打となった。これにより、大井川鐵道側の負担額は約3億6000万円に抑制される。
今後のスケジュールによれば、2026年度から本格的な工事が開始される。難所での手作業を伴う慎重な工程を経て、2027年秋には段階的な部分開通を目指し、最終的に2029年春の全線開通を見込む。鳥塚亮社長は「現実を直視しつつ、地域と共に夢を繋ぎたい」と、沿線自治体との強固な連携を強調している。
「トーマス」初の通年開催、親子連れに光
経営の柱である観光コンテンツも進化を遂げている。人気イベント「DAY OUT WITH THOMAS™ 2026」が、今年3月7日から初となる「通年開催」へと舵を切った。
目玉は、アジア初となる「きかんしゃパーシー号」の実車運行だ。4月からは平日特別ダイヤでの運行も予定されており、新金谷駅から家山駅周辺の桜並木を背景に走る姿は、春の風物詩となるだろう。5月30日からは「きかんしゃトーマス号」の運行も始まり、トビー号やバスのバーティーなど、仲間たちとの触れ合いも強化される。
チケットは「アソビュー!」や「JRE MALLチケット」などのオンラインプラットフォームで販売されており、混雑が予想される週末分は早めの予約が推奨されている。
桜のトンネルと温泉巡り、春の旅路
3月下旬から4月上旬にかけて、大井川鐵道沿線は一年で最も美しい季節を迎える。特に家山駅周辺の「桜トンネル」は、約1キロにわたって280本のソメイヨシノが咲き誇り、列車の車窓をピンク色に染める。
周辺での観光も充実している。家山駅からアクセス可能な「川根温泉ホテル」は、2025年から大井川鐵道が指定管理者として運営しており、SL・EL観賞とセットでのランチバイキングや日帰り入浴が人気だ。さらに足を伸ばせば、美肌の湯で知られる「寸又峡温泉」などの秘境も控えている。
復活へのカウントダウン
大井川鐵道は今、災害という逆境を乗り越え、単なる鉄道事業を超えた「地域体験型観光の拠点」へと脱皮しようとしている。2029年の全線復旧を見据えつつ、SL、トーマス、そして温泉――。四季折々の魅力を詰め込んだ列車が、今日も大井川の渓谷に汽笛を響かせている。
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