日産、2年連続の巨額赤字6500億円の衝撃——「Re:Nissan」再生への正念場
ニュース要約: 日産自動車は2026年3月期の最終損益が6500億円の赤字になると発表しました。2年連続の巨額赤字は構造改革費用や販売不振、トランプ関税の影響が重なった結果です。ホンダ・三菱との提携によるコスト削減に活路を見出すものの、9期連続の販売計画未達や資金繰りの悪化など課題は山積みで、内田社長が進める経営再建計画の真価が問われています。
日産、2年連続の巨額赤字へ 最終損益6500億円の衝撃——「Re:Nissan」の正念場
【横浜】日産自動車の経営再建がかつてない荒波に揉まれている。同社が発表した2026年3月期の通期連結業績見通しによれば、最終損益は6500億円の赤字となる見込みだ。前期の6709億円に続く2年連続の巨額赤字であり、過去4番目の赤字幅という極めて深刻な事態となっている。
構造改革に伴うリストラ費用の膨張と、主力市場での販売不振という「ダブルパンチ」が、かつての技術の日産を追い詰めている。
構造改革費が重荷、販売計画は9期連続未達
今回の巨額赤字の最大の要因は、現在進行中の経営再建計画「Re:Nissan(リ・ニッサン)」に伴う一過性の構造改革費用だ。日産は固定費削減のため、工場の閉鎖や人員削減を断行しており、2026年度末までに累計2500億円の固定費削減を目指している。今年1月には南アフリカのロスリン工場の売却を公表するなど、痛みを伴う資産圧縮を進めているが、その引当金や特別損失が財務を大きく圧迫している。
さらに深刻なのが「本業」の停滞だ。2025年4〜12月期の売上高は前年同期比6.2%減の8兆5780億円に沈み、営業損益も101億円の赤字(前年同期は640億円の黒字)に転落した。販売計画の未達はこれで9期連続となり、国内シェアは1割を割り込む水準まで低下している。栃木工場や英サンダーランド工場といった主力拠点の稼働率低迷も、収益悪化に拍車をかけている。
わずかな光と「トランプ関税」の影
一方で、足元の業績には一部改善の兆しも見え始めている。2025年10〜12月期(第3四半期)は、徹底したコスト削減が功を奏し、175億円の営業黒字を確保した。これを受け、通期の営業損益見通しは当初の予想から2150億円上方修正され、600億円の赤字にまで幅を縮小させた。昨年秋に投入した新型「ルークス」や電気自動車(EV)「リーフ」の好調により、国内販売台数が17カ月ぶりにプラスへ転じたことも明るい材料だ。
しかし、前途は多難だ。米国市場では「トランプ関税」の影響が直撃しており、その負担額は2750億円にのぼる。2026年1〜3月期も再び約500億円の営業赤字に転落する見込みで、市場が期待するV字回復には「黄信号」が灯ったままだ。一部の新型車では納車が数カ月待ちとなるなど、供給体制の不備による機会損失も指摘されており、現場の実行力が問われている。
ホンダ・三菱との提携が「最後の切り札」
自力での回復が困難な中、日産が命運を懸けるのがホンダおよび三菱自動車との戦略的提携だ。「日産・ホンダ・三菱アライアンス」を通じて、次世代EVプラットフォームの共有や部品の共同開発を進め、20〜30%のコスト削減を狙っている。ホンダのソフトウェア技術と日産の電動化ノウハウを融合させることで、テスラや中国メーカーに対抗する布陣だが、企業文化の異なる3社の融合には時間がかかる。
また、株主還元策についても岐路に立たされている。日産は資本効率改善のため、ルノー保有株の買い取り・消却を進め、PBR(株価純資産倍率)の向上を市場にアピールしてきた。しかし、2025年2月に報じられたホンダとの経営統合検討の中止は投資家に動揺を与え、株価は一時売買停止に追い込まれるなど、市場の信頼は揺らいでいる。
試される「誠実な対話」
市場関係者からは、具体的なリストラ策の詳細が不透明であることに対し、「不誠実だ」との厳しい声も漏れる。フリーキャッシュフローがマイナス6900億円を超えるなど、資金繰りの厳しさは増しており、現預金2兆円超を維持しているとはいえ、予断を許さない状況が続く。
「日産 赤字」という衝撃的な見出しが躍る中、内田誠社長が進める「Re:Nissan」が単なる縮小均衡に終わるのか、それとも未来への飛躍の土台となるのか。2026年3月期の決算は、同社の存亡を懸けた分水嶺となるだろう。自動車産業が100年に一度の変革期にある中、日本のモノづくりを象徴する巨人の再生に残された時間は少ない。
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