【深層レポート】揺れる「マンモス日大」の現在地――不祥事の連鎖と志願者2割減、再生への険しい道
ニュース要約: 不祥事が続く日本大学で、日大三高野球部の部員による書類送検や2026年度入試の志願者数23%減という深刻な事態が判明しました。林真理子理事長のもとで進む改革の真価が問われる中、医学部をはじめとする大幅な「日大離れ」が加速。繰り返される不祥事と信頼回復の遅れにより、マンモス校としてのブランド力は今、かつてない存亡の危機に立たされています。
【深層レポート】揺れる「マンモス日大」の現在地――不祥事の連鎖と志願者2割減、再生への険しい道
2026年2月13日 東京 —— 日本最大級の学生数を抱えるマンモス校、日本大学(以下、日大)が再び正念場を迎えている。林真理子理事長のもとで進められてきた「新生日大」への改革が最終段階に入る中、同校傘下の日大三高野球部で発覚した衝撃的な不祥事、そして2026年度入試における志願者数の大幅な落ち込みが明らかになった。
「教育の質の向上」と「ガバナンス改革」を掲げる日大だが、その足元では今、何が起きているのか。最新の動向を追った。
■「名門」を襲った激震――日大三高野球部の不祥事
日大のブランドイメージを再び失墜させかねない事態が、東京都町田市の強豪、日本大学第三高校(日大三高)で発生した。警視庁は今月、児童ポルノ禁止法違反の疑いで、同校野球部の男子部員2人を書類送検した。
捜査関係者によると、2025年春、当時17歳の部員が15歳の女子生徒にわいせつな動画を送らせ、それを16歳の部員が他の部員ら数十人に拡散させた疑いが持たれている。日大三高といえば、昨夏の甲子園で準優勝を果たすなど、高校野球界屈指のブランド力を誇る。学校側は被害生徒に謝罪し、野球部の今後の活動を検討するとしているが、SNSを通じた「デジタル性暴力」が部内で組織的に行われていた事実は、教育界に大きな衝撃を与えた。
アメフト部の薬物事件を経て、競技スポーツの管理体制を強化するために設置された「日本大学競技スポーツセンター」の真価が、今まさに問われている。
■数字が語る「信頼の毀損」――志願者数23%減の衝撃
日大本部の苦境は、2026年度入試の志願者動向にも如実に表れている。最新の速報データによると、全学部合計の志願者数は7万1,158人。前年度最終の9万2,171人から、約2万1,000人(マイナス23%)という異例の大幅減を記録した。
特に落ち込みが顕著なのは医学部や生物資源科学部だ。医学部のN全学統一方式1期では、志願者が前年比75.0%にまで減少。生物資源科学部A方式1期にいたっては、約700人の大幅な志願者減となっている。
一方で、法学部やスポーツ科学部、理工学部の一部学科では志願者が増加に転じており、学部によって明暗が分かれる「二極化」が進行している。しかし、全体として「日大離れ」が進んでいる現実は否定できない。少子化の影響や共通テスト利用への分散という外的要因はあるものの、度重なる不祥事とそれに対する危機管理能力への疑問が、受験生や保護者の選択に影を落としているのは明白だ。
■林体制の「6合目」と日大病の再発
2022年、作家の林真理子氏が理事長に就任した際、社会は「新しい風」を期待した。実際に、理事会の女性比率を大幅に向上させ、外部人材を登用するなど、田中英寿前理事長時代の「閉鎖的な体質」からの脱却を図ってきた。
林理事長は2026年1月のメッセージで、自らの改革を「四年間の成果」として示す意欲を見せ、一部では組織マネジメントの改善が評価されている。しかし、批判的な視線も根強い。一部メディアや識者は、アメフト部事件以降の対応を巡り、依然として「無責任体制」や「排他性」といった、いわゆる「日大病」が根治されていないと指摘する。
「学生の満足度は5割を超える一方で、大学への愛着度は4割に留まる」という大学独自の調査結果(令和4年度)は、現状のブランドイメージがいかに脆弱であるかを物語っている。卒業生が120万人を超え、社長の数も日本一という圧倒的なリソースを持ちながら、その価値を社会的な信頼に結びつけられていない。
■「協創」か、それとも「解体」か
現在、日大では次期学長選考が進められており、大貫進一郎学長はステークホルダーとの「協創」を強調している。しかし、現場レベルでの不祥事が絶えない以上、どれだけ立派なガバナンス体制を構築しても、世論の信頼を勝ち取るのは難しい。
「日大というブランドは、もはや過去の遺産なのか。それとも再生の途上にあるのか」。ある教育関係者はこう漏らす。
2026年、林体制の任期満了を控える中、日本大学は「真の再生」を証明できるのか。日大三高の問題への対応、そして志願者減という厳しい市場の審判をどう受け止めるのか。マンモス校の未来は、今、かつてない荒波の中に置かれている。(共同・NNN・日本メディア連合 執筆)
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