ネイマールの現在地:古巣サントスでの苦闘と2026年W杯への消えぬ野心
ニュース要約: 34歳を迎えたネイマールの現在を現地報告。古巣サントス復帰後のパフォーマンスや怪我の影響、下落した市場価値といった厳しい現実を伝えつつ、2026年北中米W杯出場に懸ける強い意欲を詳報。アンチェロッティ監督による代表招集の条件や、次世代支援活動を通じた人間的成長など、再起と限界の狭間で揺れる至宝の真実に迫ります。
【現地報告】ネイマールの現在地。古巣サントスでの苦闘と、2026年W杯への「消えぬ野心」
【サント・アンドレ(ブラジル)=特派】
かつて世界を熱狂させた「背番号10」が、再び母国のピッチで葛藤している。
ブラジル代表の至宝、ネイマール(34)が古巣サントスFCに復帰してから約1年あまり。2026年3月現在、彼が置かれている状況は、かつての華々しいキャリアの中での「再起」と「限界」の狭間にある。2026年北中米ワールドカップ(W杯)の開幕が刻一刻と迫る中、ブラジル国内ではこの稀代のファンタジスタを代表に呼び戻すべきか否か、激しい議論が巻き起こっている。
■古巣サントスでの「光と影」
2025年1月、12年ぶりにサントスへ帰還したネイマールは、サポーターから熱狂的な歓迎を受けた。復帰直後にはリーグ降格の危機にあったチームを救う5ゴールを挙げ、その類まれな決定力を証明。2026年2月26日のヴァスコ・ダ・ガマ戦でも2ゴールをマークし、完全復活を予感させた。
しかし、34歳となった現在のコンディションは、かつてのそれとは程遠いのが現実だ。3月15日のコリンチャンス戦では先発出場したものの、パスミスを連発し、地元メディアからは「精彩を欠いた」と手厳しい評価を受けた。翌16日のベロ・クルーベ戦ではアシストを記録し、フル出場を果たしたものの、試合後には「体調は良いが、最後は足がつってしまった。100%を目指して努力中だ」と、肉体的な衰えを隠せなかった。
2023年にサウジアラビアのアル・ヒラル在籍時に負った左膝前十字靭帯および半月板の重傷は、いまだに彼のプレーに影を落としている。2025年末の再手術を経てピッチに戻ったが、筋肉系のトラブルが絶えず、3月11日の試合も筋肉疲労を理由に欠場している。
■市場価値の暴落と「サウジでの生活」
かつてパリ・サンジェルマン(PSG)が2億2200万ユーロ(当時のレートで約290億円)という史上最高額の移籍金で獲得したネイマールの市場価値は、現在1000万ユーロ(約16億円)まで下落している。これはピーク時の20分の1以下だ。頻発する怪我と高額な年俸がネックとなり、欧州のビッグクラブが再び彼に触手を伸ばす可能性は極めて低いとされている。
一方で、サウジアラビアでの生活は彼に精神的なゆとりをもたらしたようだ。アル・ヒラルでは王族並みの特別待遇を受け、私生活では家族とともに穏やかな時間を過ごしているという。一時は自身のSNSで「12月には引退したいと思うかもしれない」と弱音を吐く場面もあったが、現在は2026年W杯への出場を公言し、「自分を諦めない」と強い意欲を見せている。
■アンチェロッティの審判。代表復帰の条件
ブラジル代表を率いるカルロ・アンチェロッティ監督は、ネイマールの招集について極めて慎重な構えを崩していない。「コンディションが万全な選手のみを招集する」という鉄の規律を掲げる指揮官にとって、現在のネイマールは「計算の立たないギャンブル」に近い存在だ。
一方で、代表コーチ陣はサントスでの試合を視察し続けている。ロドリゴら若手アタッカーの負傷が相次ぐ中、経験豊富なネイマールの「個の力」を必要とする声は根強い。ブラジル国内のメディアは「100%の健康状態であれば、彼に代わる存在はいない」としつつも、「今の彼が90分間、最高強度のインテンシティを維持できるかは疑問だ」と分析している。
■次世代へつなぐ「ネイマール・ジュニア」の理念
ピッチ外での活動は、彼の人間的な成熟を感じさせる。自身が設立した「ネイマール・ジュニア・プロジェクト(Instituto Projeto Neymar Jr.)」は、サンパウロ近郊の貧困地域で7歳から14歳の子供たちを対象に教育やスポーツの機会を提供し続けている。
かつて自身も貧しい環境から這い上がった経験を持つネイマールにとって、この活動は「一つの夢」だという。チャリティマッチでの華麗なプレーや若手への支援を通じて、彼は次世代のロールモデルとしての役割も果たそうとしている。
■最後の挑戦に向けて
2026年W杯は、彼にとって「最後の大舞台」になることは間違いない。サウジアラビアでの高額報酬やSNSでの批判を浴びながらも、彼が目指すのは、ブラジルに再び黄金のカップをもたらすことだ。
「来年のことなんて分からない」という不安と、「ブラジル代表として戦いたい」という情熱。その両極端な感情の間で揺れ動きながら、ネイマールは34歳の今、かつてないほど真摯に自らの肉体と向き合っている。セレソンの「背番号10」に再び伝説が宿るのか。その答えは、残された数か月のサントスでのパフォーマンスに懸かっている。
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