モロッコ:再エネ戦略とW杯躍進で注目の「アフリカの星」日本との経済協力が深化
ニュース要約: 北アフリカの雄モロッコは、2050年までにエネルギーの96%を再エネで賄う野心的な脱炭素戦略を推進。グリーン水素や水インフラ分野で日本との経済協力が深化している。2022年W杯ベスト4の躍進や冬の観光地としての魅力も兼ね備え、アフリカのゲートウェイとして注目を集める。
モロッコ:躍進する「アフリカの星」 再エネ戦略とサッカー強国への道
~日本との経済協力深化、冬の観光地としても脚光~
近年、北アフリカの雄モロッコが、国際社会において存在感を急速に高めている。2022年サッカーW杯での歴史的な躍進に加え、再生可能エネルギー開発を軸にした野心的な国家戦略を推進。日本との経済協力も深化しており、アフリカ大陸へのゲートウェイとして、その動向が注目されている。本稿では、経済、スポーツ、観光の三側面から、変革期を迎えるモロッコの「今」を追う。(2025年12月6日)
1.脱炭素戦略を推進、日本との経済協力が深化
モロッコ政府は2023年、「国家低炭素戦略2050」を打ち出し、2050年までにエネルギー比率の96%を再生可能エネルギーで賄うという極めて野心的な目標を掲げた。豊富な太陽光・風力資源を背景に、石炭火力発電の段階的廃止(2040年代)を進める方針だ。
この脱炭素化の動きは、日本企業にとって新たなビジネス機会を生んでいる。2025年12月、国際協力銀行(JBIC)はモロッコの電力大手TAQA Moroccoと覚書を締結した。これは、再生可能エネルギー発電・送電分野に加え、次世代エネルギーとして期待されるグリーン水素、さらにはエネルギー消費の大きい海水淡水化などの水インフラ分野での日本企業の協業を支援する狙いがある。
また、同年11月には、経済産業省とモロッコ投資担当省庁が「投資・貿易活動の促進に関する協力覚書(MOC)」に署名。二国間投資協定や租税条約に加え、両国政府が日本企業の対モロッコ投資を公式に支援する枠組みが整った。これは、モロッコがアフリカ大陸における製造・物流拠点としての地位を固めつつある中で、日本企業のカントリーリスクを緩和し、進出を促す重要な一歩となる。JBICやJICAの支援枠組みを活用し、今後、日本企業のEPC(設計・調達・施工)や技術供与の参画が増加する可能性が高い。
2.サッカーW杯躍進は「育成戦略」の成果
経済的な注目度と並行し、モロッコはスポーツの世界でもその実力を証明している。2022年カタールW杯では、アフリカ勢初のベスト4進出を果たし、世界を驚かせた。この成功は一時的なブームではなく、持続的な強さの証拠として、2025年11月時点でFIFAランキング11位(アフリカ1位)を堅持している。
その力の源泉は、国家を挙げた若手育成戦略にある。U-20W杯での世界王者獲得や、パリ五輪での銅メダル獲得など、アンダー世代の国際大会での成果が顕著だ。代表チームは「堅守速攻」を特徴とし、アシュラフ・ハキミ選手(2025年アフリカ年間最優秀選手)をはじめとする国際的なスター選手を輩出。クラブレベルでも強豪が存在し、強固な代表チームを支えている。2026年の北米W杯では、さらなる飛躍とFIFAランキングトップ10入りが期待されている。
3.冬の観光地としての魅力:マラケシュとサハラ砂漠
政治・経済・スポーツの躍動に加え、モロッコは観光地としても根強い人気を誇る。特に冬の時期は、夏の猛暑を避けられるため、旅行先として魅力的だ。
観光の中心地マラケシュでは、歴史的なメディナ散策や、世界遺産のジャマ・エル・フナ広場の活気を、比較的温暖な昼間に楽しめる。また、冬ならではの魅力として、アトラス山脈では雪景色の中でのトレッキングも可能だ。
一方で、サハラ砂漠への旅は、冬の寒さ対策が必須となる。昼間は暖かくても、夜間や早朝は5度以下に冷え込むため、フリースやダウンジャケットなどの防寒具が不可欠だ。昼夜の寒暖差が激しいが、その寒さを乗り越えた先には、澄み切った夜空に輝く満点の星空観賞や、壮大な砂丘の夕日といった、他に代えがたい体験が待っている。
4.インフラ整備と国際舞台での更なる飛躍
モロッコは現在、2030年W杯共催の有力候補国の一つでもあり、今後のスタジアムや交通インフラの整備需要が高まることが予想される。これは、前述の経済協力と相まって、日本企業の建設技術や省エネ技術が活用される大きな機会となる。
再生可能エネルギーを軸とした国家戦略、着実に成果を上げる若手育成、そして世界を魅了する観光資源。モロッコは、アフリカの経済発展を牽引する国として、国際的な舞台で更なる飛躍を遂げようとしている。日本との強固なパートナーシップの下、その動向は今後も注視されるべきだろう。
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう