俳優・萩原聖人が見せる「二刀流」の極意：Mリーグと演技がもたらす相乗効果

俳優とプロ雀士、異色の「二刀流」を貫く 萩原聖人氏の挑戦：Mリーグで躍動、新作ドラマでも存在感

【2025年11月24日 共同通信配信】

俳優として長きにわたり日本映画・ドラマ界を牽引してきた萩原聖人氏（54）が、近年、プロ雀士としての顔を持ち、競技麻雀リーグ「Mリーグ」の舞台で熱い戦いを繰り広げている。俳優業とプロ雀士という異色の「二刀流」を高いレベルで両立させる彼の活動は、ファンや業界関係者から大きな注目を集めている。現在進行中のMリーグ2025-26シーズンにおいても、所属するTEAM RAIDEN（雷電）を牽引し、俳優としての円熟味を増した演技でも、来たる新作群で重要な役どころを担うなど、その多忙なキャリアは新たな局面を迎えている。

Mリーグ戦線で「勝負師」の顔を覗かせる

萩原氏がプロ雀士として活動を始めて以来、彼は単なる有名人プレイヤーではなく、真剣な「勝負師」としてその地位を確立してきた。2025-26シーズンのMリーグ戦線は熾烈を極めているが、萩原氏は堅実な成績を残している。直近の11月に行われたレギュラーシーズン第40日目のLIVEch第2戦では、熾烈なオーラスの競り合いを見事に制し、個人連勝を達成。このトップ獲得により、TEAM RAIDENのチーム順位も5位に押し上げる原動力となった。

最新の個人成績では20.5ポイントを獲得し、個人ランキング20位前後につけている。トップ争いの圏内を維持する彼の麻雀は、長年の俳優キャリアで培われた洞察力と集中力が生かされているとされる。彼は、自身の麻雀スタイルを「魅せる麻雀」と意識しつつも、競技としての結果にこだわるというプロフェッショナリズムが光る。

萩原氏は、麻雀プロとしての活動を単なる趣味としてではなく、「麻雀の競技的地位向上」を目指す真剣な活動と位置づけ、「二足の革靴」と称して、俳優業との両立に強い意志を示している。多忙を極める中でのこの「二刀流」の継続は、彼の飽くなき挑戦心を示している。

俳優としての円熟と新作への挑戦

麻雀プロとしての活動が多忙を極める中でも、萩原聖人氏の俳優業は衰えを知らない。むしろ、競技の世界で培った集中力や勝負勘が、演技により深みを与えているとの評価もある。

2025年秋クールでは、10月スタートの新作ドラマ『ひと夏の共犯者』で、主人公の親友・巧巳役を熱演。共演者との間で「お互いに刺激し合える関係」を築き、「ずっと親友だと思ってるよ」という台詞が視聴者の心を打った。さらに、同年春のドラマ『恋は闇』では、主人公の過去を知る「謎の男」として登場し、意味深な言葉で物語の展開に決定的な影響を与えた。

来年2026年には、織田裕二氏主演の大型連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』（WOWOW×Lemino）への出演が控えており、玉山鉄二氏ら実力派俳優陣と敵役として共演する。この敵役について、萩原氏は「正義と悪の狭間で葛藤する人物。演技の難しさと面白さを感じた」と語っており、常に新しい役柄に挑戦し続ける彼の「演技への情熱」が体現されている。

35年を超えるキャリアと日本映画界への影響

1987年に『あぶない刑事』でデビューを果たして以来、萩原氏の俳優キャリアは35年を超える。初期の『はいすくーる落書2』で注目を浴びた後、1990年代には映画界でその才能が花開いた。『学校』や『月はどっちに出ている』（1993年）で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。さらに、崔洋一監督作『マークスの山』（1995年）、黒沢清監督作『CURE』（1997年）では、二度にわたり日本アカデミー賞優秀助演男優賞を獲得するなど、若くして演技派としての地位を確立した。

特に、サイコサスペンスの金字塔とされる『CURE』での狂気を孕んだ演技は、日本の映画界に新たな風を吹き込み、今なお語り継がれている。社会派ドラマから心理サスペンスまで幅広いジャンルで活躍する彼の演技の幅広さは、現在の「二刀流」を可能にする原動力となっている。

「二足のわらじ」がもたらす相乗効果

萩原聖人氏は、極限の状況下で冷静な判断を求められるMリーグでの経験が、役柄への深い理解や表現力に新たな視点をもたらしている可能性が高い。彼は「自分を『結構知り尽くしている気がします』」と語りながらも、常に新しい役柄、そしてプロ雀士としての高みを目指している。

プロ雀士としてトップを目指し、俳優として観客の心を打つ演技を追求する彼の活動は、多忙を極める現代社会において、プロフェッショナルの理想的な姿を示していると言えるだろう。2025年シーズンも、萩原聖人氏の「二刀流」の活躍から目が離せない。