KLab株価、上場来安値更新の深層:28億円赤字と24%希薄化のダブルパンチ
ニュース要約: モバイルゲーム大手のKLab(3656.T)株価が、28億円の最終赤字計上と、大規模な第三者割当増資による24.6%の株式希薄化懸念を受け、上場来安値を更新した。新規タイトル関連で44億円の減損処理も計上し、財務状況は深刻化。再建に向けた新規事業投資の成否が焦点となっている。
KLab(3656.T)株価、上場来安値更新の深層:28億円赤字と24%希薄化のダブルパンチ
モバイルゲーム大手、経営再建の難路
モバイルゲーム開発のKLab(株)(3656.T)は、2025年に入り、深刻な経営危機に直面している。業績の著しい悪化に加え、大規模な資金調達に伴う株式の希薄化懸念が市場の信頼を大きく損ない、KLab(株) 株価は歴史的な暴落に見舞われた。一連の悪材料により、stocksは上場来安値を更新。現在も予断を許さない状況が続いており、新規事業への投資を急ぐ同社の再建計画の成否が注視されている。
希薄化懸念が招いた「plummeting」
KLab(株)株価が急落した決定的な要因の一つは、2025年1月に発表された資金調達策にある。同社は約18億5000万円を調達するため、マッコーリー・バンク・リミテッドを割当先とする第三者割当増資を実施したが、同時に発行された新株予約権(潜在株数1189万株)による潜在的な株式希薄化率は**24.6%**という高水準に達した。
既存株主の一株利益が大幅に低下するとの警戒感から、市場の売りは一気に加速。発表直後の1月9日の取引では、株価は前日比19%安の136円まで売られ、上場来安値を更新するplummetingな展開となった。この急落を受け、東京証券取引所は信用取引に対する委託保証金率を50%以上に引き上げる臨時措置を実施。市場の警戒感の高まりが浮き彫りとなった。
業績悪化の深層:44億円の減損処理
株価downの背景には、収益力の著しい低下がある。2024年12月期の通期連結最終損益は28億円の赤字となり、前期(18億1900万円の赤字)から赤字幅を拡大させた。
さらに深刻だったのは、2025年12月期第2四半期(4~6月)の決算だ。この四半期だけで連結最終損益が47.4億円の巨額赤字に膨らんだ。この主因は、開発中の新規タイトル『EA SPORTS FC TACTICAL』に関連する無形固定資産44億2600万円の減損処理である。新規事業への投資失敗が特別損失として計上され、同社の財務健全性を著しく損なう結果となった。
収益の柱であった既存タイトルも減衰傾向にある。『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』のKPIが低下し、売上高は前年同期比で2ケタ減となった。一方、『BLEACH Brave Souls』は10周年記念キャンペーンにより収益の維持に努めているものの、全体的な収益基盤の脆弱化は覆い隠せない状況にある。
不透明な経営見通しと再建への課題
KLab(株)は、調達した資金を新規大型モバイルオンラインゲーム及び新規カジュアルゲームの企画・開発・運営に充てる方針を示しており、新規事業への投資を通じて業績回復を目指す構えだ。2025年3月には創業者の真田哲弥氏が社長に復帰し、経営体制の刷新と方針転換を図った。
しかし、市場の信頼回復は容易ではない。同社は2025年12月期の通期連結業績予想について、「合理的かつ信頼性のある予想の提示が困難」として非開示としており、事業環境の不確実性と経営見通しの不透明さが投資家心理を冷え込ませている。
2025年12月1日現在、KLab(株) 株価は依然として低水準で推移している。今後の焦点は、新規事業投資が市場の期待に応え、収益の柱となり得るか否かだ。既存タイトルに依存する構造から脱却し、40億円規模の減損処理の痛手から立ち直るためには、2026年度の経営成績が企業の存続可能性を左右する重要な鍵となるだろう。3656.Tが再び成長軌道に乗るためには、徹底した事業構造改革と、新規タイトルの早期成功が不可欠である。