【能登・和倉】加賀屋が描く2026年復興の軌跡:隈研吾氏設計の新館と「真・RYOKAN」の幕開け
ニュース要約: 2024年の能登半島地震を乗り越え、老舗旅館「加賀屋」が2026年度冬の開業を目指す新館プロジェクトを始動。世界的な建築家・隈研吾氏の設計による全室オーシャンビューの新施設は、伝統のおもてなしと現代デザインが融合した「真・RYOKAN」を体現します。地域経済の活性化や持続可能な観光モデルの構築を通じ、能登全体の復興を牽引する加賀屋の新たな挑戦に注目が集まっています。
【能登・和倉】不屈の象徴「加賀屋」が描く再生の軌跡――2026年、隈研吾氏設計の新館とともに刻む「真・RYOKAN」の第一歩
2026年3月27日、能登半島に春の息吹が訪れている。あの日から2年余り。石川県七尾市、和倉温泉の象徴である老舗旅館「加賀屋」は今、120周年という大きな節目を前に、未曾有の困難を乗り越え、新たな歴史の1ページを開こうとしている。
伝統と革新の融合「真・RYOKAN計画」始動
1906年(明治39年)に小田與吉郎によって創業された加賀屋は、わずか12室の宿から始まり、収容人数1450人を誇る日本最大級の旅館へと成長を遂げた。旅行新聞新社が主催する「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、36年連続で総合第1位に輝くなど、その名は「日本のおもてなし」の代名詞として国内外に知れ渡っている。
しかし、2024年1月の能登半島地震は、その盤石な歩みに大きな影を落とした。「雪月花」「能登渚亭」といった加賀屋を象徴する宿泊棟は深刻な被害を受け、解体を余儀なくされた。現在、本館は休業を余儀なくされているが、その歩みは止まっていない。加賀屋グループが掲げたのは「加賀屋 真・RYOKAN計画」だ。
このプロジェクトの核となるのが、2026年度冬に開業を予定している新館である。世界的な建築家・隈研吾氏が設計を手掛けるこの新施設は、地上5階建て、全50室が七尾湾を望むオーシャンビュー。さらに全室に露天または半露天風呂を備え、プライベート感を重視した「部屋食」という伝統のスタイルを現代的に昇華させる。伝統建築と現代デザインが融合したその姿は、単なる復興を超えた、次世代の旅館の在り方を提示するものだ。
「おもてなし」を科学する精神は次世代へ
加賀屋の強みは、先代女将・故小田孝氏が確立した「おもてなしを科学する」という哲学にある。一期一会の感動を提供するため、顧客一人ひとりの好みを把握するパーソナライズドサービスは、震災後もグループ各施設やレストラン運営において脈々と受け継がれている。
その精神をより身近に感じられる新しい試みも始まっている。2026年3月には、グループ初となる定食屋「とと楽食堂」がオープン。高級旅館の技術を定食という日常的な形式で提供することで、温泉街の賑わいを取り戻し、地域住民や観光客に寄り添う新たな拠点を創出した。これは、雇用の確保と地域経済の活性化を両立させる、加賀屋流の復興支援の形と言えるだろう。
旬を味わう、能登の「福幸」メニュー
現在、和倉の本館こそ宿泊受け入れを停止しているが、加賀屋の味は全国の直営レストランで堪能することができる。特に、この春から提供されている「春季限定メニュー」は、能登の「里山里海」の恵みをふんだんに取り入れた内容となっている。
広島店や名古屋店などで提供される「春の限定御膳」では、脂の乗った「のどぐろ」や、瑞々しい「竹の子」など、能登の旬が主役を飾る。能登の魚醤「いしる」を用いた伝統の技法はそのままに、地酒とのペアリングによって能登の風土を体現。料理を通じて能登の現状を伝え、復興への願いを込める「地域との福幸(ふっこう)」というテーマは、多くの美食家の心を打っている。
2026年、和倉の空に再び灯る希望
2026年度内には、新館の開業に合わせ、グループ施設である「あえの風」「虹と海」「松乃碧」も順次再開を目指している。和倉温泉全体のインフラ整備も急ピッチで進められており、地元関係者からは「加賀屋の完全復興こそが、和倉、そして能登全体の復興の鍵」との期待が寄せられている。
120周年を目前にした今、加賀屋は単なる老舗の看板を守るだけでなく、環境負荷の低減や自動化技術の導入など、現代のニーズに対応した持続可能な観光のモデルケースへと進化を遂げようとしている。
「人間くささ」を大切にする温かなおもてなしと、隈研吾氏による革新的な建築。その二つが重なる2026年の冬、七尾湾の穏やかな海辺に、再び日本の旅館文化の最高峰が産声を上げる。能登の再興を牽引する加賀屋の挑戦は、今まさに佳境を迎えている。
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