ジェットスター、年末年始需要が倍増！国際線再開と運航安定性への挑戦

ジェットスター、年末年始需要は一部路線で倍増 LCCの国際線戦略と運航安定性への挑戦

（2025年11月26日、東京発）

格安航空会社（LCC）大手、ジェットスター・ジャパンは、2025年度末から2026年度初頭にかけて、年末年始の需要獲得と国際線ネットワークの積極的な拡充を図っている。特に国内線では、全体予約率は前年比で微減ながらも、北海道や沖縄方面など一部の観光・帰省路線では予約数が前年を大幅に上回る好調ぶりを見せている。一方で、LCC特有の課題である運航安定性、特にジェットスター 遅延問題への取り組みも継続しており、低価格と定時運航率の向上という二律背反への挑戦が続いている。

第1章：年末年始の予約状況と「¥2,960～」の価格競争力

ジェットスター・ジャパンが2025年12月25日から2026年1月12日までの期間でまとめた年末年始 予約状況によると、提供座席数全体は前年比97.5％とやや減少しているものの、予約数は139,977人（前年比94.2％）で、平均予約率は78.1％となった。

特筆すべきは、需要に応じた路線の座席供給の柔軟性だ。特に観光需要と帰省需要が重なる北海道（東京＝旭川など）や沖縄、九州方面では予約が集中しており、東京＝旭川線では提供座席数が前年比199.2％と倍増し、予約数も218.2％と大幅に伸長した。これは、需要を見越した臨時便や増便が功を奏した形だ。

同社は、冬期の需要をさらに喚起するため、大規模なセール戦略も展開している。11月26日からはBLACK FRIDAY セールを実施。国内線全路線を対象に、片道¥2,960～という破格の運賃を設定し、早期予約による需要の取り込みを図っている。セール運賃はエコノミークラス「Starter」が基本となるが、この低価格戦略が、年末年始の旅行計画においてLCCを選択する利用者を強く惹きつけている。

第2章：国際線ネットワークの積極的な再構築

国内需要が堅調な一方で、ジェットスターは2026年に向けた国際線ネットワークの再構築を急いでいる。訪日観光需要（インバウンド）の回復と、日本からの海外旅行需要の取り込みを見据えた動きだ。

特に東京/成田 国際線のハブ機能を強化しており、2025年12月18日には、台湾の南の玄関口である高雄線新規就航を果たした。さらに2026年2月13日には、主要アジア路線の一つである東京/成田～香港線運航再開を予定している。これにより、成田空港発着の国際線は5路線体制へと拡大し、関西発着を含めると国際線は7路線体制となる。

同社の路線拡充は、低運賃を武器に、アジア・オーストラリア方面への気軽な旅行を可能にするというLCCの役割を明確にするものだ。アンバンドル戦略（基本運賃を抑え、付加価値サービスで収益を上げる）を通じて、多様化する旅行ニーズに対応し、利便性を高める方針だ。

第3章：運航安定性への構造的課題と改善の兆し

好調な予約と積極的な路線展開の裏側で、ジェットスターはLCC共通の、しかし同社にとって特に深刻な課題である運航安定性の向上に注力している。

2025年3月までの国内主要航空会社の定時運航率ランキングにおいて、ジェットスターはLCCの中でも低い水準にとどまっており、定時出発率は70％台と課題を抱えている。遅延・欠航の主な原因は、LCCのタイトなスケジュール運用による機材繰りの遅延連鎖にあると指摘されている。1便の遅れが次のフライトに波及し、運航全体の乱れを引き起こす構造的な問題だ。

しかし、同社はこの問題に対し、運航スケジュールの見直しやグランドハンドリングの改善を進めており、直近の月別定時運航率は改善傾向を見せている。特に2025年6月には86％を記録するなど、運航の安定化に向けた努力が一定の成果を上げ始めている。

利用者からは、遅延や欠航、手荷物ルールなどのサービス面で厳しい声が聞かれるものの、低価格というコストパフォーマンスの高さは広く評価されている。運航の安定化が進めば、顧客満足度のさらなる向上も期待できる。

結論：価格と品質の両立がLCC成長の鍵

ジェットスター・ジャパンの動向は、日本のLCC市場の現状を象徴している。年末年始の旺盛な需要を低価格で取り込み、国際線再開で成長の活路を見出す一方で、定時運航率の改善という根深い課題に直面している。

価格競争力と運航品質の向上は、LCCが持続的に成長するために避けて通れないテーマである。同社が国際線ネットワークを拡大し、国内外の多様な旅行需要に応えていくためには、運航の「信頼性」を高めることが最重要となる。年末年始の利用を検討する消費者にとっては、セール情報を活用しつつも、余裕を持った旅行計画を立てることが賢明だろう。（了）