【政治・経済】参院「ねじれ」で年度内予算成立が困難に、木原官房長官が「暫定予算」編成を表明
ニュース要約: 木原稔官房長官は、令和8年度予算の年度内成立が困難な情勢を受け、暫定予算の編成を検討する方針を明らかにしました。参議院での与党少数派状況が影響し、新規事業の凍結や地方自治体への補助金遅延など、国民生活や経済へのリスクが懸念されています。政府は行政の継続を優先しつつ、4月上旬の本予算成立を目指し野党との攻防を続けています。
【政治・経済】参院少数与党の壁、年度内成立は困難な情勢に――木原官房長官、暫定予算編成の検討を表明
【東京】令和8年度(2026年度)予算案の成立が年度末までに間に合わない可能性が高まっている。木原稔官房長官は3月23日の記者会見および自民党参議院幹部との会談において、新年度の実務に支障をきたさないよう「暫定予算」の編成を検討する方針を明らかにした。参院において与党が少数派である「ねじれ」に近い状況が影を落とし、国民生活や地方自治体への影響、さらには防衛・少子化対策といった重点施策の遅延が現実味を帯びている。
■「不測の事態に備える」苦渋の選択
木原官房長官は23日の会見で、暫定予算案について「本予算成立までの応急的な措置であり、行政活動の継続を確保するために財政法第30条第2項に基づき検討するものだ」と説明した。
衆議院では今月中旬に予算案を通過させたものの、参議院では立憲民主党を中心とする野党側が十分な審議時間を求めて強く反発。物価高対策や教育無償化の積み増しを条件に暫定予算の編成を迫る攻勢を強めている。政府・与党は当初、憲法の規定に基づく「30日ルール」による4月11日頃の自然成立を見越していたが、年度開始直後の予算空白が地方交付税の確定遅延や補助金執行の混乱を招くリスクを重く見て、つなぎ予算となる暫定予算の編成という「二段構え」の対応に舵を切った形だ。
木原氏は同日、自民党の松山政司参院議員会長らと官邸で協議し、「政府としては引き続き年度内成立を目指すが、不測の事態に備えた準備が必要だ」と述べ、政治的調整の難化を認めた。
■新規事業は「凍結」の危機、高まる経済リスク
暫定予算が編成された場合、その内容は公務員の給料や社会保障費、継続中の公共事業といった「義務的経費」に限定される。一方で、政権が目玉として掲げる新規事業は原則として執行できない。
特に懸念されるのが、約8兆円規模に膨らむ防衛費と、約4兆円規模の少子化対策だ。防衛省が進める新型ミサイルの導入や無人機の先行取得などは、新規契約が凍結されるため、国際情勢が緊迫する中での即応力低下が懸念される。また、児童手当の拡充や出産支援金の増額といった少子化対策の新施策も、本予算成立まで「待ち」の状態となり、自治体の現場では混乱が必至だ。
市場関係者の間では、こうした予算執行の遅れがGDPを引き下げる要因になるとの分析も出ている。財務省幹部は「暫定予算はあくまで『つなぎ』。期間が長引けば、地方自治体が事業計画を立てられず、経済の停滞を招く」と危機感を募らせる。
■「財政規律」と「政治決断」の狭間で
木原官房長官が強調するのは、不測の混乱を回避しつつ、高市政権が掲げる財政規律を維持する姿勢だ。令和8年度本予算案は一般会計総額122.3兆円と過去最大規模に達しており、税収で賄いきれない分を国債発行で補う厳しい台裏舞台がある。
木原氏は、暫定予算下でも「借金依存からの脱却と既存の義務履行を優先する」との方針を示唆している。これは、安易なバラマキを求める野党の要求を牽制し、市場の信認を維持する狙いがある。しかし、野党側は「暫定予算にこそ物価高対策を盛り込むべきだ」と主張を崩しておらず、与野党の攻防は激化の一途をたどっている。
■今後の焦点は「4月上旬」の決着
今後の最も現実的なシナリオは、3月中に数週間分の暫定予算を成立させ、その間に参院での審議を尽くして4月上旬に本予算を成立させる道だ。木原官房長官は「国民生活への打撃を最小限にする」と繰り返すが、審議の行方次第では、地方交付税の交付遅延など実務面での実害が表面化しかねない。
年度末まで残り1週間。木原官房長官による政治的調整能力が、文字通り「国家の血流」である予算を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされている。
(政治部・国会取材班)
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