【大相撲】「脱サラ力士」一山本、初の幕内10勝達成!突き押しで上位連破、三役昇進へ
ニュース要約: 大相撲九州場所で、東前頭8枚目の一山本(脱サラ力士)が初の幕内二桁となる10勝4敗を達成した。持ち前の突き押し相撲に磨きをかけ、終盤には難敵を連破。元横綱も評価する質の高い勝利で敢闘賞候補に浮上し、来年初場所での自己最高位更新と三役昇進への足がかりを築いた。異色の経歴が育んだ粘り強い精神力も強さの源だ。
【大相撲】「脱サラ力士」一山本、初の幕内二桁勝利達成の衝撃 突き押しに磨き、上位連破で新境地へ
東前頭8枚目・一山本(放駒部屋)、粘りの相撲で敢闘賞候補に浮上
2025年11月23日(土)
大相撲九州場所(福岡国際センター)は千秋楽を迎え、東前頭8枚目の一山本(いちやまもと、32=北海道出身)が、自身にとって初の幕内二桁となる10勝4敗という快挙を成し遂げた。異色の経歴を持つ「脱サラ力士」として知られる一山本関だが、今場所は持ち前のスピードと突き押しにさらなる安定感を加え、終盤には上位力士を次々と撃破。その充実ぶりは、来年初場所(2026年1月場所)での自己最高位更新と、三役昇進への足がかりを予感させるものだ。
質の高い10勝:終盤の連勝が示す覚醒
今場所、東前頭8枚目の地位で迎えた一山本関は、序盤こそ星を五分で推移させたものの、場所終盤、特に12日目以降の戦いぶりは目覚ましいものがあった。
14日目には東前頭5枚目の難敵・義ノ富士関を、得意の突き押しから機を見て「はたき込み」で破り、二桁勝利を確定。さらに千秋楽では、東前頭2枚目の若元春関をも撃破し、その勝ち星の「質」の高さを証明した。
ABEMA大相撲中継で解説を務めた元横綱・若乃花(花田虎上氏)は、一山本関の終盤の相撲について、「気持ちが楽になり、足がしっかり出ている。攻め込まれても、引かずに前に出続ける姿勢が結果に繋がった」と高く評価している。敗戦は前頭7枚目の美ノ海関、同7枚目の阿炎関に喫したが、いずれも僅差の勝負であり、全体を通じて高い安定感を見せつけた。
スピードとリーチを活かす「押し相撲」の極意
一山本関の最大の武器は、幕内でも屈指のスピードと長いリーチを活かした「鋭い突き押し」にある。
師匠も認める立ち合いの瞬発力に加え、今場所は特に、前傾姿勢を崩さずに相手を押し込む「押しの連続性」が際立った。重心を低く保ち、体の浮きを最小限に抑える「すり足」の徹底が、相手の突きや変化への対応力を高めている。
彼は、体格や突き押しのスタイルが似ている阿炎関を「理想の一つ」と語りつつも、自身の相撲を追求。稽古場では、若手力士たちに胸を貸し、基本に忠実な取り口を重視する姿勢を貫いているという。その結果が、終盤戦での勝負強さに繋がったのは明白だ。
異色の経歴が育んだ「粘り強い精神力」
一山本関の強靭な精神力の背景には、異色の経歴がある。彼は23歳で公務員の職を辞し、プロの相撲界に飛び込んだ「脱サラ力士」だ。安定した生活を捨ててまで夢を追うことを選んだ経験は、土俵上の粘り強さ、そして勝負度胸の源となっている。
「倒れていない限り諦めない」という彼の姿勢は、稽古場での厳しい指導にも表れており、周囲からはその真摯さが評価されている。九州場所を通じて、何度か土俵際で粘り勝ちを収めた相撲には、この諦めない精神力が色濃く反映されていた。
この10勝4敗という成績は、次場所(2026年1月場所)の番付に大きな影響を与える。東前頭8枚目からの二桁勝利は、前頭中位〜上位、具体的には自己最高位を更新する東前頭5枚目から7枚目への昇進が濃厚だ。さらに、上位力士を連破した実績から、敢闘賞の有力候補に挙がる可能性も高い。
土俵外でもファンを惹きつける現代的な魅力
土俵上での奮闘に加え、一山本関は土俵外での親しみやすい人柄も相まって、SNSやメディアで高い人気を誇る。
特に、元ウェザーニュースLiVEキャスターの内田侑希さんとの函館デート企画がSNSで話題になるなど、地元北海道の魅力を発信する姿や、美容に気を遣い「モテたい」と語る等身大の素顔が、現代のファン層を惹きつけている。彫りの深い顔立ちから「ハーフでは?」と噂されることも、彼の話題性に拍車をかけている。
「話下手だが誠実」というギャップや、自宅での手料理披露など、プライベートを垣間見せるファンとの距離の近さも、彼の魅力の一つだ。
初の幕内二桁勝利を達成し、押し相撲の極意を体現し始めた一山本関。その粘り強い精神力と、土俵外の親しみやすさを武器に、来場所はさらなる上位での活躍、そして悲願の三役昇進を目指す。今後の彼の相撲人生から目が離せない。