免疫生物研究所（4570）株価が年初来高値を更新！急騰の背景にある抗体事業とパイプライン進捗

【深層分析】免疫生物研究所（4570）株価、年初来高値2,619円の衝撃：抗体事業急成長とパイプライン進捗への期待、過熱感の行方

（2025年11月28日 東京発）

バイオベンチャーの免疫生物研究所（4570・JASDAQスタンダード）の株価が、ここにきて異例の急騰を見せている。同社は11月27日、一時ストップ高となる2,619円を記録し、年初来高値を大幅に更新した。前日比で23.6%の大幅上昇であり、市場の注目が集中している。背景には、11月12日に発表された2026年3月期中間決算における主力の抗体関連事業の好調と、複数の重要パイプラインの進捗に対する市場の強い期待がある。しかし、短期的な急騰は過熱感を伴い、一部では調整リスクを警戒する声も上がっており、今後の動向が注目される。

突出した株価動向と好業績の裏付け

免疫生物研究所の株価は、今年4月に年初来安値356円まで下落していた状況から一転、2025年後半にかけて急激な反発を見せ、短期間で約7倍に高騰した。特に11月26日、27日の2日間で連続して大幅高となり、27日の出来高は312万株超、売買代金は78億円に達するなど、活発な取引が展開された。これはバイオセクター全体の中でも突出したパフォーマンスである。

この急騰の最大の要因は、中間決算での増収増益達成にある。同社の売上高の99.5%を占める抗体関連事業が好調に推移し、営業利益は前年同期比109%増と大幅な改善を見せた。収益性の高さを示すROEは17.92%と高水準で推移しており、さらに自己資本比率も84.2%と強固な財務基盤を維持している。これらのファンダメンタルズの改善が、長期的な成長期待を抱く投資家の買い意欲を刺激している。

パイプライン進捗が生む「次の材料」への期待

投資家が特に注目しているのは、高い技術力を背景とした抗体関連パイプラインの進捗状況である。

現在、同社が開発を進める「がん免疫療法関連抗体」では、11月上旬に前臨床試験で有望な結果が公表された。これにより、早期の臨床試験（Phase I）開始への期待が市場で急速に高まっている。バイオ医薬品の開発において、前臨床段階から臨床段階への移行は、株価を大きく押し上げる重要なマイルストーンとなる。

また、自己免疫疾患向け抗体についても、2025年10月の学会発表を経て、2026年上半期の臨床試験開始が予定されている。さらに、足元では、新型ウイルス（仮称「X-Virus」）対応の迅速診断キットの開発も進展しており、年内にも当局の承認申請が見込まれている。

これら複数の開発マイルストーンが短期間で集中したことが、投機的な買いを呼び込み、免疫生物研究所 株価を押し上げる強力な材料となっている。

高まる過熱感と市場の警戒シグナル

好業績とパイプラインへの期待が相まって株価は急伸しているが、短期的な値上がりに対する警戒感も強まっている。

現在のPER（予想）は16.4倍、PBRは2.76倍と、業績改善を反映しているものの、短期的な急騰により、市場には過熱感が漂い始めている。実際、一部の市場分析機関では、AI診断が「売り転換」シグナルを示したり、みんかぶ予想株価が現在の水準よりも低い1,709円（売り推奨）を提示するなど、慎重な見方も散見される。

出来高の急増は、短期トレーダーや「仕手筋」の積極的な介入を示唆しており、材料出尽くし後の急激な調整リスクは無視できない。掲示板などでは「押し目待ち」の声が多い一方で、「短期的な利食い」や「調整下落」を予想する動きも活発化しており、投資家間のセンチメントは二分されている状況だ。

今後の展望：成長の持続性が鍵

免疫生物研究所の株価が今後も高値を維持できるかは、目先のパイプラインの進展、特にがん免疫療法抗体の臨床試験開始の是非、および診断キットの承認動向に大きく左右される。

中期的な視点で見れば、同社の高い収益性と強固な財務基盤は、成長を支える強みとなる。しかし、短期的な投機的要素が収束した後、抗体関連事業が持続的に成長し、臨床開発が予定通りに進むか否か、というファンダメンタルズを冷静に見極める必要がある。投資家は、次の材料（臨床試験開始、承認など）が具体化するタイミングと、短期的な調整リスクを慎重に天秤にかける戦略が求められる。