ホンダ N-ONE RS、6速MT専用化で覚醒!軽スポーツの本質を追求した「ドライバーズカー」の深化
ニュース要約: 2025年改良新型ホンダN-ONE RSは、CVTを廃止し6速MT専用モデルとして登場。「真のドライバーズカー」として個性を研ぎ澄ませた。S660譲りのクロスレシオMTとターボエンジンで軽自動車の概念を覆す走行性能を実現。しなやかな足回りと高燃費を両立し、ECUチューニングで実測80馬力超えも報告されるなど、軽スポーツの本質を追求する一台だ。
ホンダ N-ONE RS、軽スポーツの本質へ回帰:6速MT専用化が示す「ドライバーズカー」の深化
【東京】 2025年11月、ホンダは軽自動車「N-ONE」の改良新型を発表し、そのスポーティーグレードであるホンダ N-ONE RSが、軽スポーツカー市場に新たな波紋を広げている。最大の変更点は、従来のCVT(無段変速機)仕様を廃止し、6速MT(マニュアルトランスミッション)専用モデルへと大胆に舵を切ったことだ。これは、日常の使い勝手と高い走行性能を両立させてきたN-ONE RSが、「真のドライバーズカー」としての個性を徹底的に研ぎ澄ませる、ホンダの強い意志の表れと見られる。
軽自動車の枠を超えた走行性能と「S660譲り」のMT
ホンダ N-ONE RSは、最高出力64PS、最大トルク104N・mを発揮する0.66L直列3気筒DOHCターボエンジンを搭載する。特筆すべきは、そのトルク特性だ。低回転域から力強いトルクが得られるため、街乗りでの発進や高速道路での追い越し時もスムーズかつ力強い加速が可能であり、軽自動車の概念を覆す爽快なドライビングフィールを提供する。
この走りの愉しさを決定づけているのが、MT専用化された6速トランスミッションだ。これは、かつての軽スポーツモデルS660譲りのクロスレシオ化が施されており、シフトフィールは軽く正確。2速にダブルコーンシンクロ、3速にカーボンシンクロを採用するなど、スポーツカーに匹敵する操作感を実現している。クラッチ操作も滑らかで疲れにくく、渋滞時でもストレスが少ないと、長期オーナーからも高く評価されている。
「しなやかさ」を追求したRS専用足回り
走行安定性においても、ホンダ N-ONE RSは独自の地位を築いている。RS専用にチューニングされた足回りは、硬すぎず「しなやか」なセッティングが特徴だ。これにより、路面の段差や凹凸をしっかり吸収し、高級車のような質の高い乗り心地を実現。低重心設計と相まって、キビキビとした軽快な走りと、高速域での高い直進安定性を両立させている。
長期オーナーレビューによれば、その実用性も特筆に値する。ターボエンジン搭載車にもかかわらず、WLTCモード燃費はMT車で約23.0km/Lと優秀であり、実際の走行でも22〜24km/Lを安定して記録。燃費性能とスポーツ性能のバランスが極めて高い水準にあることが証明されている。
MT専用化の戦略的意味とデザイン深化
2025年改良型におけるCVTの廃止は、単なる仕様変更ではない。これは、生産効率の最適化と同時に、ホンダ N-ONE RSを真に「操る楽しさ」を求めるコアなユーザー層に特化させる戦略的判断だ。ホンダは、軽自動車においてもドライバーが主体となって車を操る喜びを追求する姿勢を明確にした。
デザイン面でも、スポーティーな個性が強調されている。専用のフロントグリルやバンパーが再設計され、新デザインのアルミホイールを装着。キャビン内ではカーボン調インパネガーニッシュや専用のインストゥルメントクラスターが採用され、質感とスポーティーさが向上している。
カスタムベースとしてのポテンシャル:実測80馬力超えも
高い基本性能を持つホンダ N-ONE RSは、カスタムベースとしても人気が加速している。ブリッツや無限といった大手チューナーが積極的にパーツを開発しており、特にパワーアップの分野では、秘められたポテンシャルが明らかになっている。
例えば、SPOON SPORTSの「Hondata FlashPro」を用いたECUチューニングでは、OBD2端子経由でプログラムを書き換えるだけで、実測80馬力オーバーを実現する事例が報告されている。これは、軽自動車の自主規制枠(64PS)を大きく超える性能であり、ホンダ N-ONE RSのエンジン耐久性と設計の優秀さを示している。
また、カスタムの主流は、単なる出力向上ではなく、サスペンションとのトータルバランスを重視した「バランス型チューニング」だ。ブリッツのダンパーZZ-RやRS・Rの車高調などが人気を集め、ローダウン後の3Dアライメント調整を行うことで、軽自動車とは思えない高い走行性能と安定性を獲得している。
まとめと今後の展望
ホンダ N-ONE RSは、スズキ・アルトワークスやダイハツ・コペンといったライバル車が存在する軽スポーツカー市場において、「日常の快適性」と「純粋なスポーツフィール」を両立した独自のニッチを確立している。2025年改良型での6速MT専用化は、その個性をさらに尖らせ、ドライバーズカーとしての魅力を最大限に引き出すものだ。
ホンダが示す「軽スポーツの本質回帰」の動きは、日本の自動車文化において、単なる移動手段ではない「趣味の道具」としての軽自動車の可能性を広げていくに違いない。今後の市場の反応と、若年層への影響が注目される。