【独自】函館赤十字病院が2027年春に閉院へ、人口減少と老朽化が壁に。外来受付や今後の影響を詳報
ニュース要約: 函館赤十字病院が2027年3月末を目途に閉院を検討していることが判明しました。人口減少、施設の老朽化、医療従事者不足という3つの深刻な課題が背景にあります。閉院までの診療体制や外来受付時間の詳細、職員の再配置、地域医療への影響について解説。地方都市が直面する医療空白の危機と、ワークライフバランスに配慮した採用環境の現状を浮き彫りにします。
【独自】函館赤十字病院が2027年春に閉院へ――地域医療の担い手が直面する「人口減少」と「老朽化」の壁
【2026年3月24日 函館】
北海道道南地域の医療の一翼を担ってきた函館赤十字病院(函館市堀川町)が、令和9年(2027年)3月31日を目途に閉院を検討していることが明らかになった。日本赤十字社が今月23日、公式に発表した。1950年代の開院以来、長きにわたり地域住民の命を支えてきた「日赤」の撤退方針は、地方都市が抱える深刻な医療課題を浮き彫りにしている。
閉院検討の背景:三つの「深刻な課題」
函館赤十字病院は、内科、外科、リハビリテーション科など11の診療科目を備え、137床(一部資料では150床規模)を有する急性期病院として機能してきた。しかし、今回の苦渋の決断に至った背景には、避けては通れない構造的な問題がある。
第一に、函館市の急速な「人口減少」だ。患者数の減少は病院経営に直接的な打撃を与え、将来的な医療需要の見通しを不透明にしている。第二に、施設の「老朽化」が挙げられる。現在の建物は建設から数十年が経過しており、最新の医療ニーズに応えるための大規模改修や建て替えには巨額の投資が必要となる。そして第三に、全国的な課題でもある「医療従事者の確保難」だ。特に医師や看護師の定着が難しく、現在の診療体制を維持し続けることが困難な状況に陥っている。
日本赤十字社は、現在在籍している約140名の職員に対し、旭川赤十字病院など他のグループ病院への移管を想定した個別面談を進める方針だ。
地域住民への影響と「外来受付時間」への配慮
「内科の先生が親身になってくれる」「ここがなくなると、通院先が遠くなる」。閉院検討のニュースを受け、病院を訪れた地域住民からは不安の声が漏れている。
閉院が検討されている令和9年3月までは、現在の診療体制に大きな変更はない。函館赤十字病院の外来受付時間は、原則として月曜日から金曜日の午前が08:40~11:40、午後は13:15~17:15となっている。ただし、診療科目によっては「午前のみ」や「特定曜日の休診」があるため、受診の際は事前の電話確認(0138-51-5315)や公式サイトでの確認が欠かせない。なお、土曜・日曜・祝日は一貫して休診となっている。
再診の場合は、各診療科の受付ボックスに診察券を投入する形式だが、初めて受診する「初診」の患者は、まず①番窓口での手続きが必要となる。
採用と労働環境:高いワークライフバランスの行方
閉院に向けた検討が進む一方で、2026年3月現在も、医療の質を維持するための採用活動は継続されている。看護師(正・准)や薬剤師、理学療法士などの募集がハローワーク等で行われており、特に看護師の求人では、年間休日123日(4週8休以上)という手厚い待遇が目を引く。
3交代制勤務を主軸としながらも、育児休業や介護休暇の取得実績が豊富で、地域の中では「ワークライフバランスが取りやすい職場」として評価されてきた。赤十字ブランドという公的な安定性があるだけに、今後の職員の再配置が円滑に進むかどうかが焦点となる。
消えゆく地域交流と今後の展望
かつては地域住民に向けた公開講座や健康診断などの企画も期待されていたが、2026年度のイベントスケジュールについては、現時点で同病院主催の目立った動きは確認されていない。一方で、函館市が主催する「赤十字救急法基礎講習」や「普通救命講習」などは継続されており、形を変えて赤十字の精神は地域に残り続けている。
2026年度(令和8年度)の詳細な「外来担当医表」については、公式サイトでの随時更新が予定されているが、閉院に向けたカウントダウンが始まる中で、担当医の交代や診療体制の縮小が行われる可能性も否定できない。
函館赤十字病院の閉院検討は、単なる一病院のニュースに留まらず、日本の地方都市が直面する「医療空白」の危機を象徴している。道南地域の医療ネットワークをいかに再構築し、住民の健康を守り続けていくのか。行政と医療機関の緊密な連携が、今まさに問われている。
(経済部・社会部記者 執筆)
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