ゴールドマン・サックス純利益12%増の好決算、2026年は日本市場を「クオリティ投資」へ再定義
ニュース要約: 米ゴールドマン・サックスの2025年10-12月期決算は、M&A助言と株式トレーディングの躍進により市場予想を大幅に上回る純利益43.8億ドルを記録。2026年に向けては、日本企業のガバナンス改革を背景に「構造的変化」を重視した長期投資戦略への転換を表明。AIインフラ投資の加速やFRBの追加利下げ予測を軸に、強気なグローバル成長シナリオを描いています。
【ニューヨーク=金成隆一】 米金融大手のゴールドマン・サックスが発表した2025年12月期第4四半期(10-12月)決算は、純利益が前年同期比12%増の43億8000万ドル(約6600億円)となり、市場予想を大幅に上回る着地となった。アップルとのクレジットカード提携解消に伴う減収要因はあったものの、活況を呈する株式相場を背景としたトレーディング部門の躍進と、23年連続で世界首位を維持するM&A(合併・買収)アドバイザリー業務が業績を強力に牽引した。
2026年に入り、同社は日本市場への投資戦略を「構造的変化」と位置づけ、従来の「安値買い」から「企業の質向上に着目した長期投資」へと舵を切っている。
株式トレーディングが過去最高、収益構造の「原点回帰」
決算の詳細をみると、1株当たり利益(EPS)は14.01ドルに達し、市場予想(11.48〜11.67ドル)を2割以上上回った。特に目を引くのが、グローバル・バンキング&マーケッツ部門の好調さだ。株式トレーディングの収益は43億1000万ドルと過去最高を記録。自己資本利益率(ROE)は16%に達し、同社が掲げる中長期的な効率性の高さを改めて世に知らしめた。
部門別では、M&A助言などを含む投資銀行手数料が前年同期比25%増の25億8000万ドルと急伸した。米アルファベット(グーグル親会社)によるサイバーセキュリティー企業ウィズ(Wiz)の巨額買収案件(320億ドル)への関与など、大型案件が相次いだことが背景にある。一方で、消費者金融事業からの撤退を進める中で、純営業収益は3%減の134億5000万ドルと微減した。しかし、市場は負の遺産を切り離し、強みである「投資銀行・トレーディング」へ経営資源を再集中させる戦略を好意的に受け止めている。
日本市場を「再評価」、2026年は「質の投資」へ
ゴールドマン・サックスは、2026年の日本株式市場に対しても極めて建設的な見通しを示している。同社は、日本企業のガバナンス改革が「開示」の段階から「実行」へと移ったことを高く評価。自社株買いや政策保有株の解消、資本効率の改善といった構造的な変化を背景に、日本株の10年間のトータルリターンが欧州並みの年率7.1%に達すると試算している。
注目すべきは、日銀の利上げに対する姿勢だ。同社はこれを景気を冷やす要因ではなく、「日本経済の正常化と市場の信認向上」に資するものとポジティブに捉えている。労働力不足に伴う持続的な賃上げと物価目標の定着を前提に、日本株を「単なる割安株」から「クオリティ成長株」へと再定義し、海外資金のさらなる流入を予測する。ただし、エネルギー価格の高騰を懸念し、2026年の日本の実質GDP成長率予測を0.5%へ下方修正するなど、慎重な側面も併せ持つ。
AIインフラ投資と「50bp利下げ」が2026年の鍵
今後のグローバル戦略において、同社が最重要視しているのがAI(人工知能)だ。ゴールドマン・サックスは、2026年がAI投資の「社会実装」における重要な転換点になると見ている。主要なハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によるAIインフラ投資は、同年中に累計6670億ドル規模に達し、第4四半期にピークを迎えると予測する。
この巨大な資本投下は、ITセクターだけでなく、エネルギーや製造業といった「資本集約型セクター」の再構築を促すというのが同社のメインシナリオだ。デビッド・ソロモンCEOは、2026年を「信じられないほど建設的な状況」と表現し、AIによる効率化とIPO(新規株式公開)市場の復活が、M&A市場に「夢の大型案件」をもたらすと強気な姿勢を崩さない。
また、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策についても、市場の慎重論とは対照的に、2026年中に合計50ベーシスポイント(0.50%)の追加利下げが行われるとの予測を維持している。この金融緩和姿勢はリスク資産、特に金(ゴールド)などの価格を押し上げる要因になるとみており、マクロ経済の成長加速と緩和の両立を前提としたポートフォリオ構築を推奨している。
結び:強固な収益基盤と不透明な政治リスクの狭間で
ゴールドマン・サックスの足元の業績は、同社が「ウォール街の王者」としての地力を取り戻したことを示唆している。しかし、2026年は米国の政権交代や地政学的リスク、原油価格の変動など、外部環境の不透明感も根強い。
かつて失敗を経験した個人向け金融から距離を置き、本来の強みである企業向け投資銀行業務と資産運用(アセットマネジメント)への専念を鮮明にした同社。その戦略が、激変する2026年のグローバル経済において、いかに実を結ぶかが注目される。
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