闘将ガットゥーゾが呼び覚ますアッズーリの魂、W杯出場を懸けた運命のボスニア戦へ
ニュース要約: イタリア代表監督に就任したジェンナーロ・ガットゥーゾが、崖っぷちのアッズーリを再建。2026年W杯欧州予選プレーオフ決勝を前に、持ち前の情熱とリアリズム溢れる戦術でチームを結束させています。3大会ぶりの本大会出場に向け、イタリア全土が「闘犬」の采配と、暗黒時代からの脱却に熱い視線を注いでいます。
【ローマ支局】悲願のW杯本大会出場へ、「闘犬」がアッズーリの魂を呼び覚ます――。
イタリア・ローマの練習拠点、コヴェルチャーノ。春の柔らかな日差しが降り注ぐ中、ピッチには現役時代と変わらぬ、いや、それ以上に熱を帯びたジェンナーロ・ガットゥーゾ監督の怒号が響き渡っている。2025年6月、ルチアーノ・スパレッティ前監督の解任を受けて就任した「リーノ(ガットゥーゾの愛称)」は、今、指導者キャリアにおいて最大の、そしてイタリアサッカー界の運命を左右する決戦の時を迎えようとしている。
■「絶望」からの脱却、ガットゥーゾがもたらした秩序
2026年3月30日現在、イタリア代表は崖っぷちに立たされている。2大会連続でワールドカップ(W杯)出場を逃すという歴史的な屈辱を経て、今回の2026年北米W杯欧州予選でもグループIを2位で終了。プレーオフへと回ることになった。3大会ぶりの本大会出場に向けた道は険しいが、ガットゥーゾ体制下のチームには、かつての停滞感はない。
3月26日に行われたプレーオフ・パスA準決勝。北アイランドを相手に見せたパフォーマンスは、新生アッズーリの完成度を物語っていた。ガットゥーゾは、自身の代名詞である「泥臭さ」を選手に強いる一方で、戦術的には極めて冷静なリアリストの顔を見せている。
かつてナポリを率いた際、前任のアタッキング・フットボールから一転、[4-1-4-1]へと変形する可変型[4-3-3]を導入し、守備の安定をもたらした手腕は代表でも健在だ。現在は3-5-2の布陣をベースに、キエーザら爆発力のあるアタッカーを配置しながら、中盤の強度を最大化する「実践的でクレバーな守備重視のアプローチ」を徹底している。北アイルランド戦での勝利後、指揮官は「この先制点で頭がスッキリした。監督キャリアで最も重要な試合だった」と安堵の表情を見せたが、その目はすでに明日、3月31日に控えたボスニア・ヘルツェゴビナとの決勝戦を見据えている。
■「親友」への厳しさと、古巣からの羨望
ガットゥーゾの情熱的な姿勢は、ピッチ外でもイタリアメディアの注目を集め続けている。かつてミランや代表で黄金時代を築いた戦友、アンドレア・ピルロが指導者に転身した際、「俺の知ったこっちゃねぇや」とあえて突き放すような言葉を投げかけたエピソードは有名だ。これは指導者として7年のキャリアを積み、酸いも甘いも噛み分けてきた彼なりの、親友に対する「監督業という戦場への洗礼」であった。
その厳しい姿勢は、セリエAの各クラブにも刺激を与えている。ガットゥーゾがかつて選手・監督として籍を置いたACミランは現在、上位争いの常連として君臨しているが、サレルニターナのように降格圏で苦しむ古巣も存在する。一部のファンからは「闘将・ガットゥーゾの帰還」を望むノスタルジックな声も聞こえるが、現在のイタリア国内に流れる空気は、それ以上に「代表監督としてのガットゥーゾ」を強く支持している。
ジャンルイジ・ブッフォン氏をはじめとする2006年W杯優勝メンバーも、彼の「姿勢と動機付け」を高く評価している。かつての仲間たちが、守備陣の課題を指摘しつつも、現在のチームの結束力がガットゥーゾのカリスマ性によって保たれていることを認めているのだ。
■健康への不安を払拭、全神経をボスニア戦へ
一時期ささやかれた重症筋無力症などの健康面への懸念も、現在のガットゥーゾからは微塵も感じられない。就任以来、セリエA全38試合を含む計380試合を精力的に生観戦し、自らの足と目で選手をスカウティングしてきた精力的な活動が、その健康状態の良さを証明している。
「イタリアサッカーのイメージを回復させる。それは私の義務だ」
そう公言して憚らないガットゥーゾ。明日、ボスニア・ヘルツェゴビナとのプレーオフ決勝に勝利すれば、イタリアはついに長い暗黒時代を抜け出し、世界の舞台へと復帰する。
もし敗北すれば、再び「イタリアの死」が叫ばれることになるだろう。しかし、背水の陣で最も輝くのがジェンナーロ・ガットゥーゾという男だ。かつて選手として世界の頂点を極めた男が、今度は指揮官として、愛するアッズーリを再び太陽の下へと導くことができるか。イタリア全土が、その背中に熱い視線を送っている。
(文:ローマ支局 特派員 2026年3月30日)
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