中日・根尾昂「背水の150キロ」リリーフ転向で挑むプロ8年目の覚悟と復活劇
ニュース要約: 中日ドラゴンズの根尾昂投手が、プロ8年目の2026年シーズンにリリーフ転向で勝負をかけます。キャンプでの全球直球勝負や侍ジャパンサポートメンバー選出など、自己最速150キロの武器を活かした新境地を拓きつつあります。崖っぷちの立場から、かつての甲子園のスターが地元・岐阜の期待を背負い、一軍定着を目指す不退転の決意を追いました。
中日・根尾昂、背水の陣で挑む「150キロの直球勝負」 ― プロ8年目、リリーフ転向で見せる覚悟と真価
【2026年3月4日 名古屋】
春の足音が聞こえ始めたナゴヤ球場。マウンドに立つ背番号「30」の右腕から放たれた白球が、乾いた音を立てて捕手のミットに突き刺さる。中日ドラゴンズの根尾昂投手(25)が、プロ8年目となる2026年シーズン、野球人生の大きな転換点に立っている。
かつて甲子園を沸かせた「二刀流の怪物」も、今や20代半ば。昨オフの契約更改では、推定年俸1050万円(前年比200万円ダウン)という厳しい現実を突きつけられた。しかし、今春のキャンプで見せている変貌ぶりは、復活を期するファンの期待を一身に背負うにふさわしいものだ。
「全61球ストレート」に込められた決意
2月の北谷キャンプ。根尾がシート打撃で見せた投球内容は、周囲を驚かせた。投じた全61球、そのすべてがストレート。変化球を一切封印し、自らの直球がどこまで通用するかを試す――。そこには、これまでの「器用な根尾」を捨て、短いイニングを圧倒する「リリーフ・根尾」としての新境地を拓こうとする明確な戦略があった。
その成果は速やかに数字に表れた。2月17日の日本ハムとの練習試合では1回無失点、続く21日の阪神戦でもわずか10球で三者凡退に抑え込む。電光掲示板には、自己最速に並ぶ「150キロ」の文字が躍った。
井上一樹新監督も、この変貌を高く評価する。「キャンプで一番いい内容だった」と手放しで絶賛。現在は侍ジャパンのサポートメンバーにも選出されるなど、その存在感は再び高まりを見せている。
苦難の歩みと「投手・根尾」の進化
2018年のドラフト会議で4球団が競合し、鳴り物入りで入団した根尾。当初は遊撃手としての成功を夢見たが、プロの壁は厚かった。打撃不振に苦しむなか、2022年シーズン途中に立浪和義前監督の決断により投手へと完全転向。150キロを超える直球を武器に中継ぎとして結果を残し、翌2023年からは先発ローテーション入りを目指して牙を研いできた。
しかし、2025年シーズンは一軍登板わずか4試合、防御率7.94と、先発投手としての壁にぶつかった。一方で、二軍(ウエスタン・リーグ)では42試合に登板し、防御率2.68。短いイニングであれば、その天性の身体能力と球威が十分に通用することを証明していた。
「過去の経験がゼロになることはない」
根尾はかつて、野手から投手への転向をそう語った。遊撃手として培った強肩と、投手転向後に取り組んだ毎日300球にも及ぶ投げ込み。遠回りをしたからこそ得られた強靭な肉体と精神力が、今、リリーフという新たな役割で結実しようとしている。
地元・岐阜の熱狂と「最後の試練」
根尾への注目度は、単なる一選手の枠を超えている。出身地である岐阜県飛騨市では、今も「根尾昂選手飛騨市後援会」を中心に、熱烈な応援が続く。地元の期待は温かい一方で、プロ8年目という数字は「結果」がすべてであることを意味する。
SNS上では、「地元出身のスターとして何とか一軍に定着してほしい」というエールとともに、「今年が本当の正念場」という厳しい声も交錯する。かつてのゴールデンルーキーも、今や崖っぷちの立場を自覚している。
「1軍に居続けられるように」
契約更改の席で絞り出したその言葉こそが、現在の偽らざる本音だろう。華やかな甲子園のヒーローから、泥臭くマウンドを守る守護神候補へ。中日の、そして東海地方の希望を背負った根尾昂の「第2章」が、今まさに幕を開ける。
150キロのストレートを武器に、打者の懐を抉る。その一球一球に、根尾の野球人生のすべてが懸かっている。
(文:運動部・野球担当)
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