【ジャパンカップ 2025】カランダガンが歴史的V！20年ぶり外国馬制覇の衝撃と日本馬の課題

【ジャパンカップ 2025】「カランダガン」が歴史を塗り替える—20年ぶり外国馬制覇、世界ランク1位の衝撃と日本競馬界の課題

2025年11月30日、東京競馬場で行われた第45回ジャパンカップ 2025（G1、芝2400メートル）は、歴史が動く一戦となった。フランスから参戦した欧州年度代表馬カランダガン（4歳牡、F・グラファール厩舎）が、日本勢の牙城を崩し、2005年のアルカセット以来、実に20年ぶりとなる外国馬による優勝を果たした。世界ランク1位の実力をまざまざと見せつけた「カランダガン」の勝利は、国際競争の進化を目指すジャパンカップに新たな時代の幕開けを告げた。（東京 共同通信）

世紀の激闘、日本勢を圧倒した欧州最強の底力

レースは、日本勢が先行して主導権を握り、厳しいペースで展開された。日本馬陣営は、過去20年間守り続けてきた王座を死守すべく、序盤から激しい競り合いを展開。しかし、中団やや後方で冷静に体力を温存していたのが、欧州最強馬カランダガンだった。

直線に入ると、カランダガンは外から一気に加速。ライアン・ムーア騎手が冷静に導き、瞬く間に日本勢のトップ馬と並びかけた。日本馬も懸命に粘りを見せたが、カランダガンはそれを許さなかった。英チャンピオンS、キングジョージ6世＆クイーンエリザベスSなど欧州の主要G1を制してきた同馬は、最後は1馬身半差をつけ完勝。通算6度目の重賞制覇という偉業を、日本の高速馬場で見事に達成した。

F・グラファール調教師はレース後、「ジャパンカップは非常にタフな挑戦でしたが、カランダガンはその挑戦にふさわしい馬です。彼の成長と力が勝利に結びつきました」と、愛馬の偉業を誇った。この勝利は、欧州馬の芝2400メートル適性の高さを改めて証明する結果となった。

「カランダガン」が示す国際的な壁と日本馬の課題

このジャパンカップ 2025の結果は、日本競馬界に強烈なインパクトを与えた。「カランダガン」は、長らく「日本馬の独壇場」と化していたジャパンカップにおいて、欧州の最高峰が持つ真の能力を証明した形だ。

過去20年間、日本馬は国内のG1で圧倒的な強さを誇る一方、凱旋門賞など海外の主要レースでは苦戦を強いられてきた。今回のカランダガンとの真剣勝負は、日本馬との国際的な実力差を測る上で極めて重要なベンチマークとなる。

競馬評論家は、「カランダガンが好走すれば、欧州馬のジャパンカップ参戦が増える。逆に、日本馬にとっては、より高度な海外馬対策とトレーニングの必要性を突きつけられた」と分析する。世界ランク1位の称号を引っ提げたカランダガンの偉業は、日本馬陣営に対し、国際競争力をさらに高めるための戦略変更を促すものとなった。

国際化を加速する賞金改革と経済波及効果

今回のジャパンカップ 2025は、単なる一レースの結果以上に、日本の競馬界が国際化へ舵を切る象徴的な年となった。主催者は、2026年度からの賞金体系の大幅見直しを発表しており、優勝賞金5億円に加え、最大500万ドル（約7億8510万円）の褒賞金が設定され、世界でも有数の高額賞金レースへと進化を遂げる。

カランダガンのような強豪馬が招待を受諾し、実際に勝利を収めたことは、この賞金改革の成果を先取りするものと言える。専門家は、カランダガンの好走は欧州馬の参戦意欲を確実に高め、ジャパンカップが真の「グローバルG1」へと進化する契機になると見ている。

また、経済的な波及効果も拡大している。近年のジャパンカップがもたらす経済波及効果は20億円超から30億円台に及び、来訪者の交通費、食費、土産代などの消費が地域経済を活性化させている。ジャパンカップ 2025は、インバウンド効果も期待されており、カランダガンという国際的なスターホースの参戦と勝利は、日本の競馬界の地位向上と地域経済の活性化の両面で大きな恩恵をもたらしたと言える。

「カランダガン」のジャパンカップ制覇は、日本の競馬ファンに歴史的瞬間を目撃する熱狂を与えつつ、日本馬陣営にとっては国際的な課題を再認識させる結果となった。この敗戦を糧とし、国際舞台でのさらなる活躍を目指すことが、今後の日本競馬界に課せられた使命となる。（了）