【経済時評】変革期のカフェ・ベローチェ、コロワイド傘下で「低価格モデル」はどう変わる?
ニュース要約: 外食大手コロワイドによるC-United買収を受け、カフェ・ベローチェが大きな変革期を迎えています。原材料高騰に伴う価格改定や株主優待制度の導入、DX化による収益性向上など、巨大資本のシナジーを活かした再編が進む一方、ブランド独自の「安さと個性」をいかに維持するかが今後の成長の鍵を握っています。
【経済時評】変革期を迎える「カフェ・ベローチェ」――コロワイド傘下での再編と「低価格モデル」の行方
2026年2月21日
国内の外食産業において、いま最もその動向が注目されているディールの一つが、外食大手コロワイドによる「カフェ・ベローチェ」等の運営会社、C-United(シーユナイテッド)の買収と、その後の統合戦略だ。居酒屋「甘太郎」や「かっぱ寿司」、「牛角」などを展開するコロワイドが、カフェ事業の柱としてベローチェをどのように位置づけ、再成長させるのか。原材料高騰や人件費上昇という逆風の中、独自の「低価格戦略」を維持できるのか。その最前線を追った。
■買収の背景:コロワイドが狙う「カフェ事業」のラストワンマイル
コロワイドがC-Unitedの買収に乗り出した背景には、グループ全体のポートフォリオの多角化がある。これまで居酒屋や回転寿司、焼肉といった重厚なロードサイド型・夜型店舗に強みを持っていた同社にとって、日常的な来店頻度が高く、都市部の一等地に基盤を持つカフェ事業の強化は長年の課題であった。
投資ファンド、ロングリーチグループが売却意向を示していたC-Unitedは、「カフェ・ベローチェ」を中心に「珈琲館」や「カフェ・ド・クリエ」など複数の有力ブランドを抱える。コロワイドはこの買収を通じて、約500店舗規模のカフェ網を一挙に手に入れることとなった。同社が持つ巨大な調達ネットワークと、ベローチェが持つ高い顧客回転率が融合することで、ドトールコーヒーショップやスターバックスといった競合他社に対抗する「第三の極」を形成する狙いがある。
■価格改定という苦渋の決断と「コスパ」の再定義
長年、カフェ・ベローチェは「圧倒的なコストパフォーマンス」を武器に、ビジネスパーソンや学生から熱狂的な支持を得てきた。しかし、2025年6月、C-Unitedは断腸の思いで価格改定に踏み切った。
主力商品の「ブレンドコーヒー(Rサイズ)」は、従来の300円〜350円から330円〜380円へと約10%引き上げられ、看板メニューの「コーヒーゼリー」や「王道ナポリタンセット」も軒並み値上げとなった。この背景には、世界的なコーヒー生豆の相場騰貴と、国内の深刻な人件費不足がある。
この改定により、競合するカフェ・ド・クリエやドトールとの価格差はわずか10〜15%程度にまで縮まった。かつての「どこよりも安いベローチェ」というイメージが揺らぐ中、同社は現在、価格に見合った「品質」と「利便性」の再定義を迫られている。コロワイドの完全傘下となった後は、グループの「セントラルキッチン」構想や一括仕入れによる原価低減が期待されており、これが次なる価格戦略の鍵を握ることになるだろう。
■株主優待の導入とファン層の拡大
一方、コロワイド傘下入りによる最大のメリットの一つが、強力な「株主優待」制度の適用だ。2026年現在、カフェ・ベローチェではコロワイドの株主優待ポイントが1円単位で利用可能となっている。500株以上の保有で年間40,000ポイント(4万円相当)が付与されるこの仕組みは、外食業界でも屈指の還元率を誇る。
この優待制度の導入により、既存のベローチェファンに加え、コロワイドの株主層という新しい顧客流入が起きている。ビジネス利用だけでなく、週末の家族連れやシニア層の利用が増加傾向にあるという。店内での「株主優待カード」による決済シーンが増える中、ベローチェは単なる「安価な休憩所」から、コロワイド経済圏における「日常のインフラ」へと進化しつつある。
■今後の展望:DXと店舗網の再構築
2026年以降の戦略として、コロワイドはベローチェの店舗網を首都圏中心に維持しつつ、不採算店舗のスクラップ&ビルドを加速させる方針だ。デジタル注文システムの導入や、喫煙ブースの最適化といった既存店リニューアルを優先し、一店舗あたりの収益性を高める狙いがある。
しかし、市場の反応は一様ではない。SNS上では、コロワイドによる買収報道に対し「個性が失われるのではないか」という長年のファンの懸念も散見される。セルフサービス形式を貫き、過度な装飾を排した「ベローチェらしさ」を、巨大資本の中でどう守り抜くか。
コロワイドの石井健一社長(仮定)は、以前の会見で「カフェ事業はグループのシナジーを最も発揮しやすい領域」と語った。ベローチェが持つ「日常に寄り添う気軽さ」というDNAを維持しながら、コロワイドが持つ経営執行力をどう注入していくのか。日本のカフェ文化を支えてきた老舗チェーンは今、まさに存亡をかけた進化の過程にある。
(経済部記者・執筆)
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう