アドバンテスト、AI需要で通期売上高1兆円突破へ—3度目の上方修正と過去最高益
ニュース要約: 半導体検査装置大手のアドバンテストは、生成AI向け需要の急増を背景に2026年3月期通期予想を3度目の上方修正し、売上高が初の1兆円超えとなる見通しを発表しました。営業利益率は43.2%と過去最高水準に達し、大幅な増配と1,500億円規模の自社株買いも決定。AI半導体市場の拡大を追い風に、圧倒的なシェアと技術力で業績拡大が続いています。
アドバンテスト、3度目の上方修正で通期売上高1兆円超え—AI半導体テスター需要が牽引
半導体検査装置大手のアドバンテスト(6857)が2026年1月28日に発表した2026年3月期第3四半期決算は、AI関連半導体の旺盛な需要を背景に大幅な増収増益を達成した。同社は通期業績予想を3度目の上方修正し、売上高が初めて1兆円の大台を突破する見通しとなった。
過去最高益を更新、営業利益率は40%超に
2026年3月期第3四半期累計(2025年4月~12月)の連結決算は、売上高8,005億円(前年同期比46.3%増)、営業利益3,460億円(同110.8%増)、税引前利益3,443億円(同111.0%増)、当期純利益2,485億円(同105.0%増)となった。営業利益率は43.2%と過去最高水準に達し、同社の収益力の高さを改めて示した。
特に主力のSoCテストシステム事業が好調で、売上高は前年比51.1%増の7,231億円、セグメント利益は103.2%増の3,577億円と大幅に拡大した。第3四半期単独でも売上高は2,738億円と四半期ベースで過去最高を更新しており、AI向け半導体テスターへの需要が継続的に強まっていることが確認された。
通期予想を1兆700億円に上方修正
同社は通期業績予想を従来の売上高9,500億円から1兆700億円へ1,200億円(12.6%)引き上げた。これは今期3度目の上方修正となる。営業利益も4,540億円(前回予想比21.4%増)、税引前利益4,525億円(同21.8%増)、当期純利益3,285億円(同19.5%増)とすべての項目で大幅に上方修正され、2期連続の増収増益となる見通しだ。
前期比では売上高が37.2%増、営業利益が99.0%増と約2倍の水準に達する計画で、半導体業界におけるAI需要の爆発的な成長が同社の業績を押し上げている。税引前利益はIFRSベースの市場コンセンサス(3,785億円)を19.5%上回る水準となっており、市場予想を大きく上回るポジティブサプライズとなった。
AI半導体市場の拡大が追い風
業績好調の背景には、生成AI向け半導体の性能向上と生産増加がある。エヌビディアをはじめとする大手半導体メーカーは、AI処理に特化した高性能チップの開発競争を繰り広げており、これらのチップは高度な検査技術を必要とする。アドバンテストはこの分野で圧倒的なシェアを持ち、AI関連収入の成長率は年率50%台半ばから後半に達すると見込まれている。
同社は2025年7月時点でSoCテスター市場規模の見通しを45億ドルから60億ドルへ30%以上引き上げており、2026年の市場成長率は最大40%に達する可能性を示唆している。第4四半期には244億円の研究開発費を投入し、次世代のHBM(高帯域幅メモリ)やチップレット技術への対応を加速させる方針だ。
株主還元も大幅強化、総還元性向50%へ
好調な業績を受け、同社は株主還元策も大幅に強化する。自社株買いは最大1,000万株(発行済み株式数の約5%)、取得総額最大1,500億円を実施予定で、取得した株式はすべて消却する計画だ。また、年間配当は前期の150円から200円へ33%増配し、配当性向は約35%となる見込みだ。
自社株買いと配当を合わせた総還元性向は約50%に達し、中期経営計画(2024年度~2026年度)で掲げた「3年間合計で50%以上」という目標と一致する。同社は「1株当たり通期30円を最低限とする」という配当方針を定めているが、今回の200円という配当額はこの基本方針を大幅に上回るものとなっている。
市場評価と今後の見通し
決算発表を受け、機関投資家やアナリストの評価は強気に傾いている。市場コンセンサスではROE約48%と高い資本効率を評価する声が多く、米系大手証券からは目標株価19,500円~20,000円との見方も示されている。ただし、アナリスト予想平均の目標株価は13,300円前後と現在の株価水準(17,000円台)を下回っており、急速な株価上昇に評価が追いついていない状況も見られる。
アドバンテストのPTSにおける株価動向は限定的な情報しか得られていないが、決算発表が大幅な上方修正というポジティブサプライズだったことから、29日の現物市場でも上昇基調が継続する可能性が高いと見られている。ただし、半導体関連株全体の市況やAI需要の持続性によって変動する可能性もあり、今後の動向が注目される。
AI半導体市場の成長は今後も継続すると見られており、アドバンテストの業績拡大基調は当面続くとの見方が優勢だ。同社の技術力と市場での優位性を考えれば、半導体業界におけるAI革命の最大の受益者の一つとして、今後も注目を集め続けることは間違いないだろう。
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