アドビ製品で大規模障害発生!「イラレ」などCC主要アプリが起動不能に
ニュース要約: 2025年11月18日、アドビのCreative Cloud(CC)でIllustrator、InDesignなどの主要アプリが起動不能となる大規模障害が発生し、制作現場の業務が麻痺した。原因は認証エラーが有力視されており、ユーザーはオフライン起動やバージョンダウングレードで対応に追われている。この頻発する不具合は、CCサブスクリプションモデルへの不信感を高め、代替ソフトへの移行意向を加速させている。
アドビ製品で大規模障害発生、「イラレ」など主要アプリが起動不能に クリエイターの現場混乱、サブスクモデルへの不信感高まる(2025年11月18日)
2025年11月18日午前、デザイン・映像制作業界のインフラである米アドビ(Adobe)の「Creative Cloud(CC)」において、IllustratorやInDesign、Premiere Proといった主要アプリケーションが相次いで起動不能となる大規模なシステム障害が発生しました。特に、納期を控えた制作現場やフリーランスのクリエイターに深刻な影響を与え、SNS上では「仕事が完全に止まった」「またか」といった悲鳴が溢れています。
現場を襲った「起動不能」の衝撃
今回の障害は、日本国内を中心に広範囲で報告されており、アプリケーションの起動時にエラーが発生したり、編集中のプロジェクトファイルが開けなくなったりする事例が多発しています。複数アプリが同時多発的に影響を受けた点が特徴であり、デザインデータ作成の「Illustrator」、DTP作業の「InDesign」、そして動画編集の「Premiere Pro」といった、クリエイティブワークフローの根幹をなすツールが一斉に停止しました。
一部では、アプリケーションの設定ファイルが破損し、異常な挙動を示すケースも確認されており、企業の制作部門やデザイン事務所では業務が完全に麻痺する事態となりました。
アドビは同日午後までに、公式Xアカウントを通じて問題を把握し、解決に向けて調査中であると発表しましたが、詳細な原因や復旧見通しについては明確なアナウンスがない状況です。このため、カスタマーサポートには問い合わせが殺到し、多くのユーザーが孤立無援の状態で復旧を待たされています。
原因は認証エラーか? ユーザー間で共有される「自衛策」
今回の障害発生を受け、ユーザー間やITメディアでは、認証プロセスやライセンス確認の不具合が原因であるという見方が有力視されています。その根拠として、インターネット接続を切断(オフライン状態)にすることで、アプリケーションが起動できるようになったという報告が多数寄せられているためです。
この「オフライン起動」のほかにも、ユーザーは環境設定ファイルの手動リセットや、Adobe関連プロセスの強制終了といった、様々な自衛策を講じざるを得ない状況にあります。
さらに、業務を継続するための緊急措置として、多くのクリエイターが選択しているのが「バージョンダウングレード」です。直近で文字化けや致命的な挙動が報告されていたIllustrator 2025(バージョン29.x)から、比較的安定しているとされる28.x系に戻すことで、当面の危機を回避しようとする動きが目立っています。
頻発する不具合、サブスクモデルの信頼性低下
今回の大規模障害は、アドビが推進するサブスクリプションモデル(Creative Cloud)に対する長年の不満を再燃させた形です。
CCモデルでは、ユーザーは常に最新版の利用を推奨されますが、近年、新機能の追加と引き換えに、アプリケーションの安定性が犠牲になっているのではないかという指摘が強まっています。一部の熟練クリエイターからは、「Illustrator 2025は『バギー(バグだらけ)』であり、もはや『軍艦島』状態だ」といった厳しい評価も出ています。
制作現場では、不具合の頻発を受け、「仕事に投入するバージョンは安定性を確認してから」という自衛策が常態化しつつあります。最新版を使うことが前提のサブスクリプションでありながら、ユーザー自身が安定版を見極めてバージョンを固定しなければならないという矛盾が、クリエイターのフラストレーションを増幅させているのです。
この信頼性の揺らぎは、代替ソフトへの移行意向にも現れています。特に、Affinity DesignerやCorelDRAWなど、買い切り型の競合製品への関心が高まっており、アドビ製品への依存度を下げようとする動きが今後加速する可能性も否定できません。
求められる根本的な安定化策
アドビは、今回の障害の原因究明を急ぎ、認証・ライセンスシステムの根本的な安定化を図ることが急務です。
クリエイティブ産業の根幹を支えるソフトウェアベンダーとして、単に機能を追加するだけでなく、プロフェッショナルユースに耐えうる安定性と信頼性を担保できなければ、ユーザー離れは避けられません。公式からの速やかな技術情報と、今後のサービス安定化に向けたロードマップの提示が、現在、混乱の渦中にあるクリエイターたちからの信頼を回復する鍵となるでしょう。