2026年度行政書士試験の最新動向:デジタル化と法改正で高まる資格の価値
ニュース要約: 2026年度行政書士試験に向けた最新動向を解説。デジタル社会の進展や行政書士法改正により、DX対応や外国人材支援、相続・成年後見分野での専門性がかつてないほど重要視されています。試験の概要から、実務における「書類作成者」から「提案型専門家」への役割の変化まで、新時代の行政書士に求められる新たな価値と社会的意義を詳しく紹介します。
2026年行政書士試験に向けた最新動向と資格の新たな価値
令和8年度(2026年度)行政書士試験の実施が近づく中、デジタル社会の進展と社会的ニーズの変化により、行政書士資格の意義が大きく変わりつつある。試験制度そのものは従来の枠組みを維持する見込みだが、求められる実務能力は確実に高度化している。
試験日程と申込概要
2026年度行政書士試験は、例年通り11月第2日曜日の11月8日(日)13時から16時に実施される見通しだ。試験案内の配布は7月下旬から8月中旬、インターネット申込は8月下旬までとなる予定で、受験手数料は前年度の10,400円から変更される可能性がある。
合格発表は2027年1月下旬が想定されており、受験資格は引き続き年齢・学歴・国籍不問で誰でも挑戦できる。ただし、正式な公示はまだ出ておらず、現時点の情報はすべて過去の実施例に基づく予測であることに注意が必要だ。
試験内容と出題形式
試験は総点数300点、3時間で実施される。法令等科目が244点(5肢択一式40問、多肢選択式3問、記述式3問)、一般知識等科目が56点(5肢択一式14問)という構成は、2026年度も維持される見込みだ。
出題科目は憲法、行政法、民法、商法・会社法、基礎法学、一般知識(情報通信・個人情報保護、文章理解等)で構成される。特に近年は、デジタル社会化に伴う行政手続法、行政不服審査法、個人情報保護法、マイナンバー法などの最新改正への対応が重要視されている。
デジタル社会における行政書士の新たな役割
令和8年施行の行政書士法改正では、**「デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用を通じて国民の利便向上と業務の改善進歩を図るよう努めなければならない」**という努力義務が新設された。これは単なるスローガンではなく、デジタル対応が専門職としての責務と位置づけられたことを意味する。
行政手続きのオンライン化が急速に進む中、GビズIDやe-Gov等のシステム利用が前提となり、紙申請しか対応できない行政書士は競争力を失いつつある。一方で、デジタルツールを駆使しながら、高齢者や障害者、外国人などデジタル弱者を支援する「橋渡し役」としての社会的役割も明確化されている。
外国人材支援分野の拡大
インバウンド需要の回復に伴い、外国人材の在留資格申請やビザ取得支援は大きな転機を迎えている。2026年1月施行の改正行政書士法では、報酬性の判断基準が厳格化され、「無料支援」を主張しても実質的な報酬があれば違法となる可能性が高まった。
さらに重要なのが、法人に対する罰則規定の新設だ。企業が外国人材採用時に行政書士を通さず違法な手続きを行った場合、法人自体が罰せられる可能性が生じた。これにより、企業側の法令遵守意識が高まり、行政書士への依頼が実質的に必須化しつつある。
2026年度の在留手続き手数料は「欧米並み」へ大幅に引き上げられる予定で、在留資格変更が現行の6,000円から3〜4万円に、永住許可申請は1万円から10万円以上になる見込みだ。手数料引き上げに伴い審査も厳格化される可能性が高く、専門家のサポートがより重要になっている。
相続分野における需要急増
2024年4月から施行された相続登記義務化により、相続関連の相談件数は前年比約1.5倍に増加している。相続開始から3年以内の申請が義務化され、違反すると10万円以下の過料が科される。
行政書士は登記そのものは担当できないが、その前段階である遺言書作成支援、相続人調査、遺産分割協議書作成、財産目録作成などで重要な役割を果たしている。特に相続人が遠方に散らばっているケースや、関係性が希薄なケースでは、専門家による調整が不可欠だ。
日本の高齢化は2040年にピークを迎えるとされ、それまで相続市場は拡大し続ける見込みだ。弁護士や司法書士より相談のハードルが低く、地域密着型で信頼を得やすい点が行政書士の強みとなっている。
成年後見制度と権利擁護の最前線
認知症高齢者の増加と単身世帯の増加により、成年後見制度の重要性が高まっている。2016年制定の「成年後見制度の利用の促進に関する法律」に基づき、市町村は地域の実情に応じた利用促進計画を策定することが求められている。
行政書士は全国津々浦々に事務所があり、本人の自宅などへのアクセスがしやすいという特性を生かし、成年後見制度の説明・相談対応、家庭裁判所への申立て資料作成、任意後見契約の設計サポート、そして成年後見人としての受任など、多面的に関与している。
日本行政書士会連合会は、認知症や障がいのある社会的弱者が不利益を被らないよう、制度の普及・利用促進、後見人となる行政書士の育成に努めている。地域の権利擁護インフラとして、社会福祉協議会、司法書士、弁護士などとの連携も進んでいる。
実務のDX化と業務構造の変化
事務所内のオペレーションも大きく変わりつつある。書類作成、進捗管理、顧客情報管理がクラウド化され、ZoomやLINEでのオンライン面談が標準化している。これにより地方の行政書士でも全国から依頼を受けやすくなった一方、ITスキル不足は大きなハンデとなっている。
定型的な書類作成・入力作業はオンラインシステムやAIで効率化される一方、行政書士の役割は「書類作成者」から「リスク管理・要件整理・最適な手続き提案を行う専門家」へシフトしている。デジタル化により限界費用が下がる一方で、付加価値型サービスへの転換が求められている。
資格取得の意義
試験制度そのものに大きな変更はないが、実務で求められる能力は確実に高度化している。デジタル対応、外国人材支援、相続・後見といった社会的ニーズの高い分野で専門性を発揮できる人材が求められている。
新人とベテランのIT格差が可視化する中、デジタル化を積極的に取り入れる「新時代行政書士」は市場を拡大する機会を得ている。一方で、従来型の業務スタイルに固執する者は競争上不利になりつつある。
2026年度試験に向けて準備を進める受験者は、単に試験に合格するだけでなく、変化する社会ニーズに応えられる実務能力を見据えた学習が重要だ。行政書士資格は、デジタル社会における市民の権利擁護と利便向上を支える、社会的意義の高い専門資格としての価値を高めている。