【WOWOW】テニス独占権継続で優位性確保へ:激化する配信市場で深化させるコンテンツ戦略
ニュース要約: 有料衛星放送のWOWOWは、激化する配信市場で成長戦略を加速。2026年以降の全豪オープン独占放送権継続を決定し、コンテンツ力の基盤を固めた。中期経営計画では、NTTドコモとの提携によるオリジナルコンテンツ強化や、WOWOWオンデマンドの機能拡充(同時視聴対応など)を核に、収益多角化を図り競争優位性の確立を目指す。
激化する配信競争下、「WOWOW」が示すコンテンツ戦略と顧客体験の深化
(東京 27日 共同通信)
有料衛星放送大手のWOWOWは、激化する動画配信市場において、長期的な独占コンテンツの確保と、デジタルプラットフォームの抜本的強化を核とした成長戦略を加速させている。特に、長年にわたり中継してきたテニス・グランドスラム(四大大会)の放送権を2026年以降も継続確保したことは、同社の強固なブランド力を維持する上で決定的な意味を持つ。
2025年から2029年までの中期経営計画では、既存の放送・配信サービスの満足度向上に加え、新規加入者獲得に向けた収益構造の多角化が明確に打ち出されている。同社は、コンテンツ供給の安定化と、視聴体験の質的向上という「二刀流」戦略で、競争の激しいメディアフロンティアを切り拓く構えだ。
独占コンテンツが支える「テニス中継の代名詞」
WOWOWがテニスオーストラリアとのパートナーシップを深め、2026年以降も全豪オープンの独占放送権を継続獲得した背景には、日本のテニスファンからの根強い支持と、35年にわたる長期的な信頼関係がある。近年、スポーツコンテンツの配信権は、DAZNやAmazonプライム・ビデオなど、巨大な資本力を持つプラットフォーム間で激しい争奪戦が繰り広げられてきた。そうした環境下で、同社が「テニス中継の代名詞」としての地位を確立し続けたことは、戦略的価値が極めて高い。
この独占権の最大の強みは、デジタルプラットフォーム「WOWOWオンデマンド」との連携にある。地上波中継が減少する中、オンデマンドでは全試合・全コートのライブ配信を実現。ファンは時間や場所を選ばず、錦織圭選手や車いすテニスの小田凱人選手、上地結衣選手といった日本勢の活躍を詳細に追うことが可能だ。さらに、テニスオーストラリアとの共同イベント「AO JAPAN LAUNCH」の開催や、観戦ツアー、ライブビューイングといったリアルイベントとの連携強化は、単なる映像提供に留まらない、多角的なファンエンゲージメントの強化を意味する。
デジタル戦略の深化:ドコモ提携とオンデマンド強化
WOWOWの成長戦略の核心は、デジタルプラットフォームの利便性向上にある。2025-2029年度の中期経営計画では、WOWOWオンデマンドの機能強化が急務とされた。具体的には、最大3台の同時ストリーミング対応や年額プランの導入など、ユーザーの多様な視聴形態に対応するためのサービス改善が図られている。
コンテンツ力の強化においては、NTTドコモとの業務提携が大きな柱となる。超大作のオリジナルドラマや音楽ライブ、人気スポーツコンテンツの共同制作・提供を拡大することで、コンテンツの「質」と「量」の両面で魅力を高め、新規加入者の裾野拡大を目指す。また、スポーツ専門配信サービス「WOWSPO」との連携や、2026年春に開始予定の新配信サービスなど、多様なニーズに応えるためのサービスラインナップの拡充も進められている。
収益多角化と「夢中で生きる大人」へのアプローチ
有料放送市場が飽和する中、WOWOWは収益源の多角化にも注力する。「夢中で生きる大人」を主要ターゲットに据え、コンテンツ連動型のEC事業やイベント開催を通じたライフスタイル提案を強化している。テニス観戦ツアーや、オリジナルドラマの関連グッズ販売など、映像視聴だけではない付加価値を提供することで、顧客ロイヤルティを高め、多層的な収益基盤の構築を図る。
競争が激化する配信市場において、WOWOWが既存の強みである独占コンテンツ(特にテニス)を基盤としつつ、デジタル戦略と収益多角化を推し進める姿勢は、有料メディア事業者が生き残りを賭けて取り組むべきモデルケースとなり得る。今後の焦点は、強化されたWOWOWオンデマンドが、いかにして新規顧客を惹きつけ、競争優位性を維持できるかにかかっている。