【ドバイ】ワンダーディーンがUAEダービーを制覇!日本馬5連覇の偉業を達成
ニュース要約: 2026年ドバイワールドカップデーのUAEダービーにて、日本から参戦したワンダーディーンがC.デムーロ騎手とのコンビで優勝。日本馬による同レース5連覇という歴史的快挙を成し遂げました。急遽の乗り替わりを乗り越え、父ディーマジェスティ譲りの末脚で世界の頂点へ。ケンタッキーダービー出走ポイント100点を獲得し、次なる米遠征へ大きな期待が寄せられています。
【ドバイ・メイダン 2026年3月28日】
中東の砂塵を切り裂き、日本の若き才能がまた一つ、世界の頂へと駆け上がった。現地時間28日、アラブ首長国連邦(UAE)のメイダン競馬場で行われたドバイワールドカップデーの第5レース・UAEダービー(G2、ダート1900メートル、1着賞金58万ドル=約8700万円)において、日本から参戦したワンダーディーン(牡3歳、栗東・高柳大輔厩舎)が、C.デムーロ騎手を背に鮮やかな勝利を飾った。
この勝利により、日本調教馬は2022年のクラウンプライドから続く同レースの連覇記録を「5」に伸ばした。2016年のラニを含め、過去10年で6勝という圧倒的な強さを世界に見せつける形となった。
窮地を救った名手の冷静な手綱
レース直前、劇的なドラマが待ち受けていた。当初、手綱を託される予定だったO.マーフィー騎手が、不名誉な鞭の過剰使用による騎乗停止処分を受け、急遽降板。陣営は代役に、日本でもお馴染みの名手クリスチャン・デムーロ騎手を指名した。
迎えた本番、12頭立ての5番枠から好スタートを切ったワンダーディーンは、道中を好位の内々でじっと死んだふりをするかのように追走。砂を浴びる過酷な展開にも動じることなく、勝負どころの直線で進路を外に持ち出すと、そこから父ディーマジェスティ譲りの鋭い末脚を披露した。逃げ粘る地元UAE2000ギニー覇者のシックススピードらを一気に呑み込み、最後は決定的な差をつけてゴール板を駆け抜けた。
「非常に賢い馬。乗り替わりは難しかったが、馬のポテンシャルがそれを補ってくれた」と、レース後にC.デムーロ騎手は相棒を称えた。
進化する「日本ダート」の血統
ワンダーディーンの勝利は、血統的な側面からも大きな意味を持つ。父は2016年の皐月賞馬ディーマジェスティ。芝の中距離で鳴らした父に、初の重賞タイトルをダートの国際舞台でもたらした意義は大きい。また、母の父には砂の強豪として一時代を築いたワンダーアキュートの名があり、日本が独自に育んできたダート適性と芝のスピードが融合した結晶と言えるだろう。
前走のサウジダービーでは4着と、あと一歩及ばなかった。しかし、そこから100メートルの距離延長と、メイダンの深い砂への対応が課題視される中、高柳大輔調教師による入念な調整が実を結んだ。「サウジアラビアからの転戦だったが、ドバイに入ってからも順調に負荷をかけられた。馬の成長力が想像以上だった」と指揮官は安堵の表情を浮かべた。
ケンタッキーダービーへの道、そして世界へ
UAEダービーは、米国クラシック三冠の初戦「ケンタッキーダービー」への出走ポイントを争う重要な一戦でもある。今回の勝利で100ポイントを獲得したワンダーディーンには、米国の聖地チャーチルダウンズへの道が大きく開かれた。
同じく日本から参戦し、全日本2歳優駿を制して3戦無敗の評価を得ていたパイロマンサー(J.ドイル騎乗)は、9番枠からの発走で期待を集めたが、今回はワンダーディーンの後塵を拝する結果となった。しかし、日本勢がワンツーフィニッシュを狙える位置で常に国際競争の主役を演じている事実は、もはや世界共通の認識となりつつある。
サウジダービーを圧勝したアルハラムの回避という幸運もあった。しかし、それを確実に勝利へと結びつける実力と、不測の事態にも動じない陣営の結束力が、今回の「5連覇」という偉業を支えた。
「ワンダーディーン」の名は今、ドバイの月夜の下、世界の競馬史に深く刻まれた。日本ダート界の新星が次に目指すのは、砂の本場アメリカか、あるいは日本国内の頂点か。若き黒鹿毛の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
(特派員・佐藤 健一)
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