【WBC】崖っぷちの台湾代表、宿敵・日本戦へ。伝説の右腕・王建民が託す「静かなる逆襲」とコールド負け回避の秘策
ニュース要約: 2026年WBC1次ラウンドでオーストラリアに完封負けを喫し、後がない台湾代表。次戦の侍ジャパン戦を前に、レジェンド王建民コーチが若手投手陣に授ける戦略と「打たせて取る」精神論を詳報。屈辱のコールド負け(提前結束)を回避し、プレミア12王者の意地を見せられるか。東京ドームで繰り広げられる新旧世代の意地がぶつかり合う一戦を展望します。
【東京発】崖っぷちのチャイニーズ・タイペイ、宿敵・日本戦へ。伝説の右腕・王建民が託す「静かなる逆襲」のシナリオ
2026年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンド・プールCは、予測不能な激動の展開を迎えている。東京ドームを舞台に繰り広げられる熱戦の中、かつての「プレミア12」王者である台湾(チャイニーズ・タイペイ)が、存亡の機に立たされている。
3月5日に行われた初戦のオーストラリア戦。台湾は0-3という衝撃の完封負けを喫した。主砲であり、チームの精神的支柱でもある陳傑憲を負傷で欠いた打線は、オーストラリアの小刻みな継投の前に沈黙。かつて世界ランキング2位まで上り詰めた「打のチーム」の影は薄く、スタンドを埋め尽くした台湾ファンからは嘆き節も漏れた。
しかし、この窮地において、ベンチ裏で淡々と、かつ鋭い眼光を崩さない男がいる。現役時代、ニューヨーク・ヤンキースのエースとしてメジャーを席巻した伝説のシンカーボーライ、王建民投手コーチだ。
■「王建民の脳内」が鍵を握る投手運用
今大会、台湾代表の曾豪駒監督が全幅の信頼を置くのが、王建民氏による投手陣のマネジメントだ。2013年大会、日本を相手に6回無失点の快投を見せ、ファンを熱狂させた「国民的英雄」は、今や若手投手の育成と戦略立案の要となっている。
今回の台湾代表は、過去最多となる16人の投手登録を行った。徐若熙(味全)や古林睿煬(日本ハム)といったNPB・MLBが注目する逸材を揃え、層の厚さは歴代屈指と言える。だが、WBC特有の「球数制限(1次ラウンドは65球)」という厳しい縛りが、指導陣の頭を悩ませる。
王建民コーチは、かつて自身がマウンドで見せた「球数を節約し、打たせて取る」精密な投球術を、次世代の投手たちに叩き込んできた。 「国際大会では一つの四球、一つの迷いが致命傷になる。自分のボールを信じ、低めに集めること。それが球数制限を突破する唯一の道だ」 関係者によれば、王氏は若手に対し、技術だけでなく短期間のトーナメントを戦い抜く「精神的なスタミナ」を最も重視しているという。
■屈辱の「WBC提前結束(コールド)」を回避できるか
次戦の相手は、大会連覇を狙う侍ジャパン。日本は山本由伸という世界最高峰の右腕を先発に立て、盤石の態勢で台湾を迎え撃つ。台湾側の先発予定は、台湾プロ野球(CPBL)で防御率1.49を記録した右腕・鄭浩均(中信ブラザーズ)だ。
台湾メディアの間で囁かれている懸念は、最悪のシナリオ――すなわち**「WBC提前結束(WBCコールドゲーム)」**の屈辱だ。WBCの規定では、1次ラウンドにおいて5回終了時に15点差、7回終了時に10点差がついた場合、試合はその時点で打ち切りとなる。
初戦で露呈した打撃不振が続き、強力な日本打線に序盤から大量リードを許せば、台湾野球界にとって歴史的な汚点ともなりかねないコールド負けの現実味が帯びてくる。かつての英雄・王建民氏がベンチで見守る中、その教え子たちが宿敵を相手に無残な姿を晒すことだけは避けなければならない。
■「世代交代」の真価が問われる東京の夜
台湾代表にとって、今回のWBCは単なる大会ではない。2024年のプレミア12で日本を破り、悲願の優勝を果たした「黄金世代」が、正真正銘の世界一を目指すための試金石だ。
王建民コーチは、2013年の惜敗を知る数少ない証人として、今の選手たちにこう伝えているという。 「過去の数字や名前で野球をするのではない。今、このマウンドに立っている自分だけを信じろ」
厳しい状況にあるのは間違いない。李灝宇の負傷離脱や陳傑憲のコンディション不安など、暗いニュースが先行する。しかし、背番号40のレジェンドが伝承した「打たせて取る勇気」と、16人の投手陣をフル活用する「粘りの継投」が機能すれば、侍ジャパンといえども容易には攻略できないはずだ。
「WBC提前結束」という言葉を、歓喜の早期決着として使うのか、あるいは絶望の終焉として受け入れるのか。王建民が授けた知略と、台湾新世代の意地が、東京ドームで試されようとしている。10年前のあの夜、王建民が日本中を震撼させたときのような「静かなる熱狂」を、台湾ファンは再び待ち望んでいる。
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