つくばエクスプレス「東京駅」直結へ：豊洲経由で2040年実現、臨海部開発で加速

つくばエクスプレス延伸、豊洲経由で「東京駅」へ　臨海部開発と一体、2040年実現へ始動　沿線人口2割増の「成功モデル」を拡大

【東京・茨城】 首都圏北東部と都心を結ぶ主要幹線、つくばエクスプレス（TX）の都心側延伸計画が、具体的な実現に向けて大きく動き出している。特に、豊洲接続を含む「東京駅」直結構想は、臨海部の巨大開発と一体で進められ、2040年頃の開業を目指す長期プロジェクトだ。開業から約20年で沿線地域の人口を劇的に増加させたTXは、次なる20年に向けて、日本の国際競争力強化に資する新たな交通軸としての役割を拡大しようとしている。

臨海部地下鉄と一体化、東京駅直結で所要時間17分短縮へ

現在、秋葉原駅を終点とするつくばエクスプレスの都心延伸ルートは、東京駅まで約6.1～6.5kmを延伸し、「新銀座」「新築地」「勝どき」「晴海」「豊洲市場」といった、開発が進む臨海部の主要拠点を経由する計画が中心となっている。

この延伸が実現すれば、TXは東京駅と直結し、常磐線快速ルートと比較して約17分も所要時間が短縮され、秋葉原・つくば間が約57分で結ばれる見込みだ。これにより、茨城県南地域や千葉県東葛地域からの都心アクセスが飛躍的に向上する。

特筆すべきは、この延伸計画が、東京都が推進する臨海部地下鉄（東京8号線など）の整備と一体的に検討されている点だ。両路線を一体整備することで、相互直通運転や将来的な羽田空港アクセス線への接続も視野に入り、単独整備時には43年かかると試算されていた黒字化が、27年に短縮される見込みである。これは、費用便益比（B/C）の大幅な改善を示しており、技術的・計画的な実現可能性が高いことを裏付けている。

この広域的な交通ネットワークの強化は、つくばエクスプレス沿線自治体のみならず、首都圏全体の企業誘致、観光、物流の活性化を促し、広域経済圏の成長エンジンとなることが期待されている。具体的な着工時期は2030年頃、開業は2040年頃とされているが、今後の財政負担や関係者間の調整が実現の鍵を握る。

沿線人口23%増、流山・つくばを牽引する「TX効果」

つくばエクスプレスが開業した2005年以来、沿線地域は劇的な変貌を遂げた。開業前の「陸の孤島」というイメージを払拭し、都心直結の利便性と比較的安価な住居費が両立するエリアとして、ファミリー層や若年層の流入が続いている。

2005年時点の約201万人から、2025年には約248万人にまで沿線人口は約23％増加した。特に、千葉県流山市は2016年以降6年連続で全国市区町村の人口増加率1位を記録するなど、成長の牽引役となっている。茨城県つくば市も同様に高い増加率を示しており、沿線の不動産市場は活発化し、地価の大幅な上昇が見られる。

この人口増加と不動産価値の上昇は、住宅開発の進展と駅周辺の都市開発が相乗効果を生んだ結果であり、TXが首都圏北東部の新たな交通軸として完全に定着したことを示している。沿線自治体では、2045年頃まで人口増加が続くとの予測もあり、今後も住宅需要と都市開発の活発化が見込まれている。

輸送力増強と遅延対策：利用満足度向上のための現在進行形の取り組み

未来への延伸計画と並行し、つくばエクスプレスは現在の利用者サービス向上にも力を入れている。2025年3月15日のダイヤ改正では、朝夕ラッシュ時間帯の混雑緩和を目的として、八潮始発秋葉原行きの普通列車を増発するなど、ピーク時の輸送力を強化した。

また、青井駅や六町駅でのホーム延伸工事、車両増備計画も継続的に進められており、インフラ面での輸送力増強が図られている。

利用者にとって喫緊の課題である遅延対策に関しても、情報提供の迅速化に注力している。2025年8月には公式アプリ「TXアプリ」をリリースし、列車の走行位置や運行情報をリアルタイムで提供開始。遅延が10分以上発生した場合のプッシュ通知機能も整備され、利用者の満足度向上と混雑時の情報混乱防止に役立てられている。

停電などの外的要因による運行トラブルも発生する中、つくばエクスプレスは、延伸による未来の利便性向上と、現在の運行品質の維持・改善という二つの課題に多角的に取り組み続けている。都心延伸という巨大プロジェクトの実現は、TXが担う広域経済圏の発展をさらに加速させる起爆剤となるだろう。