【衝撃】ソニー・ホンダ「AFEELA」開発中止を発表、EV戦略見直しで「動くエンタメ空間」の夢が現実に
ニュース要約: ソニー・ホンダモビリティは、EV第1弾「AFEELA 1」を含む全モデルの開発・発売中止を発表しました。ホンダの戦略転換や世界的なEV需要の減速が背景にあり、期待されていたSDVの革新性は市場投入を前に白紙となりました。予約受付も停止され、日本の製造業を象徴する共同プロジェクトは大きな岐路に立たされています。
【独自】ソニー・ホンダ「AFEELA」開発中止の衝撃 EV戦略見直しで「動くエンタメ空間」夢散る
【東京】 日本の製造業の象徴とも言える二大巨頭の共創は、あまりにも突然の幕切れを迎えた。ソニーグループと本田技研工業(ホンダ)の折半出資会社、ソニー・ホンダモビリティ(SHM)は2026年3月25日、電気自動車(EV)の第1弾モデル「AFEELA 1(アフィーラ1)」および開発中だった第2弾モデルのすべての開発・発売を中止すると発表した。2026年春に予定されていた北米でのデリバリー開始は白紙となり、予約受付も停止される。
かつて「CES 2026」のステージで、ソニー・ホンダが掲げた「クリエイティブ・エンターテインメント・スペース」というビジョンは、急速に変化する市場環境の荒波に飲み込まれた形だ。
歯車を狂わせた「ホンダの戦略転換」
今回の開発中止の直接的な引き金となったのは、同年3月12日にホンダが発表した四輪電動化戦略の抜本的な見直しだ。ホンダは世界的なEV需要の伸び悩みや、中国勢の価格攻勢を背景に、従来のEVシフトのスピードを抑制。これに伴い、SHMの事業前提となっていたホンダからの技術資産や生産能力の提供が困難になったという。
ソニー・ホンダモビリティの会長兼CEOは、「事業を取り巻く前提条件が劇的に変化した。両社の強みを最大限に活かすための苦渋の決断だ」と釈明した。ホンダ側でも、今回のEV戦略修正に伴う資産除却などで、最大2兆5000億円規模の損失計上を余儀なくされる見通しだ。
期待されていた「AFEELA」の革新性
アフィーラ(AFEELA)は、従来の自動車とは一線を画す「SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)」の先駆けとして期待を集めていた。
その中核を担っていたのが、米クアルコムの「Snapdragon Digital Chassis」だ。最大800TOPSの演算能力を持つECUを搭載し、40個のセンサー群(カメラ18基、LiDAR、レーダーなど)を制御。また、米マイクロソフトの「Azure OpenAI Service」を活用した対話型AI「AFEELA Personal Agent」を搭載し、ユーザーの感情や好みを理解する「パートナー」としてのモビリティを目指していた。
車内体験においても、エピックゲームズの「Unreal Engine 5」を駆使したパノラミックスクリーンが、移動空間を没入型エンターテインメント空間へと変貌させる計画だった。ソニーが培ってきたメディア技術と、ホンダの走行性能が融合したこの「アフィーラ 1」は、テスラや中国のBYDといった競合に対する日本勢の「回答」となるはずだった。
テスラ、中国勢との熾烈な開発競争が生んだ「空白」
開発が白紙となった背景には、単なる戦略ミス以上の、EV市場における熾烈なスピード競争がある。1月のCES 2026で公開されたプロトタイプは、量産仕様に近い完成度を見せ、「2026年後半にはカリフォルニアでの試乗体験を開始する」と息巻いていた。しかし、その裏では、テスラの圧倒的なコスト競争力と、驚異的な速度で新型車を投入する中国メーカーの影に追いつけない焦燥感があったことは否認できない。
専門家は、「ソニーとホンダという異なる企業文化が融合し、高付加価値を追求するあまり、市場が求める価格帯や投入時期とのミスマッチが生じたのではないか」と指摘する。
今後の展望と残された課題
2025年秋から予定されていたホンダの米国オハイオ州工場での先行量産計画はすべてキャンセルされ、予約注文を行っていた顧客への対応が急がれている。SHM側は今後、3社で事業方針の再協議を行うとしているが、現時点で具体的な新計画はない。
「ソニー・ホンダ」という夢のタグが結成された当初、世界中が日本のものづくりの逆襲を期待した。しかし、ハードウェアの信頼性とソフトウェアの革新性を高次元で融合させることの難しさが、改めて浮き彫りになった。
アフィーラというブランドが、再び公道を走る日は来るのか。それとも、このまま歴史の1ページとして消えていくのか。日本のEV戦略は今、かつてない岐路に立たされている。
(経済部・モビリティ取材班)
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