新東名、全線開通が2028年度以降に再延期へ―自動運転実証の最前線と渋滞予測
ニュース要約: 新東名高速道路の未開通区間(新秦野IC〜新御殿場IC)の開通時期が、山岳地帯の難工事により2028年度以降にずれ込む見通し。一方で、駿河湾沼津〜浜松間ではレベル4自動運転トラックの実証実験が最終段階を迎え、物流革命への期待が高まっている。年末年始の渋滞予測や進化したSAグルメ情報と合わせ、次世代高速道路の現状を詳報。
新東名高速道路、全線開通さらに遅延へ――自動運転実証で次世代高速道路の姿を模索
2027年度の全線開通目標、2028年度以降にずれ込む見通し
新東名高速道路の海老名南ジャンクション(JCT)から御殿場JCT間の全線開通が、当初計画からさらに遅れる見通しとなった。NEXCO中日本は2025年11月の連絡調整会議で、2027年度予定から少なくとも1年以上の遅延を正式発表している。2026年1月現在、未開通区間(新秦野インターチェンジ〈IC〉~新御殿場IC、約25キロメートル)の工事進捗率は用地取得約99%、工事着手100%に達しているが、神奈川県内の山岳地帯における難工事が主因で、開通時期は2028年度以降になる公算が大きい。
新東名高速道路は、慢性的な渋滞に悩む東名高速道路の代替ルートとして、また次世代の高規格道路として期待されてきた。しかし、トンネルや橋梁が多い複雑な地形での施工に時間を要し、当初2020年度だった開通予定は段階的に延期を重ねている。赤坂トンネル下り線はすでに貫通し、湯トンネルも上り線貫通、下り線も間近とされるが、覆工、舗装、設備工事など開通に向けた残作業は依然として膨大だ。
年末年始の渋滞、東名・新東名で98回の大規模混雑
開通遅延の影響は、年末年始の交通集中にも表れている。NEXCO中日本の予測によれば、2025年12月26日から2026年1月4日にかけて、東名・新東名を含む中日本エリアで10キロメートル以上の渋滞が合計98回発生する見込みだ。
下りのピークは1月2日(金)で、東名高速道路の綾瀬スマートIC付近では最大25キロメートル、所要時間60分の渋滞が予測される。上りは1月2日と3日(土)に集中し、横浜町田ICや都夫良野トンネル付近で最大20キロメートル、50分の渋滞が見込まれる。東名阪自動車道の鈴鹿IC付近でも、上りで最大30キロメートルの渋滞が予想されている。
NEXCO中日本は、渋滞回避のため午後2時以降の出発や、東名・新東名の並行利用による分散を呼びかけている。新東名は東名に比べて直線が多く、カーブ半径3000メートル、最大勾配2%と設計上の優位性があり、最高速度120キロメートル区間では燃費が7%向上、渋滞や事故もそれぞれ7割、3割低減するとされる。だが、未開通区間の存在が、こうした利点を十分に生かし切れない現状を生んでいる。
自動運転トラック実証、2025年度が最終段階
一方、新東名高速道路では未来を見据えた取り組みも進行中だ。2025年3月から、駿河湾沼津サービスエリア(SA)から浜松SA間の約115キロメートルで、レベル4自動運転トラックの実証実験が本格化している。いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックスの商用車メーカー4社が協力し、国土交通省やNEXCO中日本と連携して進めるプロジェクトだ。
実験は平日夜間の午後10時から翌朝5時まで行われ、交通量の少ない時間帯に自動運転車優先レーンを第1通行帯(左車線)に設定。SAでの自動発着、IC合流時の車線変更、ITSスポットを活用した先読み情報提供システムなどを検証している。約20個のセンサーで障害物を認識し、工事規制や落下物情報を事前に受信することで、将来的な無人走行に対応する技術の確立を目指す。
この実証実験は、2016年から2020年度にかけて実施された後続車無人隊列走行の技術を基盤とし、2025年度が総合走行実証の最終年度となる。ドライバー不足や長時間労働の改善が喫緊の課題となる中、自動運転技術の社会実装は物流業界の未来を左右する重要なテーマだ。
サービスエリアのグルメ、地域色豊かに進化
新東名高速道路は、走行性能だけでなくサービスエリアの充実度でも注目を集めている。NEOPASA岡崎では上下集約型施設として「みそかつ矢場とん」など地元グルメが楽しめ、24時間営業のベーカリーも人気だ。NEOPASA浜松では「浜松餃子とラーメン 浜北軒」や「うな濱」が地元食材を生かしたメニューを提供し、NEOPASA静岡では静岡おでんやたい茶漬けといった名物が並ぶ。
2026年1月には、バタースイーツブランド「バターステイツ」が名神EXPASA多賀に期間限定で初出店するなど、新しいグルメ施設も続々と登場している。こうした取り組みは、単なる休憩施設を超え、高速道路を「目的地」へと変える可能性を秘めている。
東名との役割分担、強靭性に課題も
新東名開通後、東名高速道路の大型車平均交通量は1日あたり2万7000台から1万4000台に減少し、通過交通の約7割が新東名に移行した。新東名は長距離・大型車中心の通過交通を担い、東名は地域間短距離の内々交通を担うという役割分担が明確化されつつある。静岡県内の渋滞回数も985回から297回へと7割減少するなど、効果は顕著だ。
ただし、災害時の代替ルートとしての強靭性については、具体的な防災対策の詳細が十分に公表されていない。新東名はトンネル主体で山岳迂回を避ける構造のため、地震や豪雨時の安定性が期待されるが、実際の災害対応実績や耐震性、避難機能などの最新情報は限られている。NEXCO中日本には、より透明性の高い情報開示が求められる。
全線開通の遅延は残念だが、新東名高速道路は単なる道路インフラを超え、自動運転や地域活性化といった多面的な価値を創出しつつある。2028年度以降の開通に向け、安全性と確実性を最優先にした工事の進展を期待したい。
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう