連合・芳野会長の正念場:2026年春闘「5%以上」の賃上げと野党連携の行方
ニュース要約: 連合の芳野友子会長は2026年春闘で「5%以上」の賃上げを掲げ、格差是正に向けた「5・6・7」戦略を推進しています。実質賃金の上昇と「賃上げノルム」の定着を目指す一方、混迷する立憲民主党・国民民主党との野党連携やジェンダー平等の実現など、3期目を迎えた芳野体制が直面する重要課題と政治的舵取りの真価が問われています。
「賃上げノルム」の確立へ、芳野体制の正念場――2026年春闘と野党連携の行方
【東京】日本最大の労働組合中央組織である連合は、2026年春闘において「5%以上」の賃上げを掲げ、3年連続となる高水準の回答引き出しに不退転の決意で臨んでいる。その中心に立つのが、連合初の女性会長として3期目を歩む芳野友子会長だ。「賃上げの流れを止めてはならない」。2月5日に開かれた闘争開始宣言集会で、芳野友子会長の言葉には例年以上の熱が帯びていた。
「5・6・7」の具体目標で格差是正に挑む
2026年春闘の大きな柱は、実質賃金の持続的上昇を伴う「賃上げノルム(社会的な規範)」の定着だ。連合は、定期昇給相当分を含めた全体要求の目安を「5%以上」に設定。特に注目されるのは、企業規模間や雇用形態間の格差是正を強く意識した「5、6、7」という具体的な数値戦略である。
連合 芳野会長が強調するのは、中小組合に対する「6%以上(1万8000円以上)」、そして有期・短時間・契約労働者向けに掲げた「7%以上(時給1450円以上)」という強気の目標だ。背景には、物価高騰が家計を圧迫し続けるなかで、底上げをしなければ格差が固定化してしまうという危機感がある。
「中小も含め3年連続で5%以上の賃上げと格差是正にこだわり、日本全体の実質賃金を上昇軌道に乗せる」。芳野会長はそう述べ、労働組合のない職場へもこの波及効果を広げる姿勢を鮮明にしている。
混迷する野党連携、芳野会長が描く「大きな塊」
労働条件の改善と並行し、芳野会長が直面しているのが、次期参院選を見据えた政治との距離感だ。特に立憲民主党と国民民主党、そして連合による「3者連携」の再構築が急務となっている。
芳野友子会長の政治スタンスは一貫している。それは「共産党との決別」を前提とした現実路線だ。過去の選挙総括においても、立憲民主党に対して共産党との閣外協力合意を厳しく批判し、明確な決別を求めてきた。芳野会長は国民民主党の玉木代表とも会談を重ね、「対話を大切にしながら、働く者の声を代弁する一つの大きな塊を目指すべきだ」と、両党の橋渡し役に奔走している。
しかし、自民党幹部との会食など、政権与党とも対話を厭わない柔軟な姿勢は、組織内から「野党共闘を弱める」との批判を招くこともある。政権批判を回避しつつ、いかに政策実現のパイプを太く保つか。「現場主義」を掲げる芳野会長の舵取りは、常に組織内外からの厳しい視線にさらされている。
ジェンダー平等と「製造現場」から培った信念
芳野会長の原点は、ミシンメーカー「JUKI」の労働組合での活動にある。かつて女性初の専従中央執行委員として、育児休業制度の導入や女子制服の貸与実現など、現場の小さな声を形にしてきた。
「すべての運動にジェンダー平等の視点を」。この方針のもと、連合本部では女性役員が活躍できる環境整備を急いでいる。男性中心の労働組合文化に風穴を開けたその「やるしかない!」という精神は、2026年の今も、非正規雇用者や女性労働者の権利を守るための基盤となっている。
3期目の完走と「次世代」へのバトン
2025年10月の定期大会を経て、異例の3期目に入った芳野体制。連合の会長任期は2年が通例であり、現在の任期は2027年秋までとみられる。内部では、自動車総連や電機連合といった大規模な産業別労働組合(産別)との合意形成が、今後の組織運営の鍵を握る。
これまでの古賀氏、神津氏といった歴代会長に並ぶ長期政権となりつつあるなか、焦点は「ポスト芳野」への次世代育成にも移りつつある。製造業系・中小労組の支持を背景に誕生した初の女性リーダーは、残り任期でどのような足跡を残すのか。
11日、都内での会見を終えた芳野会長は、改めて春闘への決意を語った。「まず要求をすること、そして粘り強く交渉すること。それがすべての労働者の未来につながる」。賃上げ、政治、そしてジェンダー。山積する課題を前に、芳野友子というリーダーの真価が改めて問われている。
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