尾上右近、令和の歌舞伎界を牽引する「二刀流」の覚悟と現在地:伝統からカレー愛まで
ニュース要約: 歌舞伎俳優と清元節浄瑠璃方の二刀流で活躍する尾上右近。2026年も歌舞伎座での熱演や大河ドラマ『豊臣兄弟!』への出演、さらには無類のカレー好きとしての顔など、多方面で存在感を放っています。伝統を継承しながら現代を軽やかに駆け抜ける、令和の歌舞伎界を担う若きリーダーの挑戦と素顔に迫ります。
【伝統と革新の交差点】尾上右近、令和の歌舞伎界を牽引する「二刀流」の覚悟と現在地
2026年の幕開けとともに、日本の伝統芸能界でひときわ輝きを放っている役者がいる。二代目尾上右近だ。歌舞伎俳優としての華やかな活躍にとどまらず、清元節の浄瑠璃方「七代目清元栄寿太夫」としての顔、さらには大河ドラマやバラエティ番組で見せる親しみやすい素顔。多面的な魅力を放つ彼の現在地を追った。
歌舞伎座を熱狂させる「変幻自在」の演技力
2026年1月、歌舞伎座の「壽 初春大歌舞伎」昼の部で、右近は『蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみ)』の主役を勤めた。変化舞踊の醍醐味である「早替り」を駆使し、女郎蜘蛛の精が化けた五役を鮮やかに演じ分ける姿は、新年の客席を大いに沸かせた。
右近は本作について「役者の変化を楽しんでいただけるエネルギッシュな演目」と語るが、その言葉通り、舞台上を縦横無尽に駆け回るダイナミズムは、彼が次世代のリーダーであることを改めて証明した。また、1月末には新橋演舞場での「令和8年 尾上会」にも出演。尾上菊五郎や松本幸四郎といった重鎮、そして盟友・尾上松也らと共に、伝統の継承者としての責任を果たしている。
清元栄寿太夫としての「二刀流」の矜持
尾上右近を語る上で欠かせないのが、歌舞伎俳優と清元浄瑠璃方の「二刀流」という前代未聞の挑戦だ。2018年に七代目清元栄寿太夫を襲名して以来、彼はこの二つの道を同時に歩み続けている。
かつて歌舞伎座の興行において、ある演目では役者として舞台に立ち、別の演目では「地(伴奏)」として唄を披露するという、稀有な光景を実現させた。右近は「役者として培ったものを清元に還元し、その逆もまた然り」と語る。伝統芸能の厳しい現実や待遇の課題にも直視しつつ、「流れに身を任せ、両立させる」という不退転の決意が、彼の芸に深みを与えている。
映像の世界で見せる存在感:大河ドラマ『豊臣兄弟!』への挑戦
舞台での活躍は、映像の世界にも波及している。2021年の映画『燃えよ剣』での日本アカデミー賞新人俳優賞受賞を皮切りに、ドラマ『NICE FLIGHT!』や大河ドラマ『青天を衝け』など、現代劇から時代劇まで幅広くこなす。
2026年1月から放送を開始したNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、足利義昭役として出演。室町幕府最後の将軍という難しい役どころを、歌舞伎で培った気品と確かな演技力で体現している。PR番組への露出も増え、お茶の間での知名度は急速に高まっている。
素顔は「年間360食」のカレー愛好家
多忙を極める右近のパワーの源は、意外なところにある。自他共に認める「無類のカレー好き」だ。年間360食以上、ほぼ毎日カレーを食すというその情熱は、もはや趣味の域を超えている。
ルーツは歌舞伎座近くの老舗「ナイルレストラン」にある。10代の頃から通い詰め、多忙な稽古の合間に栄養を摂取できるカレーは、彼にとって「戦友」のような存在だという。現在は「北野エース カレーなる本棚®」の公式アンバサダーを務めるほか、自主公演ではオリジナルのレトルトカレーをプロデュースするなど、文化としてのカレー発信にも余念がない。
3月の南座、そして未来へ
次なる大きな挑戦は、2026年3月の京都・南座「花形歌舞伎 特別公演」だ。演目は近松門左衛門の名作『曽根崎心中物語』。中村壱太郎とのダブルキャストで、お初と徳兵衛の両役を入れ替えで演じるという野心的な試みだ。終演後には素顔での対談も予定されており、ファンにとって見逃せない公演となるだろう。
現在34歳(2026年時点)。「自己肯定ではなく、芸に向き合う姿勢への肯定」を掲げ、常に自分自身を更新し続ける尾上右近。伝統の重みを背負いながら、カレーを愛し、現代を軽やかに駆け抜けるその姿は、令和の歌舞伎界における希望の光そのものである。
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